コバネアオイトトンボ Lestes japonicus Selys



広島県東広島市西条町郷曽 2000年9月9日



 環境省RDBで絶滅危惧U類に指定されている種で,成熟すると雄の複眼は美しい青色(空色)に変色する美麗種である。アオイトトンボ,オオアオイトトンボとの区別は胸部の金緑色の斑紋の形状で行うが,やや小型で翅も小さいことと,成熟しても雄は粉をふかないことなどで,野外で観察しただけでも何となく区別はできる。
 水生植物の生える遠浅の池を好むとされ,確かにコンクリート護岸になっている溜め池にはほとんど生息していないようだ。本種の雌の産卵管は構造上堅い物には産みつけることができず,カヤツリグサ科のカンガレイやクログアイに限って産卵するといわれているが,サルトリイバラなどの茎に産卵しているところを観察している。たぶんいろいろ水生植物に卵を産み込んでいると思われるが,オオアオイトトンボのように堅い樹木などに産み込めないだけではないだろうか。
 広島県では賀茂台地に比較的産地が多いものの,今までに分かっているところも10カ所はないであろう。分布域の中心は東広島市南部と黒瀬町である。山県郡にも記録があるが,近年は発生が確認されておらず,広島県東部では唯一の産地であった久井町が山陽自動車道の工事で潰れて以来,他の生息地は見つかっていない。いずれにしても,広島県のどこで生息地を確認しても,ぜひ報告してもらいたい。とりわけ賀茂台地以外であれば,大いに重要な知見である。