F3Ai 35mmF1.4New FM2RTSIIPlanar 85mmF1.2ST
Japanese only
Nikon -Body-
F3  造り込み、使用感、カタチが最高。小刻み巻き上げができる非常に滑らかなレバーフィーリングは、他に並ぶものがない。ピントが抜群に切れるF4のファインダースクリーンをはめることもでき(一部加工が必要)、各種ファインダーもいまだに製造されている。風景を撮る時にウエストレベルファインダー(DW-3)を装着すると、気分もグッと盛り上がるし、より正確にフォーカスできる。露出もつかみやすい。難点は、やはりファインダー内のシャッター速度表示か。照明ボタンも「使える」レベルにはいたっていない。硬いと言われる露出補正ロックボタンは、私の愛機に関してはまったく問題ない。モードラ(MD-4)を着けて連写すると、五感が強烈に刺激される。中古相場はかなりこなれており、興味のある方にはお薦めしたい。ニコンの精神を十分に感じとることができる質実剛健な銘機。
New FM 2  いまだに仕事のメーン機。何より頑丈で、電池がなくとも撮影可能な点は、100%の信頼を寄せることができる。これまでに何度か、それを実感させられた。最高1/4000秒、シンクロ1/250秒のシャッターも、F3より使いやすい。あらゆる面で進歩を遂げた現代のAF・AE機と比べ、とてつもなくシンプルな機能は、「写真がいかに簡単な構造で撮れるのか」を再確認させてくれる。プロの間では“お守り”として携帯もされているが、現場によってはメーンとしての期待に十分こたえてくれる。ネガを入れ、ボディー単体・レンズ1本でスナップに出かければ、軽快そのもの。モードラ(MD-12)は電池の消費が少ない。 ※2006年春に現場から引退
CONTAX -Body-
RTSII  デザインがとても美しい。視野率97%のファインダーは倍率0.87倍もある。ファインダースクリーンの種類も豊富。F3と違い、レバー式のAEロックは連続撮影では便利なものの、ワインダー(W-3)を装着すると使い勝手が悪くなるのが残念だ。巻き上げは小刻みも可能だが、滑らかさに欠ける。レンズによっては装着後のグラつきも出て、当時のヤシカの限界を感じてしまう。しかし、LEDによるファインダー内表示は、特に夜間では見やすく、明るさも自動調節なのが泣かせる。フェザータッチのレリーズも、「瞬間を切り取る」ことを鮮烈に意識させてくれる。ツァイスのレンズは大きく重いものが多いため、ワインダーはぜひとも持っておきたい。グリップ感、バランスが格段に良くなる。クォーツ制御の横走行幕式シャッター(最高速1/2000秒)、非常時のメカニカルシャッター、電磁レリーズなど、F3とスペックがかなり似ている。 ※出番が減ったため残念ながら売却へ(2003年秋) ※結局また美品を入手(2006年秋)
ST  F5に対するF100のように、RTSIIIを若干スペックダウンして造られている。だが、取り回しの良さはこちらの方が上。締まったスタイルもいい。カタログには「保守性」という言葉が使ってあるが、完成度は高い。マット面でのピント合わせは、RTSIIのスクリーンよりも安心してできる。ダイヤルイルミネーションも個人的には「◎」。縦位置レリーズの付いたバッテリーホルダー(P-7)もあり、撮影に応じてボディーの大きさを変えられる。ただ、このバッテリーホルダーはエンジニアリングプラスチック製のため、ボディーと比べて造りはチープ。シャッター最高速1/6000秒(AE時)はRXより高速だ。“軽い”シャッター音さえ気にならなければ、きっと満足できるカメラだと思う。私にとっては初めてスポット測光を搭載したカメラで、かなりの頻度で使っている。ABC(3コマ連続露出補正)機能も便利。
