篆刻

(直近の改訂)⇒平成22年以降の作品を掲示

平成16年9月8日より広公民館で開講しました篆刻入門教室に参加しました。
今回は6回コースで「自分の印を作ろう」というサブタイトルがついている教室です。
講師は
元野呂山芸術村国際文化芸術交流員の臧 新明(ゾウ シンメイ)氏です。既に来日10年で、呉市近辺で篆刻を教えている方です。日本語も上手に話せます。
講義で聞きました内容の要点を忘れないために書きました。
尚、H16年12月より呉市中通りの「BOTAN」で開かれている臧先生主催の篆刻教室へ参加しています。

1.篆刻の歴史
秦の始皇帝時代が紀元で小篆を統一して大篆にした物で、篆字で書くのが篆書である。
文字の歴史で見ると象形文字による甲骨文から金文を経て篆書になった。更に漢時代に隶書が出来た。
秦の時代の文字で彫るのが篆刻で、彫る材料としては石、金属、木があり、石を使用しだしたのは元の時代である。
秦・漢時代は実用に共され日本の花押と同様な使い方であり、最初は泥の上に押したので何回も使用すること・保管が出来なかった。
唐時代に芸術に発展し、書道の作品に押した。
元時代に文人画に押し、観賞用として安価で変化が付け易い石を使用するようになった。
明・清時代に巨匠がでてハイレベルとなり芸術の域に高められた。
2.篆刻とは
書の知識及び小さい空間に自分の思想を織り込むと言う空間利用の見地から絵の知識が必要である。又、彫刻観が必要である。
篆刻の彫り方には
白文‐‐‐‐押したら白い文字となる
朱文‐‐‐‐押したら赤い文字となる
朱・白相間
がある。
文字の配列順から普通印、回文印(右回りに文字を配列するもの)の区分がある。
3.篆刻用道具
石、印刀、歯ブラシ、やすり(粗、細)、筆ペン、マジック(黄色)、朱肉(良い朱肉は泥製で押したら厚味があるので墨の上でも良く見える)、ノート、印規
販売店:川尻町 明雅堂 TEL87-2935
4.デザイン
書+絵+彫刻の作品を合わせたデザインが必要で、要点としては
@空間‐‐‐‐目の刺激が得られるように
A縁と内とに線の太さによって差を設ける。
B少し丸みを設けることにより優しさを出す。
C線の共通化‐‐‐‐文字の一部を共通化、文字と縁とを共通化させる。


今までの製作品(平成19年4月1日更新)

模刻 模刻 尾崎の落款 模刻 模刻
模刻 模刻 模刻 模刻 模刻
模刻 模刻 デザイン デザイン 模刻
模刻 H17年子夜芸術会展出品 同左 17年市美展入選作 各種落款
デザイン 模刻 模刻 H17子夜芸術会会展出品 模刻
H18年年賀状 デザイン デザイン デザイン デザイン
模刻 模刻 デザイン デザイン H18県美展出展落選
H18子夜芸術展出品
H18市美展出展落選 デザインー朱白混合 デザイン H18子夜芸術展出品 模刻3点
模刻 尾崎の落款 デザイン デザインーH19年賀状 デザイン
デザイン 尾崎一貴住所印 デザイン デザイン デザイン

H17年呉市美展に応募し入選した作品です。篆刻の入選作品は15点でした。
審査評では篆刻部門は「質・出品数とも充実してきました」とありました。

H19年3月―12月の作品

デザイン デザイン H19ビューポート子夜展出品 H19ビューポート子夜展出品 名印
H19そごう子夜展出品 H19そごう子夜展出品 デザイン H19中通私美術館出品 五言絶句に挑戦
デザイン デザイン デザイン デザイン デザイン

平成20年〜21年作品
明月清風 白文 明月清風 朱文 千里同風 白文 千里同風 朱文
泰然自若 H20ビュウポート展 鳳来麟現 H20県美展選外 引首印3作 先心・和楽・時無止 一声山鳥曙雲外
吾唯知足 亀壽鶴齢 平成二十年呉市美展入選 日々是好日
謹賀新年 一枝梅花春 杜甫作春望 杜甫作春望
H22年年賀状に使用 松竹梅 孟浩然作春暁 夏雲多奇峰 王維作 鹿紫(ろくさい)
蘇軾作 春夜 H21呉市美展入選 杜牧作 山行(起承句) 杜牧作 山行(転結句)

