変なオジサン |
とあるショッピングセンターで買い物をしていたときのこと。ふと、用を足したくなって、ボクは2Fのトイレに立ち寄った。 トイレに向かう細い通路をテクテクと歩いていき、男性用トイレに入っていくボク。 さっき買ったシャツが入ったバッグを小便器の上において、「ふわぁ〜」っとボクは用を足す。そして、ボクは、視界の隅の隅の方にある、なんだかとてつもなく見慣れない異様な光景に気付いてしまう。 斜めうしろの方に、個室のドアを全開にして、大きな方の用を足しているオジサンがいるではないかっ! 一瞬、こいつはヤバイやつなのではないかという疑念がボクを襲う。 そして、「見てはならない。」という本能的(むしろ野性的?)な感覚を覚える。だけど、なんだか見てしまう。 数秒間、時間が止まる・・・ 中国のニーハオトイレだったら自然なことじゃん、なんて考える余裕などなく、時は流れる。非常に気まずい。 しかし、彼は決してやばいオジサンではなく、実はボクが感じた「焦り」と同じような感覚を、きっと彼も感じていたんだろうってことを、その何秒か後に知った。 彼と目があった瞬間、ピピッと分かったんだ。 ボクと目が合った瞬間、ドアを開けたまま用を足すという、とんでもない醜態に、彼自身がハッと気付いたようだった。よほど慌てて、入ったんだろう。かわいそうに。 そして彼は、この天文学的な恥ずかしさから逃れようとジタバタし始めた。 彼はきっとこんなことを考えていただろう。 (1)ドアが開いていることに気付かなかったふり、もしくはドアが開いているなんて気にしない危ない人間のふりをして、ボクが立ち去るまでオープンに用を足そうか、それとも、(2)すごく情けないけど、素直にドアを閉めようか。。。 結局、彼は、後者(2)の立場をとった。 彼が(2)の立場をとった気持ちは痛いほどわかった。 ドアが閉まり、見慣れない異様な景色は消えてなくなった。ボクは手を洗い、売り場に戻った。 念のために言っておくが、ボクは変なオジサンではない。 |