RTSIII  2002年末、ついに購入。ヤフーのオークションで極上品が15万円強だった。さすがに定価35万円は伊達ではない。重厚な造りは、京セラの本気が伝わってくる。スイッチやダイヤル類は金属製で、クリック感も上品。ただ、クリック間の狭い露出補正ダイヤルには、まだなかなか慣れない。高級カメラらしさは、ブルーの美しいファインダー内表示や、精度の高い取り外し式の底ブタなどからも醸し出されている。作動には十分な信頼を寄せられ、巻き上げモーターの駆動がグリップを通して右手に絶妙に伝わってくる。フィルムの平面性を向上させる裏ぶたのバキューム機能は、すでに広く知られている点だが、35ミリのフォーマットでどれだけ有効かは、私にはよくわからない。しかしこれも、「レンズ性能を最大限に発揮させるため、できることはすべてやる」という思想の現れとすれば、それに応える作品を狙わざるを得ない。強力なスポット測光は本当に使える。大きさ、重さは女性には辛いだろうが、私にとっては苦にならない。視野率100%のファインダー、コンタックスで唯一のミラーアップ機能も忘れてはならない点。じっくりと被写体に向かい、レリーズに全神経を注ぐ撮影には、正にもってこいの機材だろう。
T2
Titan Black
 T3とどちらを手に入れるか迷ったが、結局、味わい深い渋い発色に心をくすぐられてしまった。ご存知、高級コンパクトカメラブームの火付け役。T3よりもこちらを選んだ理由は、レンズの味以外にもある。露出補正が独立したダイヤルで操作でき、マニュアルのピント合わせもスムーズにできる。また、レンズ側に設置された絞りダイヤルは、一眼レフのようで使っていて楽しい。オートフォーカスでのピントの中抜けが指摘されているが、フォーカスロックさせれば、まず大丈夫。同時にフォーカスエリア内でのAEロックが掛かってしまうのを嫌うならば、露出補正すれば問題ない。少しブルーがかった明るいファインダーの見え具合は、良い写真が撮れるのでは、と予感させるほど美しい。ポルシェデザインの流れを引き継いだ造形も秀逸。最短撮影距離(70cm)がもっと短くて、フィルム感度が自由に設定できれば、もう言うことはない。
Nikon -Lens-
Ai 50mmF1.4  本当にニコンらしい写りをすると思う。講演会の撮影で、Planar 50mmF1.4と撮り比べたことがあった。ストロボは使用禁止。絞りは当然、開放だ。ステージ上の講師には、強烈なトップライトが降り注いでいる。Planarはフローリングなどの反射の影響で、まるで講師に後光がさしたような、ぼんやりとした画になった。一方、このレンズは会場の光線状態に負けることなく、シャープな写りをみせた。少々の悪条件でも安心して使える、まさに報道向き。「パキッ」とくるシャープネス、高いコントラストながら、描写は素直。
Ai 50mmF1.2  F1.4と比較すると、全体的に柔らかい表現をしてくれる。F5.6あたりまでは、絞り込んでも硬すぎない描写。ボケは自然でクセがなく、やはり開けぎみで使いたくなる。色乗りはあっさり傾向。ニコンAiの大口径(24〜50mm) はフィルター径が52mmで統一されていて、当時の技術陣のこだわりのようなものを感じる。小ぶりでプリッとした外観は、F3に装着するととても格好いい。
Ai 35mmF1.4  大好きなレンズ。これがあるから、Distagon 35mmF1.4に手が伸びない。各社の同スペック(AF含む)と比較して小型、そして安い。きれいな曲線を描く前玉をのぞき込むと、幸せな気分に(笑) ただ、写りはジャジャ馬。開放から鋭いピントをみせるが、薄くて外すと痛い目にあう。ボケもクセが強く、光が乱反射した状況で撮影しようものなら、まるで四次元空間を切り取ったかのように、背景のすべてが流れながら溶解する。中間絞りを過ぎると、一転してカリカリの描写に。所有しているのはコーティングが「スーパーインデクレーティッド」に変わったもののようで、シャドー部の階調は悪くない。発色もやや強めに出るようだ。使いこなすのは難しいが、ハマると手放せない1本。
