「街に雨が降るごとく」 くぼた尚子

<ストーリー紹介/裏表紙>
女子大生の志生野(しおの)まり子は、雨が大嫌い。それは、高校の時、雨の日に初恋の人にふられて しまったからなのだ。ある日、まり子は大学のコンパで出会った諸住景一のあまりのクラさに恋を してしまった。けれど、またもや不吉な雨が近づいてきそう・・。


これを買って読んだ時は、たぶんあまり感動しなかったように思う・・・かなり昔の事なので、もう忘れてしまったのかな? とにかく、私の記憶の中にはありませんでした。ほっとくと押し入れの中が窮屈になるので、 時たま整理をするのですが、その時に引っ張り出して読んで、涙がボロボロ。 それからは、どうも背表紙を目にする度に、つい読んでしまって、また泣いています。
といっても、そんなに悲しいお話ではないんです。 人と話をするのが苦手なまり子が、男の人の誘いを巧く断る事が出来ずに、誰とでもお茶しているうちに周囲からプレイガールと見られるようになります。 ある時、自分と同じ様な無口な青年に出会い好意を寄せるのですが、友人の妨害もあり、すれ違いが続きますが、 一悶着あって最後にはお互いの意思が通じるっていう話です。ありがちな展開ではあると思いますが、 お互いの気持ちが通じるまでのまり子の反応と諸住くんの反応がとても好きなのです。

まり子が諸住くんに嫌われてると思い込んで、押し入れに閉じこもって出て来なくなります。 妹がなんとか姉を大学に行かせようと努力するのですが、まり子は大学に怖いひとがいるからと出てきません。 その時のセリフが
「冷蔵庫からとりだしたみたいな目で、あたしのこと見るんだもん。(中略) そうよ、きっとヘビやカエルと血のつながりがあるんだわ。」って言うんです。 もちろんこれもウケたのですが、後でそれを妹が本人に言った時の二人の反応もまた最高。
「いっそこのまま押し入れの中で朽ち果てて・・」なんて言ってたまり子だけど、結局お腹が減って押し入れから出てきます。 その行動がいかにも現実味があって納得するし、(自分も同じような事思ったことがあるので)その時の開き直りも好き。
それから他の登場人物、まり子の妹、諸住くんの友人、とにかく、周囲の人間の反応、みな好きなんです。ということは、くぼた先生の世界が好きって事かな。

ただ、不器用な男女の恋愛を描いたお話で、派手ではないのですが、何故かいつも涙が出てきます。 悲しいからか、嬉しいからか、それは私にもよくわかりません。理由もわからないまま、気がつくといつも涙がこぼれているのです。

まり子が諸住くんの友人に、諸住くんの事を聞かれて「あたし、あの人とは寝たくないの。」と言います。どうしてだかわかりますか?


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