今週のみことば


10月15日


「一人の男がマオンにいた
仕事場はカルメルにあり、非常に裕福で、羊3千匹、山羊千匹を持っていた
彼はカルメルで羊の毛を刈っていた
男の名はナバルで、妻の名はアビガイルと言った
妻は聡明で美しかったが、夫は頑固で行状が悪かった」
(サムエル記上25章2-3節)

ダビデがサウルに追われて逃げている頃
サムエルが亡くなりました
全イスラエルは彼を悼み、ラマにある彼の家に葬ります
その後ダビデはパランの荒野に下っていきました

ダビデと600人の部下たちは
ナバルというお金持ちのところで
家畜などの財産を守る警護の仕事をしていました
ある日
羊の毛を刈る祭りの日が来たので
ダビデは従者10人をナバルのところにつかわして
自分たちにもお祭りの食物を分けてくださいと
丁寧な言葉で頼みに行かせました
ところがナバルはケチな人だったので
ダビデを”主人(サウル王)のもとを逃げ出した奴隷”とののしり
ダビデの従者を追い返したのです

この扱いに大いに腹を立てたダビデは
すぐに400人の従者に剣を持たせ
ナバルのところへ出かけます
一方
ナバルの従者の一人が
ナバルの妻アビガイルのところに来て
ダビデ一行が今までいかに良い仕事をしてくれたかということと
そんな彼らにナバルはねぎらうどころか大変な非礼を行ったことを告げます

「ご主人にも、この家の者全体にも、災いがふりかかろうとしている今
あなたが何をなすべきか、しっかり考えてください
ご主人はならず者で、だれも彼に話しかけることができません」(17節)


従者の言葉を聞いたアビガイルはすぐに食料をたずさえて
ナバルには知らせずにダビデの元に向かいました
すると途中でダビデの一行と出会ったので
彼女はダビデに主人の非礼をわび、贈りものを献上します
その上でアビガイルは
これから王となるべき立場のダビデが
腹立ちまぎれにナバルを殺すことがないようにと説得するのでした

「どうかはしための失礼をお許しください
主は必ずあなたのために確固とした家を興してくださいます
あなたは主の戦いをたたかわれる方で
生涯、悪いことがあなたを襲うことはございませんから
人が逆らって立ち、お命をねらって追い迫ってきても
お命はあなたの神、主によって命の袋に納められ
敵の命こそ主によって石投げひもに仕掛けられ
投げ飛ばされることでございましょう
また、主が約束なさった幸いをすべて成就し
あなたをイスラエルの指導者としてお立てになる時
いわれもなく血を流したり、御自分の手で復讐なさったことなどが
つまづきや、お心の責めとなりませんように
主があなたをお恵みになるときには、はしためを思い出してください」(28-31節)


アビガイルはダビデを王になる人として敬い
愚か者のナバルのために復讐をすることは
彼の将来に傷をつけることになると
賢い言葉で諭します
そして、その言葉を聞いたダビデは心を変え
ナバルに対して復讐をすることをやめて帰っていきました

「イスラエルの神、主はたたえられよ
主は、今日、あなたをわたしにつかわされた
あなたの判断はたたえられ、あなたもたたえられよ
わたしが流血の罪を犯し、自分の手で復讐することを止めてくれた
イスラエルの神、主は生きておられる
主はわたしを引き止め、あなたを災いから守られた
あなたが急いでわたしに会いに来ていなければ
明日の朝の光が射すころには
ナバルに一人の男も残されていなかっただろう」(32-34節)


こうしてダビデが「流血の罪」を犯さずに済んだ背景には
二人の人物が関わっています
一人目はナバルの従者で
彼はナバルがダビデに対してとった行動をすぐにアビガイルに伝え
”あなたが何をなすべきか、しっかり考えてください”
と懇願しました
そして二人目はナバルの妻アビガイルであり
彼女は従者の言葉を聞いてすぐに何をすべきか考えて行動しました
もしこの二人がいなければダビデは怒りに任せて
ナバルと彼に仕える男たちを殺していたでしょう

人生には色々な出会いがありますが
自分に大切なことを伝えてくれる人との出会いは大変貴重です
しかし
その語る言葉に聞き従わないなら
出会いも意味がなくなってしまいます

人間はしばしば自分の思いが第一になり
感情に従って突っ走っていきがちです
そうした方が自分にとって心地よくても
その行動が後にどういう影響をもたらすかまでは
カーッとなっている状態ではわかりません

そんな時、ダビデに与えられたアビガイルの言葉は
神からの知恵に満ちており
信仰深いダビデは
復讐をすることが決して神に喜ばれるものではないと悟りました

わたしたちクリスチャンにとっても
自分の行動が神に喜ばれるものであるかどうかを考えるのは
とても大切なことです
どんな事があったとしても
怒りに任せて行動してはならない
そんな時に思い出すべきみことばがあります

「愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい
『”復讐はわたしのすること、わたしが報復する”と主は言われる』と書いてあります
『あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ
そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる』
悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい」
(ローマ人への手紙12章19-21節)


”善をもって悪に勝ちなさい”とは
神の知恵でサタンに勝ちなさいということ
そして
神を信じる人には、”知恵ある人”との出会いがあり
自分がどう行動すればいいのかを
そのつど教えてもらえるのです

ダビデに堂々と進言したアビガイルの言葉は
神の知恵と品格に満ちており
ここにはわたしたちの学ぶべき
クリスチャンとしての行動や考え方の模範が示されています
そんな彼女の言葉を
ダビデは「単なる女の語ったこと」として軽視せず
そこに神の知恵を感じ
真摯に受け止めて従いました
それもダビデの信仰ゆえの行動でしょう

さて、ダビデとアビガイルが会っていた頃
何も知らないナバルは酒に酔って良い気分になっていました
ところが
翌日、アビガイルがこれまでのいきさつをナバルに告げると
彼は意識を失って石のようになり
10日後、神に打たれて死んでしまったのです

「ナバルが死んだと聞いたダビデは
『主はたたえられよ。主は、ナバルが加えた侮辱に裁きを下し
僕に悪を行わせず、かえって、ナバルの悪をナバルの頭に返された』と言った」(39節)


この後、ダビデはアビガイルを自分の妻に迎えます
アビガイルは
「わたしはご主人さまの僕たちの足を洗うはしためになります」
と言って、彼の元に嫁ぎました

アビガイルは、自分を王の妻ではなく「はしため」と呼んでいます
神の前にわたしたちクリスチャンも
「主のはしため」として自らを低くし
神の導きが何であるかを
さまざまな事がらを通して理解することできるように
信仰の成長を目指して進んでいきましょう



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