さらに強く
五月
薔薇を育てるものにとって
一年はこの月のためにあると言っても過言ではない
これから咲き始めるつるバラの見頃は
この5月に2週間しかない
そのために一年をかけて世話をする
それでも十分だと思えるほど
枝からこぼれるように咲く姿はあまりに美しい
昨年の今ごろは
ウドンコ病に泣かされて
毎日毎日病気の葉っぱを酢でふいていた
しかし
今年は今のところ全く症状は出ていない
薔薇をどうしても無農薬で育てたい
そう願って色々なサイトを巡りながら
目に付いたのが
”薔薇を病気から守ることよりも
病気にならない強い薔薇を育てる”
という方針
良い土を作る努力をすることで
薔薇にも体力がつき
病気に強くなる
無農薬にすることで
害虫の天敵が訪れる環境を作る
それまで
薔薇には病気も虫も当然つくものと思っていた
だから
それを防除するための農薬に代わる”特効薬”を探していたのだが
そういうものにべったり依存するという考え方そのものが
どうやら間違っていたことに気づき
また勉強させてもらった
薔薇はデリケートだから守るのではなく
強くなるように育てる
人が育って行くのに似ている
害虫駆除の一番の薬
その名は”テデトール”
名前のとおり
自らの”手で取る”
今までどんな小さな毛虫でも震え上がっていたわたしに
テデトールは実に辛い
世の中で最も怖いもののひとつが『昆虫図鑑』
触るどころか見るのもおぞましい
しかし
本当に薔薇を愛して育てるなら
敵の姿も知らなくてはならない
そして
見つけたらテデトールも実行しなくては、、、
今年パラダイスが咲いた時
昨年の花姿と異なっていることに驚いた
大きく形良く
そして紫がかった本来の色が出ている
葉の色艶も冴え
昨年とは別物のようだ
この薔薇
確実に強く成長している
一方わたしは
昨年なら遠くから殺虫スプレーをかけるのがせいいっぱいだった虫を
1センチくらいなら手で取れるようになった
それ以上になると”割り箸”だけど、、、
毎朝
新聞を取りに出た時
必ず目を皿のようにして虫がいないか探す
薔薇をにらみつけている姿は
ちょっと異様かもしれない(笑)
薔薇と一緒に
わたしも確実に強く成長している
まだ家族がみんな元気だった頃には
「介護」なんて自分にはできないと思っていた
それでも
せっぱ詰まると人は何でもやるようになる
絶対できないと決めていたことも
やればどれも必ずできるようになる
『なさぬは人のなさぬなり』
やらなければいつまでも何もできない
厳しさに直面した時
実に打たれ強い人と弱い人がある
牧師という仕事をやっていると
色んな人に出会う
厳しいことを言わなくてはならないこともある
そんな時
「わたしは傷つきやすいので厳しいことを言われると困ります」
という人がある
そういう人に限って
他人の落ち度は厳しく追及している
なのに自分の落ち度は黙って許してくれというのは
それは単なるわがままというものだろう
もし少しの苦言にも傷つく弱い人なら
自らを鍛えて強くならなくては
何も解決しない
自然を相手にしていると
植物はみんな耐えているなぁ・・・とつくづく思う
猛暑、干ばつ、極寒、暴風、そして病害虫
敵は容赦なく襲ってくる
人間がいくら手をかけても
自らが強くならなければ
やがて枯れてしまう
わたしもさらに強くなって
今度は2センチくらいの毛虫でも取れるようになりたい
びくびくしながら葉っぱをめくる自分に卒業したい
「さらに強く」と言うと
それ以上強くなってどうする!?
という声も聞こえてきそうだけど(笑)
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