散髪

 

 散髪屋に行った。店員はふてぶてしかったが、値段は安く、時間もかからなかった。しかし、仕事もそれなりに雑。駅前やなんかによくある、ああいった種類の散髪屋だ。

 

 椅子に座るとすぐに、頭に霧吹きで水を吹きつけ、どんな風に切ればいいか聞いてくる。こういった散髪屋では、何cm切ってよとかあまり細かい注文をしてはならないという先入観がボクにはあって、ごくごく簡単に説明する。

 

 彼はなにも言わず切りはじめる。すごく豪快な切り方だ。落ちてくる髪を眺めながら少し不安になる。時々、前髪はどうこうでしたな、とか確認してくる。確認してくるくせに、どうこうとは無関係に切られる。

 

 髪を切り終えると、突然、椅子が倒れ、顔そりが始まる。顔そりは新米がするようだ。それが終わると、また、人が変わり、シャンプーをする。それから、さらに人が変わりドライヤーで髪を乾かしてもらう。

 

 店に入ってから切り終わってお金を払うまで、わずか10分強である。途中の心配はどこへやら、意外と悪くなく切ってくれる。

 

 そしてボクは頭にあたる新鮮な風を感じながら帰宅するのである。

 

トップへ