日本の詩
娘は歌を習うようになってから
特に昔の日本の歌を好んで歌っている
わたしが小学校の頃には
必ず教科書に載っていた曲が
今はほとんど採用されていない
『日本の詩』というCDを聴きながら
娘はそれをとても残念がる
こんなに良い歌がたくさんあるのに・・・
一緒に車に乗るときには
よくこのCDをかける
「花」を歌う時には
自分が上のパートを歌うから
わたしには下を歌ってよと言う
昔習ったメロディーを思い出しながら
いっしょに歌っていると
日本の昔の歌は”詩”が優れているんだなぁと感じる
娘が最も好きな曲は「ふるさと」
うさぎ追いしかの山〜♪
で始まる一番はよく知っている
しかし
三番があるのは
娘から聞いて始めて知った
”こころざしを果たして
いつの日にか帰らん
山は青きふるさと
水は清きふるさと”
昨年だっただろうか
娘に
この歌詞の意味がわかるのかと聞いてみたら
「東京へ行ってね
歌手になって成功して
ふるさとに帰ってくることよ」
ほうほう
なかなか的を得たお答え(笑)
”志”という字は
義父が息子の名前を付ける時に使って以来
特別に重みのある言葉との印象がある
義父は
同じ年に生まれた
別の男の子にも”志”の字をつけた
義父はたくさんの子ども達の名前をつけたが
みんななかなかしゃれた名前をもらっている
自分が”十郎”という名前で
実にこの名が気に入らなかったらしく
数字の入った名前や
”郎”の字は使わないのだといっていた
何でも
本来”十郎”ではなく”寿郎”という
おめでたい名前になるところを
親戚の誰かが「立派過ぎる」と言って
あっさり”十郎”にされてしまったという
ちょっと悲しい逸話があるので
余計に数字が大嫌いになってしまったのだった
息子が生まれる前
まだ性別がわからない時
義父はまず女の子の名前を考えていた
キーワードは”水”
聖書では
水は生命の源として
重要な言葉となっている
「”みずほ”とつけたい」
義父がそう言っている時は
当然”瑞穂”という字になるのだろうと思っていた
それから先に男の子が生まれて
その後
やっと”みずほ”の出番
で、字はどうするのか・・・?
”みず”はそのまま”水”にするという
これだけでも
へー?!と思ったが
”ほ”は”蛍”にすることになり
ほぉぉ・・・・そうくるのかーと
感心してうなってしまった
ほたるの字は
昔ながらの”螢”が使いたかった
でも今は名前に使う漢字は限られているので
結局”水蛍”となった
これには義父もちょっとがっかりしていた
昔の詩に情緒があるのと同じように
昔の字にも味わいがある
あれもこれもなくなっていくのは
本当に残念なことだ
いつか娘が大人になったら
通称として”螢”を使ったらいいねと話している
実は”みずほ”の他に
女の子の名前の候補には”なぎさ”があった
『イエス渚にて祈りたもう』
そこのみことばからつけようと思ったらしい
やはりキーワードは水の関係
結局こちらは使われることはなかった
わたしとしては当然”渚”の字を使うものと考えていたが
もしかすると義父はもっと違った字を選んだかもしれない
さて
『神さまの御心が成るために志を立てさせて
かつ実現に至らせる』
という意味のみことばから
”志成”と名づけられた息子は
これからどんな志を持っていくのだろう
「やっぱり牧師になって後を継ぐんでしょう」
と言ったらきっといやな顔をするだろう(苦笑)
教会の子どもはこれを言われるのが一番辛い
親が苦労しているのを知っているから
誰だってできれば逃げたいものだ
仕事が成功すると
人はたいていふるさとへ帰ってくる
それはきっと親に報告と感謝をするためなのだろう
どんなに偉い人になっても
自分の原点はここにあるのだから
昔ながらの日本の詩は
その表現が美しい
最近は
田舎からもらってきた山野草を愛でながら
日本の情緒に浸っている
山の土にはタネも混ざっていて
いつの間にか何やら葉っぱが出てきている
これはいったい何だろう?
そのうち花が咲くかもしれないので
大事に育ててみる
こんな小さな草にも
きっと美しい名前がついているに違いない
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