アオハダトンボ Calopteryx  japonica Selys

  
アオハダトンボ♀
広島県甲奴郡総領町黒目 2000年6月25日

 カワトンボ類でも最も生息地が限られる稀種で,ハグロトンボに比べて翅の後縁が丸みを帯びていること,成熟した雄は翅が藍色に輝くこと,雌には翅の先端に偽縁紋(白い斑紋)があることで,ハグロトンボとの識別が可能である。またハグロトンボに比べるとやや小型であることは,発生時期に若干の違いがあることなど,総合的に判断すると,フィールドでの判別も容易である。
 岸辺に水生植物が生える緩やかな清流に生息するが,こうした環境は各地に多く見られる物の,実際に本種が棲息している場所は非常に少ない。環境的にはコシボソヤンマが好む環境であるが,コシボソヤンマはいても本種はいない場所は非常に多い。より厳格な生息条件が存在するものと思われる。
 広島県では沿岸部から中国山地にかけて広く分布域があるものの,産地数は少なく,現在も発生している場所はほとんどないと思われる。筆者は総領町黒目川で観察したことがあるが,ちょうど本種は発生最盛期で,他にはグンバイトンボが発生初期,オニヤンマも発生を始めた頃であった。すぐ近くにはミヤマカワトンボが発生していたが,両種は一見同所的に生息するものの,ミクロ的にはそれぞれがはっきりとすみ分けをしていた。ぜひ一度,黒目川においてミクロ的なカワトンボ類のすみ分け状況を調査したいと思っているが,いまだに果たせないでいる。きっと興味深い結果が出ると思うのだが