ホンサナエ Gomphus postocularis Selys

          

広島県呉市郷原町黒瀬川 2000年5月17日


 河川の中流域に生息する中型のサナエトンボで、その独特の体型から、他種との区別は容易である。かつて本種を撮影するため、過去の記録をもとに芦田川に行ったことがあったが、このときは発生期よりやや早かったようで、目撃さえできなかった。その後、地元の黒瀬川にやや多産することを知った。それでもどこにでもいるといった種でもないようで、そのほかの河川ではアオサナエはよく見かけるものの、本種はなかなかお目にかかれない。全県的に見ると、沿岸部や中国山地を除く全域に広く分布している。これはやはり河川中流域という生息環境によるものであろう。発生もアオサナエよりやや早い。
 本種は腹部が太くて短く、腹端が太くなっていることから、他種とは容易に区別することができる。ちなみに本種の和名の由来は、ホンサナエ属の模式種に似ていることからだそうだ。
 呉市郷原町を流れる黒瀬川は本種の生息域で、5月には比較的広範囲で観察することができる。川辺の砂地にとまり、川の方を見てなわばりを張る雄が多いが、この場所にも好みがあるようで、すべての砂地にとまっているわけでもない。近年各地で個体数の減少が指摘されているが、呉市においても黒瀬川の大規模な改修工事が悪い方向に影響するのではないかと心配している。