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このレポートは、あつ子さんのHP「TIME and TIDE」で公開されていたものです。
諸事情により、HPを閉鎖されましたので、お預かりしております。
私もこのイベントには参加出来ませんでしたので、このリポートはとっても嬉しかったです。
声優入門トークショウ |
日 時 | 平成10年12月13日(日)13時開演 |
会 場 | 青二ミュージアム |
ゲスト | 塩沢兼人さん |
お客さんは7〜80人程度、女性が大半で男性は4,5人ぐらいでした。
後ろの方には立ち見の方もいらっしゃるくらい、大勢の方がいらしてました。
ステージにはイスが一脚とテーブルが一つ、右手にはモニターがあり、始まる迄の間「火の鳥〜黎明編〜」が上映されていました。
1時から始まるはずだったのですが多少押して、1時20分に塩沢さんがステージにご登場。
ステージ横から登場されるものだとばかり思ってそちらを見ていたのですが、塩沢さんは客席後ろ(ミュージアム玄関方面)から客席の中央を通ってステージに上がられました。
今日の塩沢さんは、黒と茶の格子柄のセーターにグレーのスラックス、茶色のスタジャンに黒いキャップをかぶっていらっしゃいました。
足元は黒いハイカットのスニーカーでした。
さて、塩沢さんの開口一番は「お早うございます」でしたが、その後に信じられないような言葉が発せられました。
「すいません、寝坊しました。(20分の遅れはそういうことだったんですね〜 笑)
せっかく皆さんにお会いするんですからスーツでも着てこようと思ったんですが、それどころの騒ぎじゃありませんでした。
ハッキリ言って、顔も洗ってません。」
客席もこれには大うけで、塩沢さんは非常に決まり悪そうでした。(笑)
その場で進行表を受け取り、トークショウは始まりました。
★★★★
まずは自己紹介、といっても「塩沢です」と仰っただけですが(^^;)
最近のお仕事としてアンジェリークのラジオドラマの収録、「クリスマスプレゼントになるかどうかは解りませんが」と前置きされて12/25に放映されるクレヨンしんちゃん(ぶりちゃんで忠臣蔵の吉良上野之助役)とギンガマンのお話をされていました。
ギンガマンは47話で死んでしまうそうです。
最後なので「結構いっぱいしゃべった」と仰っていましたので、これは期待できそうです。
その他には来年の劇場用クレヨンしんちゃんが決まっていることと、名探偵コナンにも「出るらしいです」と仰っていました。
★★★★
進行表を見ながら
「3.塩沢の面白体験談・・・・・長くやっていると今日のような失態も犯したことはありますし(笑)、気取った役とか言葉の少ない役が多いモンですから、トチると端は面白いらしいです。」
このお話は余りされたくないのか(今日も遅刻しましたしね)、この話題はさっさと打ち切られてしまいました。
またもや進行表を読み上げる塩沢さん「4.声優になるためには・・・・・」
ここから塩沢さんの学生時代に始まり声優の学校を経てデビューし、青二プロダクションにお世話になるまでのお話をされたのですが、塩沢さんも「前フリ長いねこの話し」と仰るくらい非常に長いです(笑)
祖母と二人暮らしだった塩沢さんは大学で演劇の方に進みたいといったときに、お婆様が大反対されて家中のガラスが半分割れたとか、大学を2年で中退し「19のガキはフリーターになりまして」たまたま目に付いた「あなたも声優になれる」というパンフをみて声優の学校に入ったこと。
学校を出ても直ぐに仕事があるわけでもなく(ウキウキしたお芝居付きで)「週に2回も仕事しちゃった!」というような状態だったこと、
その間にいろんなアルバイトをし、その中でマジシャンのアシスタントをしてテレビ(笑点)に写ってしまい近所で噂になり「俺は別にマジシャンになりたいわけじゃないし」と実入りの良いバイトだったがやめざるを得なかったこと、などをお話しされていました。
「25才という年齢になって、生きていけるのか、食っていけるのか試したい」とぐるーぷえいとの恩師の方に相談し「どうせ行くのなら『青二ダメですかねぇ』」と言ったことがきっかけで青二にお世話になることになりました。と、ここまでが前フリです。
★★★★
ここでいったん話を打ち切り、客席に向かって「そういう職業になりたいと思っている方・・・(挙手を求めるのですが、2〜3人しか手が上がらず)・・・あんまり〜ほとんどいないんですね(笑)」
それから「声優」に対して「基本的には俳優という職業だと思います」などご自分の考えや、お仕事に対するスタンスの取り方などをお話しされました。
「役者はもちろん人を騙す職業ですけど、自分をいかにだませるかっていう所から物事が始まっていると思います。(役者になる勉強とは)自分をどうその役を作るためにたばかれるか、そのことを学んでいくシステムだと思います。」
こんなことを仰っていました。

残り時間が10分ぐらいとなり、始まる前に集められた質問コーナーへと移りました。
最初に読まれた質問は「アニメーションのお仕事では画面を見ながらお芝居をされると思うのですが、ラジオドラマやCDドラマの場合、何処を見て、何処に視線をおいてお芝居されるものなのでしょうか?」だったのですが、実はこれは私が書いた物でした。(^^;)
回答として「基本的には変わりません。ラジオドラマの方が(画面に口を合わせるなどの制約が無くて)自由に出来る分、逃げ道が無く自分が試される仕事だろうと思います」と仰っていました。
2.風邪で声が枯れたらどうしますか?
