ヒメクロサナエ Lanthus fujiacus (Fraser)




 日本特産種で、新緑の頃になると、山間の渓流に姿を現す小型のサナエトンボである。個人的にはあまり縁のないトンボで、安浦町野呂川で羽化直後の個体を観察し、未熟個体を西中国山地の深入山にある草原で見たことがある。県内では中国山地に記録が多く、その他でも山地の渓流部に記録がある。
 本種は胸部に太い黒条が1本あるだけなので、ここをチェックすれば他種と間違うことはない。
 渓流部に棲息する種であるが、よく似た場所に生息するダビドサナエやクロサナエなど、ミクロな視点での棲み分けはよくわかっていない。野呂川では多数のダビドサナエが羽化している場所からやや下流で、本種の羽化を観察した。しかし「棲み分け」といえるほどの状況ではないような気がする。『土佐のトンボ』では、「明るい場所を好み、山の斜面の木立の少ない草原でよく見かけます。」と記述されているが、まさに私が深入山で観察したときと同じ状況である。