スジグロシロチョウ Artogeia melete (Menetries)


広島県山県郡芸北町掛頭山 2001年7月8日


広島県呉市灰ヶ峰 2007年4月8日


[分 布]
 北海道,本州,四国,九州

[大きさ]
 25〜34o

[時 期]
 3〜10月(年4〜5回)

[食餌植物]
 イヌガラシ,タネツケバナほか

[越冬形態]
 蛹

【種の概要】
 ロシア沿海州,中国東北部,朝鮮半島,日本のみに分布しており,日本産モンシロチョウ属4種のうちでは,種としての分布域はもっとも狭い。日本では北海道,本州,四国,九州に広く普通に生息する。過去には山地では本種,都市ではモンシロチョウというすみわけがあったが,都市は高層化によって暗い環境が増え,そうした場所を好む本種が進出して,各都市でモンシロチョウが少なくなり,本種が個体数を増やしていることが報告されている。
 季節型があり,春型は夏型よりも小さく,翅形はやや細長く,黒色部はよく発達する。一般に雌は雄よりも大きく,前翅表の黒色斑が発達し,後翅裏面の地色は黄色味が強い。エゾスジグロシロチョウと酷似しているため,区別には精査が必要である。
 おもに山地よりのやや暗い林縁などに好んで生息し,川沿いなどの薄暗く湿った感じのする場所に多くみられる。近年では,都市部でも個体数を増やしている。成虫はゆるやかに飛び,各種の花に吸蜜のため集まり,モンシロチョウと違って赤色系の花でも吸蜜する。雌は食餌植物の葉裏に,卵を1個ずつ産み付ける。

【広島県の現状】
 中国山地から吉備高原,瀬戸内海沿岸部,島嶼部まで広範囲に分布し,各地とも個体数は多い。
 形態面では,本県固有の地理的変異はみられないが,吉和村では稀に雌の地色が黄色になった個体やエゾスジグロシロチョウとの雑種を思わせるような夏型の雄がみつかっている。
 発生回数については,瀬戸内海沿岸部では3月下旬には第1化が現れ,以後10月まで連続的に成虫が見られることから,年5回程度と思われる。中国山地の吉和村では1化の個体が4月上旬〜5月に見られる。