今週のみことば


4月7日

「サムソンは主に呼ばわって言った
『ああ、主なる神よ、どうぞわたしを覚えてください
ああ、神よ、どうぞもう一度わたしを強くして
わたしの二つの目の一つのためにでも
ペリシテ人にあだを報いさせてください』」
(士師記16章28節)


イスラエルの士師サムソンは
神より大いなる力を授けられ
イスラエルをペリシテ人から守っていました
彼の手にかかれば
ロバのあごの骨でさえも武器となり
一千ものペリシテ人が滅ぼされていったので
ペリシテ人はどうにかしてサムソンの弱点を知ろうと
彼の愛するデリラという女に言いました

『あなたはサムソンを説きすすめて
彼の大力はどこにあるのか
またわれわれはどうすれば彼に勝って
彼を縛り苦しめることができるかを見つけなさい
そうすればわれわれはおのおの銀千百枚ずつを
あなたにさしあげましょう』(5節)

はじめのうちはデリラの要求を上手くかわしていたサムソンも
やがて彼女が毎日しつこく迫ることで
ついに自分の弱点を話してしまいます
彼は髪の毛を切ると力が出なくなるのでした

その後サムソンは髪の毛を切られ
ペリシテ人に捕らえられてしまいます
その時、目を失ったサムソンは
牢獄の中でうすをひいていましたが
髪の毛は再び伸びはじめていました

ペリシテ人の神の祝いの日
サムソンは人々の前に連れ出されます
そこで見せ物になっていた彼は
その家を支えている柱に寄りかかると
神に祈りました

『ああ、主なる神よ、どうぞわたしを覚えてください
ああ、神よ、どうぞもう一度わたしを強くして
わたしの二つの目の一つのためにでも
ペリシテ人にあだを報いさせてください』


そして彼は柱を引き寄せたため
数千人のペリシテ人の集まる建物は崩れたのです
こうしてサムソンは自らを犠牲にして
これまでで一番たくさんのペリシテ人を滅ぼしました

本来何の役にも立たないロバのあごの骨も
神より授かったサムソンの力によって
立派な武器として用いられたように
サムソンもまた
神に用いられることでその力を発揮していました

どんな勇者に見えても
神によって用いられているからこその力であって
神の力が失せればただの人になってしまいます
サムソンがデリラの誘惑に負けていく様子は
わたしたちが信仰生活を続けていく時
「神につく者」と「世につく者」との間で
揺れ動く心を表しているとも言えるでしょう

何千人もの人を収容するペリシテ人の建物でも
サムソンが最後に得た力によって崩れていったように
世のものは一瞬にして崩れ去るものです
ですから
信仰者は「世に死んで神に立つ」を根本として
自分の寄りすがるものは神のみと自覚して
進んでいかなくてはなりません

イエスを信じることで自らの地位も名誉も失ったパウロは
その失ったものを惜しむことはなく
取るに足らないものだと感じていました
それは
人が寄りすがるもののうち
本当に命を与えてくれるものは神しかないと悟ったからです

神の力を失い再起不能のようになったサムソンも
そこから悔いて立ち上がることから
再び力を与えられました
すでに自らの命を惜しむ気持ちはなく
すべてを神に託した彼の最後は神に栄光を帰すものでした

わたしたちの人生もまた
山あり谷あり色んなところを通らされますが
自分への過信や間違いを悔い
再び立ち上がろうとすることで力を与える神を持つ幸いを感謝し
常に神に立ち返っていきたいものです
人生には失ってみないとわからないものがたくさんあり
失って再び得ることができるのも
神の祝福あればこそ

明日は復活祭です
ロバの骨に、サムソンに
そしてわたしたちに力を与える神ご自身が
人の肉体を持って生まれ
そのご生涯を通して人の生きる姿勢を教え
十字架上できよい血を流して死に
それによって人に救いを与え
再びよみがえられたことを思いつつ
いよいよ神を愛して進んでいく決心を新たにする日です

各々の生活の中には色々な厳しさがある一方
そこには神より与えられる暖かさもあります
それをもう一度思い起こし
新しく踏み出していきましょう



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