現在わたしが参加している俳句会があります。その句会でみなさんから比較的好評を得た句などを中心に、
わたしが過去に拠っていた俳句結社時代の主宰から選を頂いたものなど備忘録代わりに 書き留めていきたいと思います。
(春) (夏)
まさをなる空けふもあり花祭り 夜の雲や線香花火ぽとと落つ
しゃぼん玉吹きし子の顔のせて飛び 鴎外忌胃カメラ喉をえぐりけり
老いてなほ童話の世界春の月 わが胸に妻の影あり遠花火
受験子の声高らかもうつむくも 片蔭やとなりの人とうちとけて
若草をしとねとしたる午睡かな 青鷺やわが来し方をしかと見し
ささやかな幸とやいはむ春の虹 独り居のうたたねやぶり火蛾の舞ふ
蝌蚪の国田水にありぬ空のあを 紅をひく妻のひととき夕薄暑
水ぬるむころのふたりとなりにけり 夕薄暑観音竹に花咲けり
黄沙降る柩の父は門を出づ まだ啼かぬほととぎす待つ無聊かな
草笛やむかしに耳をすましをり 灯虫寄る骨董市のにほひかな
木鋏の音にゆらるる枝の春 古書開き明治の紙魚に遭ひにけり
杉玉のまろき春あり蔵の路 胃を病みし漱石想ひ氷水
くやしさを口には出さずしゃぼん玉 妻とゆく道ますぐなり山法師
しまひ湯の妻の匂ひや春しぐれ 投函ののちの推敲あやめ咲く
霾や癌に逝きたる友の遺書 あやめさくきのふはきのふけふはけふ
くすり湯の肌にぬめりや弥生尽 悔恨のわれ貫けり夕薄暑
誰も居ぬ六道の辻冴えかへる 濡れ髪をぬぐふしぐさのサングラス
春暁といふも玻璃戸のくもりたる 籠居の果てのすがたや蝉の殻
春雨や前を人行く夜の坂 梅雨入晴時きざむ砂落ちにけり
春宵のモーツァルト聴く無言かな 相逢ふて男とをんな桜桃忌
春日ざしわが逡巡を貫けり 大の字に風をあつめて夏座敷
音信の間遠になりて春の雨 青梅や暮れのこりたる甃(いしだたみ)
振りかえることあらざりと竹の秋 半月の明るさほどの水母かな
沙汰なくば事もなからむ春日影 腹の虫をさまり扇子ぱしと閉づ
子には子の言ひ分ありぬ春霞 紅うすくひくためらひや半夏生
ふつふつと泡に焼かるる栄螺かな
せし我慢せざりし我慢はだれ雪
阿波讃岐伊予土佐夫婦遍路杖