因島市技術科研究サークルの活動状況
 
 因島市の技術科部会は,職業科時代より毎年,夏季実技研修(2日間)を行い,年間5回程度の定例会をもち,授業研究や教材研究を行ってきた。
 因島市技術科研究サークルとしては,昭和62年度(1987年度)に結成し,教材の研究・開発,授業の研究・実践交流を綿密にし,お互いの力量を高め合うことを中心に活動してきた。
 実践の柱は次の3点とした。
   ○製作・創作の方法を研究し,自主教材を生み出す。
   ○素材を研究する。
   ○道具を研究する。
   
技家サークル発足以前の数年間
S59(1984)年度
○授業研究
  ・折りたたみ腰掛けの設計と製作
○各校の定期テストを持ちより交流
《夏季実技研修》
  ・一石増幅回路を用いた電子ブザーの製作

S60(1985)年度
○尾道地区中学校技術・家庭科研究大会(因北中)の公開授業
《夏季実技研修》
  ・一石増幅回路を用いた電子ブザーの製作
  ・電流増幅率測定回路の製作

S61(1986)年度
○生徒作品の評価(電子ブザー)
《夏季実技研修》
  ・アースのはたらきを知る教具の製作
  ・100V回路で電圧分割を利用して豆電球を点灯させる教具の製作
  ・W数の異なる電球を接続し,W数を計算させる課題提示用教具の製作

S62(1987)年度
   技家サークル発足1年目!
○製作・創作の方法を研究し,自主教材を生み出す。
○素材を研究する。
○道具を研究する。
  ・組み立て式デッキチェア
  ・ドイツ家具に見られる組み手の応用教材
  ・モノアームテーブル
  ・ユニットボックス
  ・板材を立体的製品化
○夏季研修
  ・シャープ工場見学
  ・牧本楽器見学
  ・大洋工業見学
《夏季実技研修》
  ・刃物の研ぎ方
 
S63(1988)年度
○第26回中国・四国地区中学校技術・家庭科研究大会において木材加工分科会に提案。
○第28回中国・四国地区中学校技術・家庭科研究大会における公開授業の共同研究。
  ・組み立て式デッキチェア
  ・ドイツ家具に見られる組み手の応用教材
  ・モノアームテーブル
  ・ユニットボックス
  ・板材を立体的製品化
○因島でただ一人の鍛冶職人を訪ねる(包丁をつくる)
 
H1(1989)年度
○中国四国地区中学校技術・家庭科研究大会における公開授業の共同研究と授業分析(行動分析)と評価のあり方について
○食物領域における調理実習(男子教師が指導を受ける)
  ・炊き込み御飯(因島重井町の味)
  ・とうふ汁
  ・サラダ
  ・トコロテン(因島海岸で採れた素材へのはたらきかけ)
    *調味料の加え方(適量の考え方)
○木材加工教材の学習会
    ・大工道具のVTR教材の購入と研修
    ・大工道具の扱い方と整備の仕方
 
《夏季実技研修》
 ○8ビットマイコンの製作と教材化の研究
 ○インターフェイスの製作
    ・マイコンと連動した制御を中心の教材化
 ○機械領域の教具開発(爆発実験装置の製作)と指導法の研究協議
    *爆発の3条件
       ・よい混合気
       ・よい火花
       ・よい圧力
 ○教材開発の視点と教育方法について
   −教材分析と授業改善のための視点− 
 ○これからの技術教育のあり方について
   −保護者・地域社会から技術科教育へ期待するもの−
 
H2(1990)年度  夏季実技研修を冬季実技研修に移行!
○平成2年度(1990年度)中国四国地区中学校技術・家庭科研究大会に向けた共同研究(「機械領域」「住居領域」)
  ・指導項目,指導内容の洗いだしと分析
  ・目標行動と下位目標行動の分析と細分化
  ・機械1の授業実践(機械要素,歯車の製作学習)
  ・機械2の授業実践(2サイクルエンジンの分解,組み立て,整備)
○町のプロ(職人さん)を囲んでの学習会
  *2サイクルエンジンの組み立て・運転・整備・分解
    ・混合気は,20:1と書いてあっても,15:1の方が良い!
    ・5:1までいってもよい!
    ・ピストンには,出力側に合マーク!
    ・ピストンリングの位置も決まっている!
○住居領域についての学習指導案づくりと授業実践
 (「人間関係は,住居で育てられる」=心を育てる住環境)
    ・家庭科実技研修(アニマルタオルの実践と教材化)
 
