ヤマサナエ Asiagomphus melaenops (Selys)




      ヤマサナエ♂
広島県安芸郡坂町天地川 2000年6月6日


 渓流に生息する大型のサナエトンボで、登山しているときに大型のサナエトンボを見たら、まず本種の可能性が高いであろう。河川の中流域でも姿を見るが、その場合でも緩やかに流れているところではなく、やや急流となっている場所である。つまり本種は、基本的には、急に流れている河川を好む種である。
 外見上は次種・キイロサナエとよく似ており、正式には雄は尾部付属器、雌は生殖弁で種の同定をする。しかし成熟個体であれば、観察した川の感じ(渓流か緩やかな中流域か)で、本種かキイロサナエかがわかってしまう。
 広島県では中国山地から内陸部、沿岸部に至る広範囲に分布し、大崎上島などの島嶼部にも生息する。島嶼部でも渓流を精査すれば、多くの場所で生息を確認できるような気がする。キイロサナエは緩やかな中流域を好む関係上、そうした長い河川のない島嶼部ではなかなか生息できないが、渓流域を好む本種はあまり河川の規模に影響されないため、島嶼部での生息が可能なのだろう。春に山道を歩いていると、路上などで未熟の本種をよく観察する。これらの個体は、近くを流れる渓流で発生した個体だ。