長男でありながら
 家督の権を軽んじ
 神の祝福を受けられなかったエサウ・・
 かつては特別な人しか
 受け継げなかった神の祝福も
 現在は誰でも受けることができるように
 ”キリストによる救い”が与えられている

創世記2519

イサクと妻リベカの間には
20年間子供が与えられなかったので
神様に子供が与えられる様に祈りました
すると祈りが聞かれリベカには双子が生まれる事となります
ところが妊娠中に胎内で双子が押し合うので
不安を感じたリベカは神様に祈りました
するとここで神様から預言が与えられたのです

2人の子供はいずれ2つの民族として育つ
ただし兄が弟に仕える事となる」

その後に産まれた双子は
兄をエサウ、弟をヤコブと名付けられました
名前の由来は
兄が全身赤毛に覆われた子供であった事から
そして弟は
兄の踵(かかと)を掴んで生まれて来た事によります

2人は成長し子供になりましたが
兄は野に出て狩人となり
弟は純粋な子供として家の中で過ごしていました
一方で父親のイサクは
長男の狩って来る鹿肉を好んだ事から兄を寵愛し
母親のリベカは弟ヤコブを寵愛する様になります

ある日、エサウは狩りから帰ってきた時
空腹でたまらない状況だったため
弟が調理していた煮豆を食べさせて欲しいと迫ります
すると弟のヤコブは
「家督(かとく)の権を売ってくれるなら」と言う条件を提示しました
これに対してエサウは
「家督の権なんか自分に何の意味があるのか」と言い
ヤコブに家督の権を譲ることを誓ってしまいます

エサウは神様を畏れていませんでした
ヘブル書1216節には
「エサウの如きみだりなるもの」とありますから
エサウは少なくとも発言通り
本来長男に与えられる”家督の権”に対して
価値を見出していないのです
また見方を変えれば
それは元々
家督の権を受け継ぐべき存在でも無かったと言う事でもあります。

そしてこれは実際に結婚と言う形でも現れます
エサウは40歳の時にヘテ人の娘と結婚しました
ここで思い出したいのはイサクが妻リベカを選ぶ時の条件です
つまりアブラハムと同じ神様を信仰する人を妻にすべき
と言う条件があったわけですから
当然エサウとヤコブの妻になるべき人も
同様の条件が課せられています
ところがエサウが選んだヘテ人と言うのは
アブラハムがサラを埋葬する時に土地の取得交渉をした相手
つまりカナンの地に住む人々だったわけです
ですからこの事は
イサクとリベカにとって憂いとなりました
ここからもエサウが神様を軽んじていたことがうかがえます。

この後、イサクは歳を重ね目が見えなくなりました
自分の老い先が短い事を察したイサクは
エサウを呼び、祝福を与えようとしました
そしてまずは狩った肉で料理を作り
それを食べてから祝福を与えると言う段取りを整えています
そこでエサウはいつも通り狩りに出かけました。

このやりとりを聞いていたリベカは一計を案じ
エサウのいない隙にヤコブに祝福が与えられる様にと画策しました
そして飼っている羊の中から2匹を選んで料理を作り
エサウの身代わりとなる為にヤコブにエサウの服を着させ
更に毛深さを再現するために山羊の毛を身にまといました
この状態で料理を持ち父イサクの元へ出向いています

イサクはすぐに料理が出来た事に驚き
また声がヤコブである事から最初は疑問に感じていました
ですがエサウの匂いがしたこと
そして何より触れた時に毛深さを感じたのでエサウだと勘違いします
結局このまま目の前にいるのがエサウと勘違いし
実際にはヤコブに祝福を与えることになりました。

祝福を受けたヤコブはその場を離れましたが
同時に狩りから戻ってきたエサウがイサクの前に現れます
ところがイサクは
今さっきエサウに祝福を与えたと思っていますから
目の前に現れたのが誰だか分かりません
しかしエサウの声を聞いて全てを察しました
つまり自分がエサウと間違えてヤコブに祝福を与えてしまったことを

その事実を知ったエサウは怒り嘆きます
つまり弟に家督の権だけでなく祝福まで譲ってしまった事に
そしてエサウは嘆き悲しみますが
時すでに遅しでした
ここからヤコブは
エサウの反撃を恐れて母リベカの兄ラバンの元へと避難します

さてこの物語は
結果的に母親リベカの判断が正しいものとなりました
神様からの予言を直接聞き
そして兄エサウでは無く弟のヤコブを寵愛していった
むしろこの予言を知ってか知らずか
個人の好き嫌いでエサウを寵愛したイサクの判断は誤りだったのです

だまし討ちの様な事をしたヤコブですが
とは言え彼は家督の権と祝福の価値を理解していました
そして何よりヤコブの行為に対して
神様は否定をしていません
そもそもヤコブが家督を継ぎ祝福を受けると言うのは
神様が預言した事であり
そのご計画通りに事が運んだわけです

この後、家督の権と祝福に預かれなかったエサウは
神様の預言通りにエドム人の祖先となりました
そして長い歴史を経て
エドム人からヘロデ大王が生まれてきます
このヘロデ大王は
生れたばかりのイエス・キリストを殺害するために
国中の乳児を殺す様にと命令し実行した事で有名です
一方でイエス・キリストは誰の末裔(まつえい)でしょうか?
それはアブラハム、イサク、そしてヤコブに連なっています
つまりエサウとヤコブ兄弟の対立は
やがてヘロデ大王とイエス・キリストの対立へと繋がっていくのです。

旧約の時代は
この様に”家督の権”を継ぐ指導者がおかれ
そこから選ばれた人に神の祝福が与えられていました
ですが新約の時代である現在は
イエス様が全人類の長子として家督を継ぎ
そしてそこから祝福が与えられています

ペテロ前書39節にありますが
「汝らの召されたるは祝福をつがん為なればなり」とある様に
ここ教会に集まる一人一人は
神様によって召された
つまり”神に呼ばれた者”であります
そして何のために呼ばれたのか
それは祝福を受けつぎ
神様のご計画に組み込まれる為なのです