オグマサナエ Trigomphus ogumai Asahina




 日本特産種で、長野・岐阜・愛知県より西の本州と、四国(徳島県)・九州に限って分布する。平地や丘陵地の植生の豊かな池、沼に生息する。本種の分布域は限られているが、生息環境はそれほど特異ではないことから、生息環境以外の何らかの分布制限要因があるのであろう。県内では福山市周辺に分布が限られている。
 形態的にはフタスジサナエやタベサナエによく似ている。胸部側面の黒条が1本しかないことからフタスジサナエと区別し、前胸部にある黄色い前肩条によりタベサナエと区別することができる。
 広島では福山市を中心とする備後地方に分布するサナエトンボで、広島県西部在住のトンボ愛好家にとっては馴染みの薄い種である。福山市のあるため池では、本種とタベサナエ、フタスジサナエの3種が混成している。このため池でしばらくサナエトンボの観察をしていると、この3種が狭い範囲でありながらも棲み分けしていることがわかってきた。本種は池の最も見通しの良い水際でなわばりを張り、フタスジサナエはやや水際から後退した場所になわばりを張っていた。タベサナエは池の縁に生えた草の上などにいて、水際にはいなかった。とりあえずこの3種の中では、本種が最も優位な場所を確保しているようだ。また大変敏感で、なかなかそばに近づけなかったことも、強く印象に残っている。