もう4年前になる。もしかすると5年経ったかも知れない。ボクは知人とこんな約束をした。
10年後の今日、駒込駅の改札で、12:00に会おうって。10年後じゃ顔が分からなくなってるかも知れないから、傘を持って。そして、いかなる理由があっても、その日はお互い必ず来るようにって。
その時、10年ってものすごく遠かった。
10年後にはボクはさぞ立派な大人になってるだろうと気楽に思っていたし、自信もあった。
だけど半分経ってしまった現在、なんだか、自信がない。
あと5年経ったからといって、人間が劇的に変わるはずがない。
果たしてボクはこの約束を守るべきなのだろうか。そもそも、向こうがこの約束を覚えているのかも疑問ではあるし、仮に行って向こうが来なかったら悲惨である。
また、お互いが約束を覚えていて、そして約束を守り、駒込駅で会ったとして、それから何をするのだろう。
悲しきかな、約束した当時と、ボクは少し違う生き物になっているような気がするのだ。
湯舟につかりながら、なんだかそんなことを思い出した。
今のボクなら、そんな約束は絶対にしなかったはず。何年も先の自分を束縛するなんて実に馬鹿なことだ。
ともあれ、何年か後にとうとうその日が来る。その日、ボクはどう過ごしているんだろう。
もしかすると、ボクはそんな約束をしていたことすらをすっかり忘れてんじゃないかとも思う。そして、その日から1年くらい経った後、ふと湯舟の中で突然思い出すような気もする。
その時には、この妙な束縛も消えてなくなっているだろうか。
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