オジロサナエ Stylogomphus suzukii (Oguma)

        

広島県呉市郷原町黒瀬川 2000年6月20日午前10時


日本特産種で、本州・四国・九州に分布する。成虫は砂泥底の渓流に産卵し、幼虫は次第に下流に移動しながら成長して、河川中流付近で羽化する。成虫は再び上流に移動するとされているが、実際にはこのライフスタイルは十分に証明されていない。県内では沿岸部を除いて広く分布している。
 小型種で、胸部側面の黒条はY字型である。腹端の付属器は前種・オジロサナエと同様に白くて目立つが、本種は付属器の基部が太く外側に張り出した角があり、先にいくにしたがい急に細り、反り返って勾玉状になっているため、この点で区別ができる。
 いつもオジロサナエの幼虫は渓流を調査する際に採集するが、成虫を観察する機会はなかなか訪れなかった。初めて成虫を観察したのは大竹市の小瀬川で、川岸から弱々しく飛び立った羽化直後のトンボがオジロサナエであった。その後、黒瀬川でも支流と本流が合流する地点で、羽化直後の成虫を観察できるようになった。オジロサナエは渓流で産卵され、その後成長しながら川を下し、河川中流域で成虫になるというライフスタイルを持つため、羽化場所は人目に付きやすい。 その後、成熟した成虫にはなかなか出会えなかったが、2004年に東広島市郷曽のため池でやっと成熟個体を観察できた。このため池のそばには小さな流れがあり、この流れの上に覆い被さった木にとまっていた雄であった。