<第1回冬季実技研修会> 田熊中(民宿 深浦食堂)
  ○砥石,刃物について
  ○カンナの刃・裏金の研ぎ,調整(台直し)
  ○手作りカンナの製作について
  ○OHPの活用方法について(ほぞとほぞ穴の評価)
  ○町のプロ(職人さん)を囲んでの学習会
    ・船大工さんの話を聞く
    ・昔の造船技術の現在の造船技術
    ・当時の因島の就業構造
    ・船の材木と仕入先,運搬方法 など
※Knou how → Know who
        ネットワークを広げ,どれだけ多くの人を知るか,出会うか。
 
H3(1991)年度  田熊中にコンピュータ教室設置
○平成3年度尾道地区中学校技術・家庭科研究大会(因島大会)に向けての授業研究と教材・教具の開発(授業実践と評価のあり方)をする。
○平成5年度新学習指導要領完全実施に向けて,新領域「情報基礎」の教育内容についての研究推進を図る。
  ・指導項目と具体的行動目標の検討
  ・学習指導案及び細案の検討
  ・授業での展開(指導法)の研究協議
  ・データのとり方(レディネス・プレ・ポスト・把持テスト)
  ・評価マトリックス(授業効果度及び授業有効度指数)
○8ビットマイコンの教材化の研究
  ・電気・情報基礎領域の研究授業
     − 8ビットマイコンによるプログラム学習 −
  ・インターフェイスの製作
  ・マイコンと連動した制御を中心の教材化
○コンピュータ教育に関する教材・教具(CAIソフト)の購入計画の検討
○コンピュータ教室に関する施設・設備の検討
○ICトレーナーの製作と教材化の検討
○論理回路学習教具の作成
○特に授業分析において,岡山県立教育センターの協力を得て,授業分析用のソフトウェアを提供していただいた。これにより,授業分析の視点が明確になり,客観的に授業分析できた。
  ・生徒と教師のコミニュケーション分析
  ・カテゴリーによるマトリックス
  ・言語比率(プロフィル)
  ・タイムライン
  ・教師発言,KR,生徒発言の割合
  ・発問,応答のパターン
  ・Cellの度数
  ・T−Pライン
  ・フェイスダイアグラム
 これにより,自分ではやったと思い込んできた授業も,客観的に考察・分析することで,指導のポイントを発見できた。
○岡山「国分寺」の改修工事の見学と木材の利用の研修
  ・社会科教員に参加を呼びかける。
○パソコンに関する研修
  ・オペレーティングシステム(OS)について
  ・MS−DOSとDISK−BASICについて
  ・ファイル変換(ファイルコンバータの活用)
  ・ハードウェアとソフトウェアについて
  ・フレキシブルディスク(フロッピィディスク)について
  ・アプリケーションソフトについて
  ・5大機能について
  ・RAMとROMについて
  ・ICと論理回路(ブール代数)
○著作権の問題について
 
<第2回冬季実技研修会> 田熊中(民宿 満寿美荘)
  ○多々羅鉄から玉鋼づくりの実際
  ○カンナの刃,ノミの刃の研ぎ方
  ○ドリルの研ぎの実習
  ○カンナがけの指導の実践に学ぶ(広大附三原中)
  ○砥石,刃物について
  ○アクリル,塩ビ加工と接着による教材・教具作り  
 
H4(1992)年度
○コンピュータ教室の運営と管理について
○CAI教材の種類と機能について
○AV設備について
○LANシステムの実践的活用の実習
○統合型ソフトウェア(MS−Works)の操作実習
○自主開発のソフトの操作実習
○MS−Worksをハードディスクへのインストール研修
○新学習指導要領の教科経営について
○ICについて
 
<第3回冬季実技研修会> 田熊中(民宿 満寿美荘)
  ○彫刻刀の製作(焼き入れ,焼きもどし)
    ・じゅじゅの製作に適する彫刻刀の製作
  ○グラインダーの調整の仕方の実習
  ○旋盤加工を用いた授業実践について
  ○文鎮の製作
  ○砥石の情報収集
 
H5(1993)年度
○第32回広島県技術・家庭科研究大会へ教科経営分科会に提案
○兵庫教育大学において電気(半導体デバイス)と技術科教育(思考再現法・態度測定)の研修
○竹中工務店において道具の歴史や使い方の研修
 
<第4回冬季実技研修会> 土生中(民宿 満寿美荘)
  ○日本刀の製作について
  ○集成材を用いたアタッシュケース(共学木工の魅力)
  ○中四国研究大会に向けての研究体制づくり(岡山)に学ぶ。
  ○教材・教具の開発について
※県内・県外より総勢26名が集まり,会としても大きくなる。
 
