神は全知全能であり
  すべてを知り
  すべての事ができる方である
 

創世記第35章より

神様はヤコブに対して
シケムを発ってベテルへ向かう様に再度促しました
ベテルは創世記28章で
ヤコブが初めて夢の中で神様からのお告げを受けた場所です
つまりベテルへ向かえと言うのは
場所を移動しろと言う意味であると同時に
信仰における初心に帰れと言う意味でもあります
ですからヤコブは一族に対して着替えて身を清め
持っている偶像を捨てる様に指示しました

この時にヤコブの一族と言うのは
非常に多くの奴隷を抱えています
それはシメオンとレビがシケムの町から略奪して来た人間であり
彼らはカナン人ですからヤコブ達から見れば異教徒になります
そこで奴隷たちが持っている偶像や耳輪を捨てさせました
ちなみにヤコブの一族側にも偶像が1つありました
ラバンの元から去る際にラケルが盗み出したテラビムです
これについてどの様に取り扱ったのかは聖書に書かれていませんが
これも偶像でしたので恐らく同時に処分されたのだと思います

実際にシケムの町を発つ時ですが
ヤコブには一つの不安がありました
それはシケムの町をシメオンとレビが滅ぼしたことで
周辺の他国から恨みを買っていたからです
ヤコブ達が出発したところを、他国が協力して攻めてきたら抵抗できません
ですが周囲の町に神様からの恐れが下ったとある様に
神様からの助けが与えられたことで何事も起きませんでした
こうして無事にベテルへ到着し
そこで神様が現れてヤコブに告げました


 ・ヤコブと言う名前を捨ててイスラエルと名乗る様に

 ・神様が全知全能であると言う事

 ・アブラハム、イサクと継承された神様との約束が
  ヤコブにも引き継がれている事


さて神様との接触を終えたヤコブは
ベテルを発ってエフラタへ向かいました
ところがその道中でラケルが産気付き
出産をする事となりました
この出産が大変な難産となり
結局それが原因でラケルは亡くなります
死の間際に産まれた男の子の名前をベノニと呼び
この意味は”私の苦しみの子”ですが
ヤコブはそれを少し変更してベニヤミンと名付けました
ベニヤミンの意味は右手の子です
このベニヤミンの誕生により
ヤコブの12人の子供がそろいました
そしてラケルの遺骸はエフラタまでの途中で葬られます
このエフラタは現在のベツレヘムです

ラケルの死によってヤコブは大きなショックを受けました
実際に長男であるルベンが父の愛人と寝たと記述がありますが
これは父であるヤコブが弱っているので
一時的に息子の立場が強くなっていたと考えられます
要するに猿山でボス猿が老いて弱ったのを見た若い猿が
世代交代をかけてケンカを挑むようなものです
この行動は当然ヤコブを怒らせ
ルベンは長男でありながら家督の権にあずかれませんでした

さてここで重要なのは
神様は全知全能であるという事です
この世界を作られ
そして人を、動物を
生きとし生ける物を作り出された方ですから
当然何でも知っている全知と
何でも出来る全能を有しているわけです

私は会社で設計の仕事をやっているのですが
設計というのは結構どこでも次の様に言われます
「その装置を設計したのだから、設計担当者は何でも知っている」と・・
でも現実には自分で一から作るのではなく、流用してきたり
社内で標準化されていて中身を良く知らないものを
そのまま使っていたりするわけで
それでも他の部署から見れば全知だと思われて
色々と困った事になる訳です、、
このように人間の「全知」などはその程度の危ういものですが
私たちが信じている神様は
文字通りの全知全能であり
私たちはその一点について固く信じ
すがって行かなければならないのです

この後でヤコブはヘブロンへ移動し
そこで父イサクと再会しました
ですがここでイサクは180歳にして死に
イサクの物語は終わります
途中からずっとヤコブの話をしていたので
イサクの存在が薄かったですが
実はイサクがどこまで生きていたかと言うと
この後にヨセフが売られる所までは知っているのです

エサウとヤコブが生まれた時、イサクは60歳です(創世記2526)

ヨセフが売られた時の年齢が17歳です(創世記372)

ヨセフが宰相として抜擢された時の年齢が30歳です(創世記4146)

そこから7年の豊作があり
その後の7年続く飢饉の中で
イスラエルの一族がエジプトに食料を求めてやってきます
従ってこの時のヨセフの年齢は40歳弱と思われます

ヤコブが宰相となったヨセフと再会したのが130歳です(創世記479)

これよりヨセフが連れ去られた時にヤコブの年齢は130-(40-17)=107
この時のイサクの年齢は167歳ですからまだ生きていますね
(イサクは180歳まで生きた)
しかしヨセフとヤコブが再会した時
計算だとイサクの年齢は190歳となりますから生きていません

創世記第36章より

ここはエサウのその後についてつづられたパートになります
イサクの長男として生まれたエサウでありましたが
母リベカに対する神様の預言の通りに
双子の弟であるヤコブが家督を相続し祝福を受ける事となりました
全てを失ったエサウでありますが
ここで思い出したいのはリベカに対する神様からの予言の中身です

創世記2523節にある様に
「二つの国民汝の胎にあり」とありますから
ヤコブがイスラエルの始祖となった様に
エサウもまた1つの国を為す様になっていきました
この36章ではそのエサウの末裔についてまとめてあります

さてヤコブは約束の地としてカナンの地を継承しましたが
エサウはどこに行ったのでしょうか?
それはヨシュア記244節に
「エサウにセイル山をあたえて」とありますから
エサウはセイル山を
神様から与えられた土地として移住した事が分かります
そしてこの後に神様からの予言通りに
エサウの子孫はエドム人として1つの民族に成長しました
このエサウの家系において
息子エリパズの子供でアマレクと言う人物が出てきます
このアマレクはアマレク人と呼ばれる部族となり
イスラエルの出エジプトの後
モーセとヨシュアの時代にイスラエル軍と再度衝突する事となります
結局イスラエル軍が勝利していきますが
エサウとヤコブの争いは時代を経てアマレク人とイスラエルの争いとなり
いずれヘロデ大王とイエスキリストと言う形で現れてきます
エドム人は神と共にあるイスラエルと対立する物
つまり神に反抗する存在のひな形として
聖書で繰り返し描かれて行くのです