灰皿はどこ?

 

フィリピンの海はとんでもなく綺麗だった。あんな綺麗な海は他ではみたことがない。あんな綺麗な海で泳いだボクって、きっと幸せ者に違いない。

 

泳ぎ疲れて海からでると、売店のそばに、中年のおじさんが立っていた。

ボクは学校でフィリピン語を勉強していたから、フィリピン語でそのおじさんに、こう尋ねた。

「灰皿はどこ?」って。

 

その頃、ヘビースモーカーだったから、とにかくボクはタバコをくわえてばかりだった。チェーンスモーカーといったほうがいいかな。

 

 そのおじさんは、ボクのほうに向いて、それから、人差し指を地面に向けて、一言こう言い放った。

 

「ここだ。」って。

 

 なんかすごくナチュラルな気がした。いろんな批判もあるだろうけど、あれはある意味ナチュラルだよ。

 

タバコがネイティブアメリカンのものだった頃、灰皿なんて概念はきっとなかっただろう。

 

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