臧先生の篆刻デザインに関する講義録

1. H17.1.22
(1)   芸術性追求のために篆刻の知識が必要。

(2)   篆・・・・書くの意味があり、篆書の意味
未知の分野の芸術
空間は絵の知識(空間の処理方法)が必要
教養面的な書・絵の知識も必要

刻+書(鉄筆)+絵(空間)⇒篆刻

(3)   模刻により書と絵の知識を得る
(4)   良い篆刻を見たときなぜ良いのかを考える
(5)   書くという意識で彫る
(6)   印刀は鉄筆(書の感覚)である。判子屋は彫る技術のみ
(7)   人工的はデザインで自然な雰囲気を出す
(8)   判は小さいが大きく見せる
(9)   対応のバランス感覚

2. H17.2.12
(1)   印風
作家により異なる。
印は家族の様であるから別の文字が入るとおかしい。

(2)   模刻
じっくり考えて疑問を持ちながら理解をして彫る。
空間の処理を学ぶ。
2個の丸がある時は形を変えるか、一つを故意に破壊する。
各文字の間隔()は等しくする。

3. H17.3.26
(1)模刻することは永久に必要である。
(2)デザイン
(ア)  模刻で好きな文字をデザイン
(イ)  安定的な印で安定の中に面白さがあること、見た瞬間の面白さが大切、但し個性の強い作品を真似ると癖がつく。
(ウ)  漢、秦の印を真似る。特に漢の印が大切。
(エ)  自分の好きな言葉を漢印風にデザイン
(3)デザインの手法
(オ)  統一→印の中の文字は家族であると言う意識で間隔、太さ、空間を考える。
5文字の時は2文字を1文字の空間に収める。
画数の少ない文字は重みをつける。
文字の分割、例えば5文字→6文字とする。
(カ)  変化(統一の中の変化)
同じ文字は変える。 丸は円形と楕円形にする。字が太いと枠は細く或いは枠はカット。
(空間・形で刺激を与える) 篆刻

4. H17.5.14
(1)多種類のデザインをして選ぶ→56 個のデザイン。字の太さ・字の種類を変える。
(2)特徴の強い人の模刻は多数しないほうが良い。
   字が太いと安定感がある。

5. H17.11.26
(1)デザイン
(ア)  複数やること−版の知識、書の知識、絵の知識
(イ)  空間の印象
@       判子の感覚
A       書の雰囲気
B       絵の空間
C       篆刻‐判の知識
ア.天と地→天高地厚
イ.周りは丸くする→優しい感じ
デザイン()の鋭い部分を石質・印刀で丸くするように解決
   2文字は4文字を意識
   右から左へ、但し自分の意識があれば左から右でも良い。
(ウ)  文字の選定
各文字を大篆、小篆、金文のいずれかに合わせる。
(エ)  1文字は一人の人間と考える。そのために同じ文字空間をとる。
空間を小さくとった時は重くすれば空間が同一に見えるがこれは高等技術である。
文字の一部を枠の一部にする方法もある。
文字の一部を共通化する方法もある。

(2)空間処理方法
「密不通風」
「空可走馬」
の思想でデザインすると段差が出て目に刺激がある。音響が耳に刺激を与えると同様。
密はますます密に疎はますます疎にする。

(3)5文字
4文字に見えるように、3文字に見えるように、6文字に見えるように等。

(4)
密度が少ない部分は縁を破壊して薄くする。

(5)文字の種類
小篆・大篆・金文・古代文で統一
ない場合はその文字の部分を組み合わせる。
画数の少ない文字と多い文字を組み合わせる。


平成22年以降の作品
       
 杜牧作山行(1) 杜牧作山行(2)   朱白相間法 掬水月在手 
       
 松樹千年翠 柳宗元作江雪   頼山陽作不識庵機山を
撃つの図に題す
 H23年 年賀はがき用
       
 H23年 年賀はがき用 平成23年御題「葉」   光陰矢のごとし  

以上