ヒロシマサナエ Davidius moiwanus sawanoi Asahina et Inoue



広島県山県郡芸北町八幡湿原 2000年6月24日



 かつては広島県の八幡湿原(芸北町)のみに生息するといわれていたが(島根県では記録のみがあった)、ここ数年の間に広島・岡山・島根の県境付近を中心に広範囲に生息が確認されはじめた。緩やかな流れのある湿地に生息するため、生息地はそれほど規模は大きくない。しかしこうした環境があれば、比較的高い確率で生息しているのかもしれない。今後、比婆山系の湿地は要注意である。なお、本種を観察するのであれば、5月末から6月に八幡湿原に行けば、多数のタベサナエに混じって、本種を観察することができる。
 本種は胸部側面の黒条によって、ダビドサナエやクロサナエと区別することができる。しかし一見するとダビドサナエと区別できないような個体もあり、生息環境などをあせて同定する。正確な同定のためには、頭部をはずして同定する必要がある。
 まだトンボに全くの無知だった頃、今の八幡高原にある『かりお茶屋』のそばを流れる渓流でサナエトンボの写真を撮り、当時はこれをすべて本種と思いこんでいた。その後、このときに撮影した写真を再チェックしてみると、1頭を除いてすべてタベサナエであった。そしてそのとき除いた1頭が、実は本種だったのである。湿地に生息するため、こうした渓流ではまず姿を見ることができない本種を渓流で観察できたのは、今となっては珍しい例だったのかもしれない。