サウナ

子供の頃、サウナはホモの溜まり場だと思っていた。

子供の頃、ホモに対するさほど詳しい知識もなかったのだけど、サウナとは、「男同士で愛し合う、極めて少数派の方々が集まる場所」なのだと思っていた。

そして、そこに行くことは、自分も同じ種類の人間であることを意味し、そしてさらに暗黙の了解的に、自分が今宵の友達を探していることをアピールするためなんだと思ってた…

だから子供の頃、ボクはサウナが怖かったんだ。

そんなボクも、いつしか当たり前のようにサウナに通うようになった。

子供は大人になり、それがいわゆる一種の偏見であることが分かったし、また少数派も多少は認められる程度の寛容さを身に付けたのだろうと思う。

ボクも、最近太ってきた。

サウナにもよく通うようになった。

年をとるにつれて顔が大きくなるというが、そんな気もする。面の皮が厚くなるのか表情筋が発達するのか、理由は知らない。

でも、いくらサウナに通っても、一度大きくなった顔が、小さくなることはない。

今でもどこかの子供が、「サウナって、ホモの溜まり場なんだぜ。」って、知ったふうに、囁く声が聞こえるような気がする。

子供は大嫌いだが、そんな子とは不思議と合う気がする。

不思議なもんだな。