Ai 24mmF2  歪みが小さく、逆光に強いのが特徴。このレンズもコンパクトで、大口径であることを忘れてしまう。堅実な写りで、最短撮影距離も30センチとまずまず。「寄って開ける」という撮影も十分楽しめる。
Ai 80-200mmF4  大口径ズームを手に入れるまでの“つなぎ”として購入した。が、思った以上に描写が良く、つい使い続けてしまっている。出番もかなり多い。絞り込んでもあまり硬くならず、シャドー部の階調もよく出ると思う。かつて、ニコンはしばらく同焦点距離のF2.8ズームを製造していなかったが、以前の職場のカメラマンから「このレンズの描写に自信があったから、トキナー(ATX)が売れてもF2.8を造らなかった」と聞いたことがある(真偽のほどは残念ながら不明)。発売当時の定価は10万円超。コントラストは柔らかめで、最短撮影距離も1.2メートルとなかなか。やや暗い開放F値さえ我慢できれば、使えるズーム。完全に固定はできないが、フードはAF70-300mmF4-5.6用のものがピッタリはまる。
CONTAX -Lens-
Planar 50mmF1.4
(MMJ)
 初めて手にした35mm用のツァイス。当初はケンコー製のマウントコンバーター(補正レンズ1枚入り)を介して、F3専用として使用していた。それでも写りに感心させられた。逆光下でもシャドー部はつぶれることなく克明に描かれ、夕焼けを撮ると感情に訴えかけるような豊かな紅色がフィルムに広がっていた。恵まれた階調表現、開放での独特な甘い描写。実売3万円代で店頭に並んでいるのが信じられない。
Planar 85mmF1.2
(MMG)
 宝石のようなレンズ。さすが限定品と思わせてくれる描写は、文句のつけようがないほど超高次元( お値段も高次元!)。開放からの半端でないピントの切れと解像度、ピント面からアウトフォーカスへの自然なつながり、「美しい」としか言いようのないボケ味、抜群の色鮮やかさ、どんな光も生き生きと描く再現力… ファインダーをのぞくだけで、ついため息が出てしまうほどだ。ツァイスが本気になったら怖いとさえ思う。その分、取り回しには気を使う。大きく重く、後玉はマウントのギリギリまでせり出している。ピントは爆薄で、開放手持ちによる撮影は、半分もう博打状態。開放で撮る場合は最低限、ファインダースクリーンにスプリットが入ったものを用い、ピントをずらしながら何枚か押さえることが必要。腕がいい人なら、とびきりの画をその手にすることができる。
S-Planar 60mmF2.8 お待ちください…
Distagon 35mmF1.4
(AEG)
 ついに買ってしまった(2003年冬)。これで趣味の方でのニコンの出番が減ってしまうのではと危ぐしている。が、正直なところツァイスの広角で一番欲しかった。日本製と比較はしていないが、色味はD28/2(下記参照)と同様にイエローがかる。ピントの切れが良いのも似ていて、開放からしっかり使える"開けてもイケる"レンズ。写真家の築地仁氏は油絵のような描写と評する。確かにコッテリしており、ラーメンに例えると豚骨系だ。ボケはおおらかな感じで好感がもて、大口径レンズの楽しさを堪能できる。ただ、フィルター径67mmとなる本体は、気軽に持ち運べる大きさ、重さではない。単体STでは、少しボディーがお辞儀してしまう。とは言うものの、カメラバックに入れてないと今では寂しくなってしまうほどのお気に入り。
Distagon 28mmF2.8
(MMJ)
 安いからとナメて購入したが、ポジを見て反省しました(笑) クリアーな描写は本当に気持ちがいい。もちろん発色は実際に目にしたものよりも濃いのだが、晴天下などでは特にみずみずしさを感じる。25mmを購入するために手放してしまったが、また手元に置きたいと思っている。
Distagon 28mmF2
(AEG)