「僕自身も風邪を引くことはあります。
発声の基本が出来ていればある程度ごまかせることではあります。
ただ何年もやっている役や連続ものだと待ってもらうこともできますが、1回きりの仕事のだった場合何を招くかというと、たった1本の仕事を失うだけではなく信頼感を失うことになります。
ましてそれが2度3度と続けばマネージャーから『あいつはダメだ』と言われ、自分の作ろうとしている世界が全部崩れていくことになります。
大事なときにね、風邪引くヤツいるんですよ。
この世界実力も必要ですけど、与えられたチャンスを確実につかんでいく運、確実にものに出来る運を持つことも必要だな。
あとは声帯を鍛えること」
3.現在高校生で将来声優になりたいと思っているのですが、今から何をすればいいでしょうか?ちなみに演劇部に入っています。
この時、塩沢さんは質問された方を確認するため「○○○さ〜ん」とお名前を呼ばれたのですが、その言い方がとても優しくてちょっとうっとりしてしまいました。(^^;)
高校で演劇をすることについては、自分に酔ってしまうしまわないように「自分の役を説明できる人間でいて下さい」と、「国語得意?・・・(彼女がうなずく)・・・ウン!と頷きましたね(笑)でも、新聞を読んでいて読めない漢字がないと言い切れますか?」
ここでも塩沢さんは漢字を読み間違えることによって(特に生放送のナレーションなどでは)信頼感が問われる、とまた『信頼感』という言葉を使われて、ふと、声優という職業は私が考えているよりずっと厳しいお仕事なのだなと感じました。
その他には「感性を良くすること、いろんなアンテナを張る人間でいましょう」と仰っていました。
このあとは時間もなくなり、手短に2〜3の質問に答えてこのコーナーは終了しました。
★★★★
塩沢さんは一つ一つの質問にとても丁寧に真剣に答えて下さり、お話も「声優」という職業に限らず、人として生きていく上で参考となるような内容でした。
やはりプロと呼ばれ、長年一線で活躍されている方は違うんだなと感じました。
塩沢さんは年に1回青二塾で特別講師をしていらっしゃるそうですが(ご本人曰く「先生ごっこ」だそうですが)友人に聞いたところ「講師としての塩沢さんはとても厳しい」のだそうです。
今日のお話を聞いていて、なんとなく想像が付くような気がしました。
★★★★
ここで、やれやれという感じの塩沢さんは「たばこを握りながら吸うこともできず(笑)・・・・取りあえず無理やり聞いてみようかな、来て良かったと思う人!」と客席に質問され全員が手を挙げると「よかった、面目が立ったよォ」と本当に嬉しそうに仰っていました。
その後、青二のカレンダーと塩沢さんが持っていらした台本(アンパンマン)のプレゼント争奪「塩沢さんVS客席」のジャンケン大会となったのですが、ここでも塩沢さんは「カレンダーの方が価値があると思う人」と質問。
何人か手を挙げた方がいて「このやろ〜(笑)、じゃあ台本の方が価値があると思う人!」ここではほぼ全員の手が上がり「ああ、よかった(笑)」
ジャンケン大会はとても盛り上がり、塩沢さんもいつの間にかイスから立ち上がって真剣にジャンケンしていました。
ところで台本を獲得したのがカレンダーの時に手を挙げた方で「あなたはカレンダーの方が良いって言ったんだよね〜」とサインをしながら鋭いツッコミを入れてました。
最後に塩沢さんがもう一度「遅刻してごめんなさい」と謝り(可愛かったぁ〜 ^^)一人ずつ握手をしていただき、「声優入門トークショウ」は終了となりました。
★★★★
しかし、あれは「声優入門トークショウ」と言うよりは完全にファンの集い状態(笑)
楽しかったから良いんですけどね(^^;)
私はと言えば、青二ミュージアムで売っていた「あ〜る君の声入り目覚まし時計」税抜き9500円(他に、眠り姫バージョンとクラヴィス様バージョン有り)を購入して、握手をして頂いたときにはお手紙を手渡すこともできて、最高に幸せな一日でした。
そう、握手の時に塩沢さんは両手でしっかり握って下さって、グッと瞳をのぞき込む様に見つめて「ありがとうございました」と仰って下さって、もう私は100mを全力疾走したくらい心臓がバフバフいってしまいました(^^;)
一時間という短い時間でしたが、塩沢さんのお人柄が感じられるようなアットホームなイベントで、またこういった機会を作って欲しいなと思いました。
その時にはくれぐれも寝坊しないでね、塩沢さんゥ

あつ子さんが、充電期間を経て、新たにHPを解説されました。
このレポートも、そちらに再録されています。
他の声優さんなどのイベントもありますので、興味のある方は覗いてみられては?
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