H6(1994)年度 土生中,三庄中,因北中,重井中にコンピュータ教室設置!
  ○コンピュータ教室の完成とコンピュータ導入によって,メディアを活用した教育内容の創造へのステップを踏めた。
    ・LANシステムを実習
    ・OHPの活用及びOHP教具の作り方のテクニック
    ・コンピュータ教室の管理規定の試案作成
    ・SCHOOL−ACEαによるCAIソフトウェアの開発
  ○技術・家庭科以外の教職員も含めての研修
   ・肉の部位と米の調理法による試食会(素材の研究)。
   ・板材を用いての創作。
  ○無免許の技術・家庭科教員に対する研修
   ・電気教材の製作と授業実践
   ・授業に用いているプリント類の交流
○第33回広島県中学校技術・家庭科研究大会への提案(教科経営分科会)
 
<第5回冬季実技研修会> 因北中(民宿 満寿美荘)
  ○カンナの製作(カンナ台を彫る)
  ○包丁の研ぎ(家庭科の先生を対象)
  ○授業研究のすすめ方と実践報告について
 
H7(1995)年度
  ○TOWNS−GEARによる教材ソフトの作成
  ○生徒をどうゆさぶり,問題解決型の授業を仕組むかの研修
  ○製図用ソフトウェアの活用とX−Yプロッタの操作
  ○授業研究のための統計的分析(t検定,χ検定,分散分析)の研修
  ○探究学習の実践的研修(指導者の意図と生徒の理解のズレ)
  
<第6回夏季実技研修会> 田熊中(民宿 満寿美荘)
  ○電気溶接の実習(C型クランプの製作)
  ○「飛鳥時代や平安時代の釘,古代の道具(槍がんな,ノミ)」鉄匠 白鷹氏を迎えて
  ○「大工道具について」
  ○技術教育と技術科教育について
 
H8(1996)年度
  ○簡単なエッチングによる回路設計の教材化(地区支部教研及び県教研に提案)
     ・タイマー付きスイッチ回路(各種センサー対応)
     ・メロディIC回路              
 
<第7回冬季実技研修会> 田熊中(民宿 満寿美荘)
  ○槍がんなの仕込みと研ぎの実習
  ○「技術・家庭科における生徒の主体的な学習活動を支援する学習指導の工夫」
  ○「金属材料と加工教育」
  ○「個に応じるための指導方法の研究のあり方」
  ○「題材の目標分析と授業設計について」
  ○「刃物と技術科について」
  ○「技術・家庭科教育の動向について」

H9(1997)年度 
<第8回冬季実技研修会> 田熊中(民宿 満寿美荘)
  ○最新の研ぎとミクロンカンナ削りの実習
○木の見分け方と実習
○最先端電子工学と技術科教育

H10(1998)年度
<第9回冬季実技研修会> 田熊中(民宿 満寿美荘)
  ○ナイフづくりの実習
  ○ナイフの製作の実践(長崎県)
  ○ナイフづくりの教材化
  ○熱処理の実習

H11(1999)年度
◎中国四国中学校技術・家庭科研究大会(広島大会)へ提案(木材加工領域分科会)
<第10回冬季実技研修会> 田熊中(民宿 満寿美荘)
  ○船づくりの安全管理と技の世界
  ○和鋼と現代刃物鋼の接点
  ○火造り・火床(ほど)づくり
  ○インターネットの教育利用
  ○金属加工教材の開発
  ○学校へのコンピュータ導入

H12(2000)年度
  ○因島市中学校5校のコンピュータ教室に新しいコンピュータが配置される。
    →インターネットを利用した授業の展開が可能となった。
◎第39回広島県中学校技術・家庭科研究大会(因島大会)10月19日
     ・技術A「技術とものづくり」 土生中学校にて公開授業
       「個性を生かし自ら学ぶ意欲を高める学習指導はどのようにしたらよいか」
           刃物という道具  〜刃物を研ぎ・かんな身を研ぐ〜
     ・全体会,分科会  重井中学校 

H13(2001)年度
研究テーマ「新学習指導要領の研究 〜技の本質の研究と応用先端技術の研究〜」
  ○学習指導要領から目標分析(指導目標・指導項目・指導内容の洗い出し)と評価計画

<第11回冬季実技研修会> 重井中(民宿 深浦食堂)
  ○鋸の目立て
  ○天然砥石の世界
  ○技家のカリキュラム編成の考え方
  ○情報通信ネットワークの効果的な活用
  ○新学習指導要領に基づく教材教具の開発

