アオサナエ Nihonogomphus viridis Oguma



広島県呉市郷原町黒瀬川 2001年5月17日



 日本特産種で、本州・四国・九州に分布する。いずれに地域でも生息地は限定される。県内ではホンサナエと生息地が重なるが、本種の方がより中国山地まで進出している。
 雄雌共に頭部と胸部は鮮やかな緑色に輝き、その色彩から他種との区別は容易にできる。雄の尾部付属器は大きく、先端が内側に直角に曲がっている。
 かつてアオサナエは憧れのトンボで、そのせいか希少種というイメージを持ってしまった。ところが河川のトンボを調査するうちに、いろいろな川でアオサナエを見る機会があり、予想外に広範囲に生息する種だなと再認識している。本種とよく似た環境を好むホンサナエに比べて、適応できる環境の幅が広いといった印象である。
 話は変わって、トンボ出版が発行した『トンボのすべて』の表紙はアオサナエのアップ写真である。このアオサナエをよく見ると、胸に赤い点がついている。当初は印刷ミスで、アオサナエの胸の部分に赤い点が付いたと思っていた。もう少ししっかり校正すればいいのにと邪推していたが、ある時自分の撮影したトンボのポジフィルムを見ていて、やはり胸に部分に赤い点があるのを発見した。つまりこの赤い点は印刷の過程でできたものではなく、確かにトンボの胸に付いていた点だったのだ。その後、採集したトンボにも赤い点を見つけ、これが赤い色をしたダニであることを確認した。それにしても、『トンボのすべて』は書籍の命ともいえる表紙写真にダニの付いたトンボを使用したことなるが、特別の意図があってのことだろうか。