遅くあらば待つべし


先月までは
朝起きると一番にバラにご挨拶をしに外へ出ていた
それが今は
外へ出るとまず野菜の方へ足が向く
どのくらい大きくなったかな〜♪



大きいのから小さいのまできれいに並んだミニトマト



目に見えて太るカボチャ



あと2日くらいで収穫できそうなキュウリ

どれもあんまり可愛いので
ついうっとり見とれていると
息子のお弁当を作る時間がなくなってしまう
また後で見に来るからね〜
後は急いでバラの様子をぐるっと見回ってから家に入る

わたしにはいつも理想がある
その理想を目標に色々やっていると
結果を早く見たくなる
野菜の種をまいたその日から
わたしの頭の中には
たわわに実ったトマトやキュウリがあった

♪早く芽を出せ柿の種、出さねばハサミでちょん切るぞ♪
そう唄う「さるかに合戦」のカニの心境で
毎日しゃがみ込んで鉢とにらめっこする
やっとのことで出てきたキュウリの芽を
ナメクジが食べてしまった時は何とも情けなかった
また一から出直しだ・・・

それから実がつくまで
どんなにか心配した事だろう
何せ今年は怪しげな自作の肥料を使っているので
もしかすると葉っぱばっかり茂って実がつかないとか
あるいはあっさり枯れてしまうとか
何が起きても不思議ではない
そう思うと
とりあえず早く花がつくのを確認したくて
毎日毎日それはそれは待ち遠しかった

とにかくやるだけのことはやった
後は待つしかない
でも待つのは長い
待つってとても辛い

双葉を半分ナメクジにかじられたキュウリが
しばらくそのままの姿でじっとしていた
このまま枯れるのか
あるいは生き延びるのか・・・
もういいかげんあきらめようかと思った頃
本葉が伸び始め
めきめきと成長が始まった

庭の方は
春から夏へと移り変わり
ついこの前まで咲き乱れていたバラも
ぽつりぽつりと返り咲きながら
落ち着きをとりもどしている

毎日新しく咲く花を緊張しながら出迎え
理想の姿になるようにと期待して待つ間は
すべてが達成された時よりも楽しかった
待つのは嫌いなのに
待っている間はわくわくしていた


ラベンダーの花が色づき始めている
まだ咲ききる前に収穫してドライフラワーにする
これはハーブ石けんを作るのに使う
まずはドライフラワーになるまで待って
石けんにしてからも熟成期間を1ヶ月待つ
なんとも気の長い話だ
それ以前に
うちで栽培したハーブで石けんを作る構想は
一年以上前からあったが
無農薬栽培が実現した今年やっと
この構想も夢ではなくなった

いつかこんなになったらなぁと
現実の厳しさはさておいて
わたしはいつもあれこれ夢を見ている
夢が多すぎるので
待つことばかりだが
最近は待つことも楽しみの一つにしている

「もし遅くあらば待つべし
必ず臨むべし
とどこおりはせじ」
(ハバクク書2章3節)

このみことばは
待つことばかりでいっこうに道が開けない時も
いつか必ず良くなるとの希望を与えてくれる

母が昔
草色に白い花の描かれた茶器を持っていたのだが
そのセットを購入する時
お店を訪れていた若いカップルの様子が印象的だったと話していた
これから新婚生活をスタートさせるのだろうか
そこは繁華街の高級食器をあつかうお店
美しい食器をながめては
「いつかこんなのが買えるようになったらいいねぇ・・」と
二人で楽しそうに話していた
当時すでに家業も順調で何不自由のない生活をしていた母は
本当はあの駆け出しの時代が一番良い時代なのではないかと
うらやましく思ったと言う

今年の春のバラは本当に美しかった
一年かけて準備してきた舞台が終わってしまったら
なんだか急に寂しくなった
夢は実現すると空しくなる
だからもうすでに来年へ向けての準備が始まっている



スカイブルーのボッグセージが咲き始めた
こんな青空が広がる梅雨明け頃には
野菜たちはどうなっているだろう
来週にはニガウリの苗をいただく事になっているし
この前種をまいたモロヘイヤもたくさん芽を出している
さてどう育てようかな〜♪

こうして”素人何でも栽培屋”のあくなき探求は今日もつづく





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