熟練の技
先日
中学校のPTA役員会の帰り道
一台の車が止まって
「きみちゃん、乗らない?」
と声をかけられた
小学校時代の同級生だ
彼女も役員会だったのかと聞いてみると
ご主人の父親が倒れて入院しているので
病院からの帰りだと言う
この暗い中
後姿を見てよくわたしとわかったものだと思わず感心
彼女とは
数年前に小学校の役員をしていた時に
「あら、おひさしぶり〜」と顔をあわせて以来
出会うと話をするようになった
とはいえ
さほど親しいわけでもないのに
こうしてわざわざ声をかけてもらえるのは
とても嬉しかった
4歳の時から住んでいるこの町には
知り合いも数多くいる
学校を卒業して
それぞれの道が分かれるとそのうち疎遠になっていくが
時は流れ
今度は子ども達が縁で
学校でのつながりができてくる
確か
その小学校の役員をしていた時は
義父が亡くなる年で
予想外に急速に病状の悪くなる中
たくさんの人に助けてもらった
そもそも役員を引き受けたのは
順番で行けばもう一年後でよかったのだが
年々衰える義父を見ていると
今役員をやれるうちにやっておかないと
寝たきりになってしまったら身動きが取れないからと思い
わざわざ早めに志願したのだった
ところが
人の予想など全く当てにはならない
義父の状態はどんどん悪くなり
一方わたしは
平役員の予定が
くじで副部長を当ててしまった
とんだおまけがついてきたものだ
それでもまだ部長が当たらなかったのは
神さまの憐れみというものだろう
同じくくじで当たった部長さんは
自分も忙しいのに
わたしの立場をよくわかって
色々配慮をしてもらった
大きな行事の時も
後片付けもできずに早退
申し訳ないなあと後ろめたい思いをしていたら
5日後に義父は亡くなった
その2日後にはまた別の行事があったが
告別式のために欠席となった
時はすでに11月
この年の目ぼしい行事はこれでほとんど終り
手の空いたわたしには
もう大した仕事は残っていなかった
ものすごく大変で
ものすごく困っている時
本当にいろんな人に助けてもらった
そういう時は人の親切が身にしみる
あれからもまた毎年のように何らかの役員をしている
今年は
同窓会の役員と
中学校のPTA役員と
小学校の地区子ども会のお手伝いをしていて
一昨日は同窓会役員として
今週行われる母校のバザーで売る
フルーツケーキ作りに行ってきた
全部で1000個作るとの事で
わたしはその作業の一部
「生地詰め係り」を担当
紙を敷いたケーキ型に
きっちり580グラムのケーキ生地を入れるのだが
当然のことながら
何度も入れては計り
多かったと出しては計りの繰り返し
全部で何個詰めたかわからないが
その中で一度だけピタリ賞があった
ヘラですくって入れる感覚は
何度もやっていると
このくらいかな?と何となくわかってくる
3日くらいこればっかりやっていたら
かなり腕が磨かれるのではないかと
ちょっとやってみたくなる(笑)
達人と呼ばれる寿司職人は
さっと手ですくうシャリの量がいつも決まっていて
御飯粒を数えると
どれも同じ数だという
熟練の技は素晴らしい
この時期は
色んな行事が次々待っている
昨日は町民運動会
カラーコーンにフラフープを投げ入れる「輪投げ」は
このくらいなら・・・と侮っていた
思わぬところに転がっていくフラフープ
こういうところで失敗すると
本人は恥ずかしいが
観客にはとてもうける
わたしはちゃんと楽しい運動会に貢献をした(笑)
何より”おばさん”だから失敗しても平気なのだ(大笑)
同年代の”おじさん”は失敗した後ひどく落ち込んでいた
こんなことでも落ち込まなければならないとは
男の世界は厳しい(苦笑)
運動会の毎年の種目で
わたしが必ず「勘弁してください〜〜」とお願いするのは
自転車のリームを棒で転がしながら走る競技
これは年のいった人が実に上手い
何でも子どもの頃はこればっかりやって遊んでいたという
60〜70代くらいの人たちがスイスイ走っていく
わたしはこれが全然できないので
その姿は尊敬に値する
さて
先週は”ケーキ職人”
そして
今週はバザー当日”たこ焼き職人”になる
うちにも景品でもらったたこ焼き器があって
何度か作ったこともあるので
一応やれるのではないかと思っているが
かなり手早さも要求されるようなので
ちょっと不安もある
何の世界でもそうだが
技術を持った職人さんてスゴイと思う
わたしは何でも中途半端にちょっとやってみるだけの人なので
じっくりひとつのことに取り組んでいる人を見ると
思わず頭が下がる
ただ単に”始める”ことは簡単だが
”継続”と”維持”は難しい
一日10分の英会話の勉強も
わたしには続けられない
時々
周りの人がみんなとても立派に見えて
自分だけはダメだなぁ・・と思う事がある
が
落ち込んでいる場合ではない
時は止まってわたしと一緒に考え込んではくれないから
とりあえず
時と一緒に毎日進んでいる
あさっては友人が薔薇を見にやってくる
子どもは自慢できないが
薔薇なら自慢できるものが色々ある(笑)
今日も
「お花を見せてください」
という人がやってきて
しばし薔薇談議に花が咲く
うちの庭は道路からすぐ入りやすいようになっていて
誰でも気軽に見てくださって結構なのだが
やはり当然遠慮があるようだ
『Open Garden』の張り紙でもしておこうかな
などとも考える
最近はご近所の花好きのおばさんに
苗や手作りの腕抜きをもらったり
こちらもうちで増えた苗を差し上げたり
花を通して色んなご縁もできている
一時期
人との関わりをとてもわずらわしいと感じて
逃げていた事もがあるが
今は前向きにならないとと思っている
お花を育てていると
見知らぬ人からも声をかけてもらえるので嬉しい
薔薇の一番美しいこの季節は
たくさんの楽しみがある
<目次