H14(2002)年度
研究テーマ「基礎的な知識と技術を身に付け,進んで生活を工夫し,創造する能力と実践的な態度の育成〜整備・製作・操作など,ものづくり教育に必要な実践的指導力の資質向上をめざす〜
  ○砥石山の調査見学
  ○新教育課程における「指導と評価」研修
  ○無線LANの活用
  
<第12回冬季実技研修会> 重井中(民宿 深浦食堂)
  ○かんなの台打ち
  ○「新学習指導要領における技術科教育について」
  ○「ものづくり教育」の魅力

H15(2003)年度
研究テーマ「基礎的な知識と技術を身に付け,進んで生活を工夫し,創造する能力と実践的な態度の育成〜整備・製作・操作など,ものづくり教育に必要な実践的指導力の資質向上をめざす〜
  ○コンピュータ教室のパソコンがHriwaネットと接続され,セキュリティーと接続速度が向上。

<第13回冬季実技研修会>
 土生中(民宿 満寿美荘)
  ○鑿に迫る 〜鑿の柄付けと仕込み〜  講師 高田 良作 様
  ○ものづくり教育の魅力A
  ○特別講演 「削ろう会を語る 〜薄さ10ミクロンの鉋屑への道〜」 講師 杉村 幸次郎 様

H16(2004)年度
研究テーマ「基礎的な知識と技術を身に付け,進んで生活を工夫し,創造する能力と実践的な態度の育成〜整備・製作・操作など,ものづくり教育に必要な実践的指導力の資質向上をめざす〜
◎第43回広島県中学校技術・家庭科研究大会へ提案(技術B選択分科会)へ提案

◎全国産業教育フェア(産フェア 2004 広島)への参加

<第14回冬季実技研修会> 土生中(民宿 満寿美荘)
  ○木組みに挑戦 (墨さしづくり,木組みサンプルづくり)
  ○パネルディスカッション 「科学技術教育の未来を語る」
  ○特別講演 「大工という生き方 〜大工魂〜」 講師 前場 幸治 様

H17(2005)年度
研究テーマ「基礎的な知識と技術を身に付け,進んで生活を工夫し,創造する能力と実践的な態度の育成〜整備・製作・操作など,ものづくり教育に必要な実践的指導力の資質向上をめざす〜〜ものづくりに対する,興味関心を喚起し,意欲を高揚させる教材開発及び授業研究〜

<第15回冬季実技研修会> 土生中(民宿 満寿美荘)
  ○学び(ものづくり)の楽しさを実感できる教材教具の開発
  ○特別講演 「私とものづくり 〜教材開発の視点〜」 講師 谷中貫之 様

●市町村合併により,因島市が尾道市と合併する。「因島市中学校技術科研究サークル」も名称変更を行うことになる。

尾三地区中学校技術科研究サークル 発足

 因島を中心に活動を行ってきた,本サークルも島内の技術科教員の減少等の問題を抱えるようになった。
 しかし,本サークルの活動は県内また県外にも広がり,冬季合宿研修会では数多くの参加者を得ることができるようになった。
 そこで,今までの活動を引き継ぎ,活動の場面をより一層広げて,多くの先生方とともに,教材の研究・開発,授業の研究・実践交流を綿密にし,お互いの力量を高め合うことを目的として,その名称を「尾三地区中学校技術科研究サークル」と変更した。

H18(2006)年度
研究テーマ「基礎的な知識と技術を身に付け,進んで生活を工夫し,創造する能力と実践的な態度の育成〜整備・製作・操作など,ものづくり教育に必要な実践的指導力の資質向上をめざす〜〜学ぶ意欲を高め,学びの楽しさを実感できる授業づくり〜

◎第45回広島県中学校技術・家庭科研究大会(三原大会)10月26日(木)
     ・技術B「情報とコンピュータ」 三原市立第五中学校にて公開授業
      「プログラムを工夫し,目的の動きをロボット(2台)にさせよう」
     ・全体会,分科会  三原市本郷生涯学習センター
<第16回冬季実技研修会> 鞆小学校,福山中学校
  ○「伝統に学ぶ 〜船大工の技〜」   講師 船大工 碇 侑 様
  ○講演「新指導要領における技術科教育」 茨城大学教育学部教授 竹野英敏 様
  ○特別講演「技術科教育のあり方」      広島国際学院大学教育学研究科教授 間田 泰弘 様

◎平成18年度 学力向上推進に関する合同研究発表会(H19年1月6日(土))分科会にて提案