スジボソヤマキチョウ Gonepteryx aspasia niphonica Bollow



岡山県新見市井倉洞 2001年6月16日


[分 布]
 本州,四国,九州

[大きさ]
 30〜35o

[時 期]
 6〜翌5月(年1回)

[食餌植物]
 コバノクロウメモドキほか

[越冬形態]
 成虫

【種の概要】
 ヤマキチョウ属は旧北区のみに十数種が分布しているが,そのうちスジボソヤマキチョウの仲間はもっとも寒冷地に適しているといわれている。本種はロシア沿海州,中国大陸,朝鮮半島,日本に分布し,日本では本州,四国,九州に分布する。本州中部以北では山地性で,九州では1953年以降記録がなく絶滅したものと思われる。 
 形態面では,中部地方以西のものが,前翅頂の突出が強い傾向が指摘されているが,個体変異も含めて詳しく調べられていない。雄の翅表は濃黄色,雌は白色である。  
 おもに山地の渓流沿いや樹林の林縁などの森林的環境に好んで生息し,越冬後には明るい樹林内にも入り込むようになる。成虫は低い位置を,ややゆるやかに飛翔し,各種の花を吸蜜のためのに訪れる。雄は,湿地で群をつくって吸水することも多い。初夏に発生して夏季に一時休眠に入り,秋に再び活動する。交尾は越冬前によくみられるが,越冬後に交尾することもあり,複数回の交尾をしている可能性が高い。成虫で越冬した雌は,早春に,新芽がほころびはじめた食餌植物の枝に,1個ずつ卵を産み付ける。

【広島県の現状】
 山地性の種で,中国山地を中心に分布し,広島市北部や福山市北部まで記録がある。世羅台地では甲山町などに生息が確認されているが,個体数は少ないと思われる。
 形態面では,過去に東城町帝釈峡産の個体群に差異があるとの指摘もあったが具体的な検討はされていない。
吉和村及び高野町では6月下旬に新成虫が発生するが,より低標高地では6月中旬には発生している。夏眠明けの秋季には,中国山地の各地で多数の個体をみることができる。