どこのキャンプ場に行っても,どのサイトを見ても,蛍光灯・ガス・ガソリンの煌々とした明かりに満ち溢れていますね。たしかに,これらのランタンはたいへん明るく,扱いも簡単です。何より明るいのが良いですね。場合によっては,その燃焼の音もいい雰囲気をかもし出すものです。
ですが,これらのランプにない雰囲気をかもし出すものに灯油のランタンがあります。ランタンと呼ぶよりは,ランプといったほうが適切かもしれません。昔から使われてきたランプですのでデザインも古いし,いろいろと欠点はありますが,使う込む中でいい味が出るものでもあります。
ここでは,灯油ランプの魅力を紹介したいと思います。
ハリケーンタイプで解説をします。どのランプも基本的な構造は同じと考えてよいと思います。下から,「燃料タンク」には,灯油を入れます。ここには,燃料が入ると同時に「芯」も入っており,毛細管現象を利用して,燃料を吸い上げています。「燃料キャンプ」は,燃料タンクに灯油を入れるための穴のふたです。しっかりと閉めておく必要があります「芯」は,燃料タンクから灯油を吸い上げ,その先端で燃焼させる役目を持ちます。多少芯自身も燃えますが,一本の芯の寿命は意外と長いものです。「グローブ」は,風防の役目と同時に炎を安定させる役目を持ちます。着火時には「グローブ昇降レバー」でグローブを持ち上げるようにして点火します。この写真には写っていませんが,「芯」を上下し,炎の大きさを調整するレバーも付いています。
簡単に言えば,理科の実験で使うアルコールランプと同じ構造なんです。シンプルな構造であるがゆえに長く使ウことができます。
いきなり否定から入るのですが灯油ランプをアウトドア用として考えたときにはいろいろな欠点があります。
(1) ガソリンやガスランタンに比べると暗い
単純いえば,灯油の滲みた布(芯といいます)が燃えているだけですので,ろうそくと同じですから明るさは期待できません。
(2) 輸送中に燃料が漏れる
最新のランタンのように燃料を完全に密閉できませんので移動中に燃料が漏れることがあります。燃料を入れるのは,使う場所に移動してからということになりますし,使用後は燃料を抜いて移動させる必要があります。
(3) 燃料の継ぎ足しが必要
ガスやガソリンのランタンでは,燃料が尽きるまで使うことができますが,灯油ランプでは,燃料が尽きるまで使うと芯が燃え始めます。これでは,芯が長持ちしません。燃料がなくなる前に補充する必要があります。
(4) 風に弱い
ハリケーンタイプでなければ,まず風で消えてしまいます。
(1) 明るさについて
暗いといわれるが,芯の巾によっては,そばで読書ができる程度の明るさはありますし,テーブルランプ程度の大きさになれば,食事をすることができます。必要十分な明るさではあります。シンプルな炎の揺らめきが,テーブルの雰囲気を作ります。いつもと同じ料理が,一際おいしく感じられたり,コーヒーの香りとともに目で楽しむことのできる炎でもあります。明るすぎないゆえにできることです。
また,サイトのあまり広くないキャンプ場では,自分のサイトの明かりが,隣に侵入してしまい,迷惑をかけてしまうこともあるものです。そんな時,灯油ランタンの明るさなら必要最小限に絞ることができ,近隣の迷惑にはなりません。
(2) 燃料漏れについて
確かに燃料は漏れますが,漏れるといっても,グローブ内の芯の露出している部分からごく少量もれるだけです。立てて輸送することができれば,それほど大量に漏れわけではありません。私は,ガラスのランプに灯油を半分程度入れて持ち運びますが,燃料が漏れて困ったということはありません。燃料キャップをしっかりと閉めていれば,漏れる量はほんの少しです。また,ウェスでくるんで輸送しますのでまったく気になりません。
(3) 燃料の使用量と継ぎ足し(補給)について
途中で継ぎ足す必要はありますが,燃料を八分目まで入れた状態で7〜8時間程度は燃焼するので,あまり気にはなりません。燃料タンクの大きなものでは,常夜灯として使うこともあります。
(4) 風について
アウトドアで使うにはハリケーンタイプを使います。これは,たいへん風に強く,少々の風では消えることはありません。タープが飛んでも消えません。もともと,インドア用に製作されたガラスのランプは,外で使うのは不向きです。トレーラーやキャンピングカーの室内用と考えれば十分に利用価値があります。
これなら,風に対して強くなります。
(5) 本体の価格と燃料費が安い
灯油ランタンの多くは3000円から5000円程度で購入できます。ちょっとしたものなら1000円以下です。もちろん,すべてがガラスでできたものの中には,数万円するものもありますが,これはむしろ美術品といった雰囲気です。実用品は,どんなに高くても1万円以下であります。
また,燃料も灯油ですのでそれほど費用がかかりません。それに,燃料がどこでも手に入ります。ガソリンスタンドならいつでも手に入りますし,最近はホームセンターでも灯油を売っていますね。もちろん,専用の燃料がないわけではありませんが・・・
(6) 無音であるということ
ガスやガソリンのランタンでは,それなりに音がしますが,灯油ランタンではまったく音がしません。秋の夜長,虫の声を楽しみにキャンプをするときには,必需品です。
また,サイトが狭いキャンプ場では,話し声もさることながら,静かな夜を楽しみたい人にとっては,ガソリンランタンの音は,轟音に聞こえるものです。場合によっては,音を出さないこのランプが役に立つかもしれません。
よく使ったランタンほど味が出るものです。特に,ブラス(真鍮)製のハリケーンタイプのランプは,使うほどに味が出るものです。しかし,手入れを怠ると単純に古くさいだけになってしまいます。
グローブ
外で使っていると,虫の死骸が付いていたり,炎の煤で汚れたりするものです。割れないように注意しながら,中性洗剤をやわらかいスポンジにつけて洗います。私は,薄めた漂白剤の中に入れておいたものを水洗いするようにしています。
本体
金属製の物は,やわらかい布で吹くようにします。その時,マジックリンなど二度武器のいらない洗剤を使うと楽にきれいになります。めっきしていないものであれば,「ピカール」という,金属磨きを使うと良いかもしれません。ガラス製も製品は,中性洗剤を含ませた布で拭いておきます。
掃除をするときに,芯と芯を上げ下げする機構部分には触れないようにします。芯に水分が付くときれいな炎が上がらなくなります。気をつけましょう。
@ グローブ内の炎の形を整えてやると,より明るくなるような気もしますし,見ていて飽きないものです。これは,芯の角を少し切ってやることできれいな炎を作り出すことができます。
A どんなランタンを購入しても,給油口は意外と小さいものです。これに灯油を入れるのは,意外と難しく,ついこぼしてしまいます。100均に小さな漏斗を売っていましたのでこれを購入し,灯油を一度,空き缶に移してから給油してやるときれいに入りました。灯油の輸送には,スノーピークなどから発売されている専用の容器を使わなくても,空になった1Lのガソリン缶などを活用すればいいと思います。