民数記略26章の人口調査は ただ数を数えると言う目的だけでなく イスラエル第二世代が 充足したことを確認するもので 神に背いた古い世代が滅び 新しい世代が神と共に 約束の地へ入る準備が整ったことを 確認するものであった |
民数記略 第26章
民数記略は36章までありますが
ここから律法の記述が増えるので
実質的なイスラエルのストーリーとしては
もう残りは多くありません
今日お話しする26章は
第2回人口調査となります
「民数」と言う名前が示す通り
出エジプトを果たしたイスラエルの民の
人口調査から始まった民数記略ですが
そこから約40年を経た現状について
調査するものです
イスラエルの民はエリコの町に近く
ヨルダン川の対岸に広がるモアブの平野に
宿営していました
ここで神様は
モーセと、アロンの後を継いだエルアザルに対して
「兵役に就く事が出来る20歳以上の人数を数えなさい」
と命じます
これから始まるカナンの地攻略を前にして
イスラエルが抱える戦力の確認と
各部族ごとの戦力差を明確にするためでした
まず確認しておきたい点は
イスラエルを構成する12の部族について
誕生順としてルベン、シメオン、レビ、ユダ
ダン、ナフタリ、ガド、アシェル、イッサカル
ゼブルン、ヨセフ、ベニヤミンとなりますが
ヨセフは更にマナセとエフライムに分かれます
5節からは各部族毎の人数が記載されていますが
第1回の人口調査と比べてどの様に人口が増減したかを
ここに記載しておきます
人口の増減をざっと比較すると
マナセは倍増
アシェル、イッサカル、ベニヤミンは大幅増加
ユダ、ダン、ゼブルンは微増
ルベン、ナフタリ、エフライムは減少
シメオンは半減と言った感じになっています
イスラエルは
アブラハムに対する祝福を受け継ぐものであり
アブラハムに対する
「民が星の数ほど、砂の数ほど増す」と言う約束が
成就する舞台です
ところが第二回人口調査では
人口が減少している部族が1/3もありました
その理由の参考になるのが
既にお話ししている創世記の最後
ヤコブが12人の息子に残した遺言であり預言です
人口が減少したルベンは父ヤコブから
「長子の誉れを失う」と預言されていました
民数記略においてもコラの反乱において
コラに同調したダタンとアビラムはルベン族です
このコラの反乱の後始末の中で
ルベン族は多くの指導者が
香炉から噴き出した炎によって焼かれており
ルベン族の人口減少の一因に
このコラの反乱が関わっていると考えられます
次にシメオン族ですが
元々5万人以上いた人口が半減し
2万人ちょっとまで減少しています
かつてシケムの町で暴虐を働いた事により
シメオンは父ヤコブから
「イスラエルの内に散らす」と預言されていました
これは前回の中で触れていましたが
ペオルの町でシメオン族のジムリと言う指導者が
モアブの娘と結託したミデアン人の女にそそのかされ
彼女らの神であるバアル神を
一緒になって拝んでしまいました
この背信行為の中心となったのがシメオン族であり
それが故に多くのシメオン族が
この罪により処刑されたものと考えられます
シメオン族は40年を経て半減し
この先も次第に部族としての勢力を落としていきます
そして最後にはユダ部族の中で点在する民族となり
ユダ部族に従う形でその主体を失っていきました
特にルベン、シメオン、ガドは
減少幅が大きい部族であり
これは幕屋を中心とした宿営場所の配置として
この3部族は南側に集まって展開していたことで
同じ不祥事を共有しやすく
結果として裁きを受ける事が多かったとも考えられます
一方で父ヤコブから
「王権はユダを離れない」と預言されたユダ部族は
第1回人口調査でも最大数を誇っていましたが
第2回はそこから微増し
安定した最大勢力を維持しています
このユダ族と同じ東側に野営する
イッサカル族とゼブルン族についても
着実に人口数を拡大させ
人口数ランキングでは1位ユダ族に対して
2・3位がほぼ同数でダンとイッサカル
4位ゼブルンがイスラエルの主戦力になっています
さて、ここで興味深いのは
第2回人口調査で最も人口が増加したのは
マナセ族だったということです
マナセ族は第1回の調査時に比べて
1.6倍まで人口を増やしており
一方で弟であるエフライムは人口を減らしています
では神様の約束はどうだったのかと言えば
ヤコブはこのヨセフの二人の息子に対して
直接祝福を与えています
ただし兄マナセと弟エフライムを目の前にして
手を交差して頭に置き
結果的にヤコブの祝福は弟のエフライムへ渡りました
つまりより繁栄する事が約束されたのはエフライムであり
マナセは肉としては兄ですが
霊においては弟となる存在でした
ところが第2回人口調査では
逆にマナセの方が大幅に人口が増加しており
エフライムは人口が減少しています
これについては
この先の歴史を見れば
この後イスラエルを率いてカナンの地へ入るヨシュアは
エフライム族です
更にダビデ、ソロモンの後
エフライムは北部イスラエル王国の中心的役割を引き受けます
ですからエフライム自体には
指導者としての祝福が与えられており
その数が増えて行く事とは
別の基準で用いられて行く事になります
民数記略26章の人口調査は
ただ数を数えると言う目的だけでなく
イスラエル第二世代が
充足したことを確認するものでありました
神に背いた古い世代が滅び
新しい世代が神と共に約束の地へ入る準備が整ったことを
確認するものだったのです
人口だけを見れば
増えた部族、減った部族があります
40年間で祝福が人口として現れた部族があれば
一方で裁きによって数を減らした部族もあります
ですがいずれにしても
”父ヤコブを通じて預言されたイスラエルの未来”
と言う神様との約束は
何も変わることなくそれが粛々と進んでいる事が
示された訳でもありました
ルベンは長男ですから
本来は長子として全てを受け継ぐはずでした
しかし長子の権利を失い
コラの反乱に加担し
裁きを受けて多くの指導者を失い
結果的に人口が減りました
それでもルベン族は滅ぼされず
この後に嗣業の地も受け取ります
ルベン族は神に背く罪人でありながらも
一方で人の失敗が神様のご計画には影響しない事を
体現しているとも言えます
またシメオンは「散らされる」と預言され
大きな罪を犯し裁きによって人口が半減しました
この先もユダ部族の中で数を減らしていき
独立した民族としてのアイデンティティも失い
最後にはその数を数えられる事すらなくなってしまいます
こうしてシメオンは確かに
ユダ族の中に散らされて消えてしまいました
しかしその一方で
黙示録7章を見ると
神の僕として刻印を押されるイスラエルのリストには
シメオン族の名前が挙がっています
ですから確かに父ヤコブは「散らす」とは語りましたが
「消す」とは言っていません
従ってシメオン族は
その罪により表舞台から退かされたものの
イスラエルを通じて人間が救済されていく構造の中では
生かされている事が分かります
ですから神様のご計画と言うのは
人の罪も飲み込んだ上で進んで行く物であり
私たちが弱さや失敗を抱えながら歩む事も
そこには当然織り込み済みなわけです
イエス様は私たちを
イスラエルの新しい世代として立て
そして約束の地へ導いておられる
だからこそイエス様の御計画を
(それは一人一人異なる物であり
望んだ形とは限りませんが)
そこが成就する器と成れるように
歩んでいきたいと願う次第です