ラーメン

 

歳をとるにつれて、ラーメンの好みが変わってきた。昔、死ぬほどうまいと思ったラーメン屋がそれほど良くなくなったり、昔はどうでもよかった「とんこつラーメン」が、無性に食べたくなったりするようになった。

 

 人って不思議だ。

 

歳をとるにつれて、人間は、上の歯と下の歯のように、互いに協力し合う必要があるんだってことを知った。決して分かり合えない人とも協力していかなければならないんだってことを知った。そのためには、お互いにそれなりのテクニックが必要。歳をとるにつれて、そういうテクニックが、多少、上達した。

 

でも逆に、歳をとるにつれて、世の中には決して分かり合えない人がいるってことを知った。いつの間にかそれが苦にならなくなって、そして、それが当たり前になって、いつからか、「人間は互いに分かりあう必要はない!」と開き直るようになり、分かりあえるって殆ど奇跡なんだって考えるようになった。そして、面の皮は、やや、厚くなった。

 

 昔は、将来の自分に会ってみたいっていう願望があったけれども、今のボクにはそんな気持ちは微塵もなくなってしまった。「将来の自分」はもちろん、ましてや、「過去の自分」なんか、冗談でも会いたくない。

 

なんとなく、世の中で一番分かり合えない人達のような気がするから。

 

人って不思議だ。

 

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