夢みるクリスマス




子どもの頃
クリスマスの朝には
目がさめると
お菓子のプレゼントがおいてあった

一度はサンタクロースの姿を見てやろうと
夜遅くまで起きて頑張っていたが
いつの間にか寝てしまって
そのうちにそっと置いてあった

今の時代
子どものクリスマスプレゼントはずいぶんと派手になり
リクエストに応じたものを用意しようとする場合が多いが
それには色々困ったこともある

サンタクロースを信じている子ども達は
値段などおかまいなしで「ほしい」と言う
中には予約注文をしないと手に入らないものもある
あげくの果てには
やっとのことで用意したのに
突然リクエストを変えたがる子もいる

そのたびに親は
どう子どもに納得させるのか
頭を悩ませる事になる

我が家はもう3、4年前に
サンタクロースの正体を明かした
息子はすぐ納得したが
娘はショックを受けた
今でも
「教えてくれなければ良かったのに」
と文句を言う(苦笑)

毎年クリスマスには
世界中でお祝いがなされ
華やかさを楽しむ機会があちこちでもたれるが
一方
その楽しみにあずかれない寂しさを味わう人もいる

ノルウェーに住んでいた人から聞いた話だが
クリスマスには毎年
一人暮らしの老人が
寂しさから自殺するケースが後をたたないと言う
だからイヴのテレビ放送で
「みなさんのまわりに一人の人がいたら
今からすぐに電話をかけてあげて下さい」
とのメッセージが流れるらしい

日本でも
”敬老の日”に老人の自殺者が出たりする
世の中は豊かになっても
人の心はそれに比例していない
他人に対する心づかいどころか
自分の心さえもてあましている
自分で自分を不幸にしている人もたくさんいる

我が家のクリスマスはというと
大人は教会のクリスマス礼拝に気分が向いていて
もうそれだけで十分疲れているので(苦笑)
家でのパーティーなんぞどうでもいいではないか
などと思ってしまう

それでも子どもにとってはやはり大事なクリスマスイヴは
ケーキも食べたいし
プレゼントも楽しみだ
それぞれが自分でその雰囲気に浸っている

今年は娘のリクエストで
スヌーピーの形のアイスクリームケーキを買った
だが
当の本人は
朝から38度以上の熱を出して寝込んでいる
夫もこのところ調子が良くない
息子は今夜は塾へ行く
あらあら、せっかくのケーキなのに

娘は毎年自分のプレゼント入れの靴下を
画用紙で作っているが
今年はどうするのだろう
熱があっても何かやりそうだ(笑)

うちでは
「楽しみは自分で作る」
ことになっているので
サンタクロースを今でも信じたい娘は
夢をこうして自身で演出している

わたしはというと
さっき本屋でチラッと立ち読みした雑誌に
ヨーロッパのクリスマス風景が載っていたのだが
一度は行ってみたいよね〜
と心さわぐ

昔から思っているが
欧米のクリスマスの飾りと
日本のクリスマスの飾りはぜんぜん違う
どうして日本には
あのちょっとトーンをおとした
独特の風情が取り入れられないのだろう
わたしも何年も真似たいと思いつつ
毎年思うようにいかない
どうしても一度本場へいって
この目で確かめてこなくては

などと全然見通しもない夢を見ている(笑)

夫はこの前から
400万円の教会オルガンのカタログを見ている
こっちの夢はいつもケタが違う(笑)

息子はあの調子だし
どうもみんなかなり現実離れしている
最近は”仙人”の域に達しているのではないかと
思える事もある(大笑)

日本では
すっかり商業化されてしまったクリスマスだが
それでも年に一度
世間が教会とちょっと近くなる
わたしにとっては嬉しい時であり
また
夢を見るに最もふさわしい時でもある




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