ツマキチョウ Anthocharis scolymus (Butler)



広島県呉市広石内 2001年4月14日


[分 布]
 北海道,本州,四国,九州

[大きさ]
 21〜26o

[時 期]
 3〜5月(年1回)

[食餌植物]
 タネツケバナ,イヌガラシほか

[越冬形態]
 蛹

【種の概要】
 ツマキチョウ属はユーラシア大陸北部と北米に分布し,年1回のみ春に羽化する生活史をもつグループである。本種はロシア沿海州,朝鮮半島,中国大陸(西部,中部,東北部),日本の東アジアにのみ分布し,グループ内では狭分布種である。日本では北海道,本州,四国,九州に広く分布し,屋久島が南限である。
 形態面では,寒冷地ほど小型化し,後翅裏面の緑色斑紋が退色する傾向がある。雄は翅表前翅頂は黄橙色であるが,雌は白色である。
 おもに山麓や渓流沿いにある陽当たりのよい河原や里山の林縁,耕地周辺などに多く,モンシロチョウなどと比べるて直線的に飛翔する。飛翔中は雄の翅にある黄橙色の斑紋は目立たず,白くみえる。飛翔中はなかなかとまらないが,ときどきスミレやタンポポ,アブラナ科の花を訪れ,翅を半開きにして,ぶら下がるような姿勢で吸蜜する。雄は,日当たりのよい林縁などに,蝶道をつくる習性がある。暖かくて日当たりのよい日にはよく活動するが,日が陰ると急に活動を停止する。雌は食餌植物のとまると腹部を強く曲げて,食餌植物の花や蕾に1個ずつ,卵を産み付ける。稀に蛹で2冬を越す場合があり,3冬を越して羽化した報告もある。

【広島県の現状】
 中国山地から吉備高原,瀬戸内海沿岸部,島嶼部まで広く分布する。
形態面では,本県固有の地理的変異はみられない。
成虫は,呉市では3月末には発生し,5月まで見ることができる。吉和村では4月中旬から発生し,6月上旬まで記録がある。