ヤマトスジグロシロチョウ  Artogeia nesis (Linnaeus,1758)


[分 布]
 本州,四国,九州

[大きさ]
 27〜33o

[時 期]
 4〜10月(年3回)

[食餌植物]
 イヌガラシ,スズシロソウほか

[越冬形態]
 蛹

【種の概要】
 近年,エゾスジグロシロチョウとして日本列島では北海道,本州,四国,九州に分布していた個体群のうち,北海道産を他の地域産とは別種として扱うようになった。そして北海道産をエゾスジグロシロチョウ,本州・四国・九州産をヤマトスジグロシロチョウと称している。一般には西日本では食餌植物の関係で山地性となる。しかし瀬戸内海東部では島嶼部に分布するなど,生息環境は多様である。
 雄交尾器を含めた形態はスジグロシロチョウと酷似しているため,種の確定には総合的な同定が必要である。なお,雄の発香鱗に見られる香のうは,スジグロシロチョウより明かに小型である。
 山地に産する個体群と海岸地方に産する個体群とでは,地域差が現れることが指摘されている。また季節型があり,春型は夏型よりも小さく,翅形はやや細長く,黒色部はよく発達する。一般に雌は雄よりも大きく,前翅表の黒色斑が発達し,後翅裏面の地色は黄色味が強い。
山地の林道や林縁に好んで生息し,各種の花に吸蜜の来るほか,夏型の雄は湿地で集団となって吸水することが多い。飛び方は緩やかであるが,スジグロシロチョウよりは活発である。雌は食餌植物に1個ずつ産卵するが,産卵部位は葉裏よりも葉表の方が多い。

【広島県の現状】
 中国山地を中心に分布し,広島市や福山市の北部には記録があるが,これらの地域は中国山地から山並みに続く地域にあたる。世羅台地や賀茂台地を中心とする内陸部の吉備高原には分布せず,そのまま沿岸部,島嶼部まで大きく広い分布の空白地域がある。ただ,瀬戸内海島嶼部は十分な調査が行われていないので,とくに県東部において生息が確認される可能性はある。
 形態面では,本県固有の地理的変異はみられない。
 吉和村では4月中旬〜5月に第1化が出現し,6月以降10月までほぼ連続的に見られることから
年4化程度とされている。




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