今週のみことば


1月9日


「エルバアルの子アビメレクはシケムに来て、母方のおじたちに会い
彼らと母の家族が属する一族全員にこう言った
『シケムのすべての首長にこう言い聞かせてください
あなたたちにとって、エルバアルの息子70人全部に治められるのと
一人の息子に治められるのと、どちらが得か
ただし、わたしがあなたたちの骨であり肉だということを心に留めよ』」
(士師記9章1-2節)

ギデオン(別名:エルバアル)が死ぬと
イスラエルの人々は神を離れてまた偶像に従うようになりました
しかしそれ以前に
ギデオンの存命中にも彼の作った金のエポデ(祭司の服)が偶像になり
ギデオンがエポデを作ったことが
「ギデオンとその一族にとって罠(わな)となった」(8章27節)
と記されている通り
この後ギデオンの息子たちに災いが訪れるのでした

そもそもギデオンには多くの妻があり息子が70人もいました
その中のひとりアビメレクはカナン人の女奴隷の子でしたが
彼は自分が王になるために母方のおじたちに話を持ちかけます
「あなたたちにとって、エルバアルの息子70人全部に治められるのと
一人の息子に治められるのと、どちらが得か」

そう問われて、彼らは自分たちと直接血のつながりがあるアビメレクを支持するのが得だと思い
偶像の神殿から持ってきた銀七十をアビメレクに渡しました
そのお金でアビメレクは「ならず者」を数名雇い
自分の兄弟であるギデオンの息子70人のうち
逃げたヨタム以外を全員殺してしまったのです

生き延びたヨタムはゲリジム山の頂上から
アビメレクを王としたシケムの首長たちに向かって叫びます
「さて、あなたたちはアビメレクを王としたが、それは誠意のある正しい行動だろうか
それがエルバアルとその一族を正当に遇し、彼の手柄にふさわしく報いることだろうか
わたしの父はあなたたちのために戦い、命をかけて
あなたたちをミディアンの手から救い出した
ところが今日、あなたたちはわたしの父の家に背いて立ち上がり
その息子七十人を一つの石の上で殺し
女奴隷の子アビメレクを、ただ自分たちの身内だからというだけで
シケムの首長たちの上に立てて王とした
もし今日、あなたたちが
エルバアルとその一族とに対して誠意をもって正しく行動したのなら
アビメレクと共に喜び祝うがよい
もしそうでなければ、アビメレクから火が出て、シケムの首長たちとベト・ミロをなめ尽くす
またシケムの首長たちとベト・ミロから火が出て、アビメレクをなめ尽くす」
(士師記9章16‐20節)


イスラエルを導く者は、それまで神によって選ばれていましたが
アビメレクは自ら王に志願し、策略をもってその座を手に入れました
その行為はけっして”誠意のある正しい行動”ではありません
そのため神はこれを許さず
アビメレクが3年間イスラエルを支配下に置いた後
アビメレクとシケムの首長たちの間に険悪な空気を送り込み
互いに滅ぼしあうように仕向けられました

その後シケムの人々はアビメレクを裏切ったため
アビメレクはシケムの人々千人を殺しました
そしてアビメレクも女が投げた臼の石を頭に受けて致命傷を負い
女に殺されたと言われないために従者にとどめを刺すよう命じて
悲惨な最期を遂げるのです

「神はアビメレクが七十人の兄弟を殺して、父に加えた悪事の報復を果された
また神は、シケムの人々の行ったすべての悪事にもそれぞれ報復を果された
こうしてシケムの人々は
エルバアルの子ヨタムの呪いをその身に受けることになった」

士師記9章56‐57節)

この9章における一連の出来事を見る時
それは単なる権力争いではなく
一人一人の行いが神に対して誠意あるものかどうかを神は見て
それに対して正しく報いるのだということを教えられます

また
8章においてイスラエル人はギデオンが作ったエポデを偶像として拝んだり
ギデオンが死ねばまたバアルの神を拝むようになったりと
人間がいかに偶像に弱いかも教えられるのです

過去にどれほど神に助けられていようとも
危険が去ればすぐに心は神から離れてしまう
それは神を侮っているからに他なりません
そして、その神を侮る心そのものが偶像崇拝であり
そのような心を持っていることに対して
神は正しく報いる方であるということ
また、その神は実在する方であることを
わたしたちは忘れてはならないのです

ギデオンは神の言葉に従って働いた士師ではありましたが
エポデを作ってしまったことの他に
多くの妻を持ち、一族が不和を起こす元を作ってしまったのも過ちでした
神の選びと助けによって一躍英雄になったギデオンの一族は
結局、身内によって子どもはヨタム以外皆殺しになり
家は衰退して行きました

人は、まいた種は自分で刈り取らねばなりません
神を忘れ、権力を持ちたい人が出てくると
そこに同調する人々はみな神の祝福を失って
多くのシケムの人々は滅ぼされ
アビメレクも最後は恥をこうむることになりました

心の中の「おごり」は
自分のみならず周りも崩壊させます
神を侮る人は、神が人の心を見通す方であるとも知らず
信仰しているふりをして実は自分の欲しか考えておらず
教会においても、しばしば信仰者同士の輪を乱します
しかし
こうなってしまった人は自分がもはや何をしているのかもわかりません
それが神の祝福を失った人の姿だからです

様々なトラブルに巻き込まれ
腹立たしいことがあったとしても
わたしたちの行いが”神に対して誠意あるもの”であるかどうかを
神は必ず見て
そこに正しく報いてくださいますから
自ら裁かず、神にゆだねていきましょう
それが神に祝された人の歩みだからです

信仰者の基本は自分ではなく神への賛美
この基本を外さなければ、どんな時にも平安が与えられ
いよいよ感謝も増していくでしょう
このサイクルから外れないように
心して歩みたいものです



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