いいかげんな話



<2.更年期と向き合う 〜エネルギーの仕分け>

”多大なエネルギー消費を前提とした生き方から
加齢と共に省エネで生きる方向へ・・・”
と、前回記したのは
ここ2年ほど
自分自身がエネルギー不足に陥っていると実感することが多くなったことに起因する

わたしは昔からとても寝つきが良い方で
寝ることはすなわちとても心地の良いことだったが
一昨年のお正月あたりから、寝ている間、特に足に痛みが出るようになり
夜中に起きてトイレに行くにも
起き上がり、階段を下りていくのに時間がかかるようになった
一度歩き始めたら、そのうち落ちついて普通に歩けるようになるのだけど
寝ると自然に足が固まってしまう感じなのだ
とにかくいつもふくらはぎと足の裏がカチカチに固まっており
マッサージすると楽になる・・・の繰り返しの日々がすでに2年続いている

『むずむず足症候群(restless legs syndrome)』

この奇妙な症状名に、わたしの状況は似ている
ただ、本当に”虫がはっているように”足がムズムズしてねむれなかったのは一回だけで
わたしの場合はひたすら足全体が緊張してカチカチになるのだが
人によって出現する場所も症状もさまざまだというから
多分原因は同じようなものなのだろう
で、その原因はといえば、現在のところはっきりとはわかっておらず
”精神的ストレスは病状の強弱と関連あり”とされている
また、この症状は更年期以上の女性に多いらしい

多くの人がそうであるように
わたしも40代半ば以降「若い頃はもっとたくさん動けたのになあ」と思う一方で
その思いがストレスになってたまっているのかもしれない

学生時代〜結婚〜神学校時代〜出産〜介護時代と
目まぐるしい変化の中に居た20代
介護と育児と諸々のドタバタ劇で過ぎた30代
教会の大きな転換期の中で過ごした40代
その間に、自分がやってきたことを思い返すと
若い頃ほど当然”がむしゃら”で、無駄な動きが多かった
いや、何が無駄かどうかははっきり区別できないにしても
無駄な動きによる自己満足で
自分を安心させていた部分があったように思うのだ

人生には
「やらなくてはならないこと=仕事や義務、使命」
「やりたいこと=趣味や楽しみ」
「やらなくてもいいこと」
がある
同じ労力を使っていても
「やらなくていいこと」でもって「やらなくてはならないこと」は代用できないので
「やらなくていいこと」を増やせばその分当然負担が増える

一方、「やりたいこと」は
食事に例えればデザートみたいなもの
すでに自分がいっぱいいっぱいになっていてもなお「別腹」が存在していて
そこが満たされることで幸福感や癒しを得ることができる

好きなことだけやって生きることができればどんなにいいか・・・
それは誰でも思うことではあるけれど
人は「やらなくてはならないこと」を避けては生きられないようにできているらしい
食のバランスが重要であるように
行動エネルギーの配分バランスが乱れると
人間の心身は何らかの異常信号を出すようになる

わたしの若い時代の仕事はほとんど「人の世話」であった
やがて家族の世話をする負担は減っていったが
今それだけ自分に課された仕事が減っているのかといえば実はそうではない
わたしは、今度は自分自身をもてあまし
「自分の世話」ということに目を向けなくてはならなくなってきているわけだ
自分で自分のケアができることは
更年期に続く老年期への準備でもある

わたしは、母がそうであるように
自分のケアが苦手だ
昔から、わたしが一人暮らしをしたらきっと栄養失調になるだろうと思っていたくらい
今でも自分だけのために料理したいとは思わない
人の栄養状態は気になるのに、自分は何を食べていても元気なつもりでいる
そして、こういうタイプは
自分に向けるべきエネルギーをつい「しなくてもいいこと」に向けがちだ
更には、自分で疲れておいて、結局人の負担になったり
あるいはイライラして人に当ることもあるかもしれない

今とりあえず思うのは
心の中の何かを手放さなければならないということ
その「何か」は
突き詰めれば、「自分の価値」に関わることなのだろう
だから手放したくないし
それでももう手放さなくてはやっていけない
そんな葛藤が
多かれ少なかれ、この年代にはあるのだと思う


(2011.9.20)



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