 イエローがかった発色は噂通りだった。ドイツ製の傾向だろうか。例えば、冬の昼過ぎ、やや斜光状態で撮影すれば、まるで夕暮れ前のひとコマを切り取ったかのような画になってしまう。よく言えば、ドラマティックな演出をしてくれる。トーンの再現力は素晴らしく、モノクロでは情緒的な表現も可能だと思う。開放からピントの切れもいい。Distagon35mmF1.4と並んで、ツァイスの広角大口径を代表する1本だと思う。私としては、スナップや夕景の撮影にどうしても使いたくなるレンズ。一見、ちょっとした望遠レンズのような外観だが、前後に幅のあるピントリングは操作性が非常にいい。
Distagon 25mmF2.8
(AEG)
 やや露出をアンダーにした時の、こってりとした色乗りがたまらない。色を積み重ねたような立体感も印象的だ。使ってみると、あまり超広角を感じさせない。24mmとの1mmの差は、そんなに大きいのだろうか。このレンズもそうだが、ツァイスは階調が豊富でシャドー部も死なないので、思い切ってアンダーで撮ってみるのも面白いと思う。
Sonnar 85mmF2.8
(AEG)
お待ちください…
Sonnar 135mmF2.8
(MMJ)
 こそっりスナップするのに、どうしてもこの焦点距離が欲しかったので手に入れた。小ぶりだが、さすがに軽くはない。撮ってみた第一印象は「使いやすいじゃん」。ピントは厚めでボケは柔らかく、立体感もなかなか。絞っても描写に大きな変化はなく、優しいレンズだと思う。内蔵フードはそんなに役には立たないだろうが、慰めにはなる。
Mirotar 500mmF8  MFカメラ全盛のころには、各社からリリースされていたスペックの超望遠レンズ。反射式の構造のため絞りは固定。口径は82mmと大柄だが、コンパクトで重心がボディー側に来るため、取り回ししやすい。内蔵型のフードも装備している。開放絞りがF8のため、ファインダーは暗くなるが、しかしそこは天体望遠鏡づくりも得意とする超一流光学機器メーカーのツァイス。シャープにピントを結び、発色もクリアで扱いやすい。また、ミラーレンズ独特の「◎」型のリングぼけは何とも言いがたい味わいを画に加えてくれ、逆光に構えてピントリングを回すだけでも楽しい。他社製と比べて非常に高価なレンズだが、手にすればきっと持ち歩きたくなる1本。
Vario-Sonnar
35-70mmF3.4
(MMJ)
  ツァイスのズームの中では、コンパクトで扱いやすい。開放F値も大口径とまではいかないが明るい。マクロを使えばそこそこ寄れるし、何よりスナップにはもってこい。描写はヘタな単焦点よりも良く、色乗り、階調表現、解像度、ヌケはズームとは思えないレベル。28mmまで欲しいなら、選ぶのはVS28-85mmになるが、こっちは大きくて重いし、そもそも私としては単焦点を使いたくなってくる。ニコンAF28-105mmなど、最近の標準ズームは画質がかなり向上していて、十分に使えるようになったが、ツァイスがもっと古くから高性能ズームを量産化していたことには感心させられてしまう。機材の軽量化を図るためではなく、積極的に使えるレンズだと思う。
Vario-Sonnar
100-300mmF4.5-5.6
(MMJ)
 瀬戸内などの風景を切り取るには、超望遠が欠かせないため購入した。性能は「折り紙付き」と聞いていたが、実際に出来上がったポジを見て、うなってしまった。素晴らしい解像力、繊細な階調描写、艶のある色調…ツァイスとしては新しい設計の部類に入るレンズで、らしさと現代的な要求を見事に融合した描写だ。開放F値は確かに暗いが、望遠側こそポジショニングによる画面の変化が少ないため、300mmまで自在に焦点距離が変えられるメリットは、80-200mmより便利な面が多いだろう。300mmの迫力は200mmを大きく超え、その描写にツァイスらしさが加わると、まさに絶品。儚さのようなようなものをうまく描いてくれる。

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