ツマグロキチョウ Eurema laeta betheseba (Janson)


広島県呉市郷原町大積 1998年10月18日

 
広島県東広島市黒瀬町 2007年11月10日(秋型)


[分 布]
 西南日本(関東地方北限)

[大きさ]
 18〜21o

[時 期]
 5〜翌4月(年3〜4回)

[食餌植物]
 カワラケツメイ

[越冬形態]
 成虫

【種の概要】
 東洋熱帯から亜熱帯に広く生息域をもつ種であるが,亜熱帯に属する台湾では山地性となり,熱帯では山地に限っての遺存分布である。日本では本州(東北地方南部以南),四国,九州に生息し,奄美諸島以南では定着が確認されていない。このことから,本種は氷期に熱帯地方で繁栄していたが,最終氷期後には熱帯では高地部に追いやられ,逆に暖温帯域に分布を拡大してきた種といえる。
 形態面では,地理的変異はみられない。また明瞭な季節型があり,夏型では雌が翅全体に黒い鱗粉があらく散布される。雄は前翅裏面中室下縁に沿って桃色の性標を有する。 
 おもに食餌植物が生える田畑のあぜ道や河川敷,堤防,湿地の周辺など,日当たりがよい場所に生息し,キチョウに比べてより開けた環境を好む。成虫は,低い位置をゆるやかに飛翔する。夏型は発生地を離れず群生し,秋型は発生地を離れて広く分散することが指摘されている。雌は食餌植物の葉表に,1個ずつ卵を産み付ける。
 環境省のレッドデータブックで絶滅危惧U類に指定されている。

【広島県の現状】
 中国山地から吉備高原,瀬戸内海沿岸部,島嶼部に広く分布してるが,近年各地で個体数が減少する傾向にある。また北西部の吉和村では稀であるとされている。
形態面では,本県固有の地理的変異はみられない。
 発生回数については,成虫の記録から,瀬戸内海沿岸部では5月下旬には第1化が現れ,6月下旬に第2化,8月に第3化,第4化の秋型は9月末頃から発生すると思われる。また,中国山地付近では1化の個体が6月中旬頃であることから,年3化ではないかと思われる。