George Benson

私が ジャズを聴くきっかけになったのがマイルス・ディヴィスとジョージ・ベンソンでした。以来、長い間聴き続けています。彼のギターもとても個性的で、どのアーティストと競演していても一聴してわかるほどです。日本では確か80年代の始めだと記憶していますがコンポのCMに出演したことがきっかけとなり、素敵な彼の歌声もあいまって一般の層にも人気が広まりました。


概略紹介

George Bensonジャズ・ギタリストとしては勿論、ポップ・ヴォーカリストとしても人気の高いジョージ・ベンソンは1943年3月22日に米国はペンシルバニア州ピッツバーグに生まれた。幼い頃からギターを手にし、ウェス・モンゴメリーやチャーリー・クリスチャンなどのジャズギタリストを聴き入り、その腕を磨いて行った。驚くべきことに彼は、わずか11歳のときに初のレコーディングをしている。'62年、地元のジャズ、R&Bグループで活動し、同年、オルガン奏者のジャック・マクダフ・グループに参加して注目を浴びた。そして'64年に初のリーダー作 「ザ・ニュー・ボス・ギター」を発表。その後さまざまなセッションに参加し、中でもマイルス・ディヴィスの作品 「マイルス・イン・ザ・スカイ」への参加は大いに話題となった。'60年代後半になると、プロデューサーのクリード・テイラーと出会い、" ポスト・ウェス・モンゴメリー " というふれこみで売り出され、CTIレーベルに多くの名作を残すこととなる。

その後、'70年に入るとベンソンにとって更に飛躍することとなるプロデューサー、トミー・リピューマとの出会いが訪れる。リピューマのプロデュースにより'76年にリリースされた 「ブリージン」は新たな " ソフト & メロウ " というキャッチコピーとともに大旋風を巻き起こし、ヒット・チャート1位を獲得。また、同アルバムからシングル・カットされた 「マスカレード」はそれまではあくまでも余興的だった彼のヴォーカルを前面に出し、優れた歌唱力を引き出した曲であったが、これがトップ10にチャートインし、グラミー賞の栄誉に輝く結果を生んだ。こうしてギタリストだけに収まらず、ヴォーカリストとしても大スターとなった彼はその後もリピューマとのコンビによって '77 「イン・フライト」 、 '78 「メローなロスの週末」 、 '79 「インサイド・ユア・ラヴ」 と次々にヒットアルバムを制作する。一躍時代の兆児となった彼は、'80年大物プロデューサーであり、また、優れたアーティストでもあるクィンシー・ジョーンズとのコラボレーション作 「ギヴ・ミー・ザ・ナイト」をリリース。この作品は二大スターの競演作として大変な話題となり大ヒットした傑作である。'81年になるとベストアルバム 「G.B.コレクション」 を発表し、一旦そのキャリアを総括。

その後 '83年にアリフ・マーディンをプロデューサーとした 「ユア・アイズ」 をリリース。以後、'85年 ラス・タイトルマンのプロデュース作 「20/20」 、 '85年ナラダ・マイケル・ウォルデンのもと「 ホワイル・シティ・スリープス」等々、新たなプロデューサーと次々に作品を発表し、いづれの作品も都会的センスと彼の才能が光る秀作となった。'87年に入ると、ベンソンの後輩ともいうべきギタリスト、アール・クルーとの競演を実現し 「コラボレーション」 を発表。この作品では久々にヴォーカリストとしてではなく、純粋にギタリストとして心地良いサウンドを聴かせてくれている。翌年 '88年には一連のポップ作品の総まとめとして 「LOVE2」をリリースした後、再び リピューマプロデュースのもと ジャズのスタンダード曲を取り上げた 「テンダリー」を発表し話題となった。このヒットがきっかけで、カウント・ベイシー・オーケストラと競演、 「ビッグ・ボス・バンド」をリリース、'91年にはこの豪華な競演メンバーで来日を果たしている。その後 '93年には、ピアニストのボブ・ジェイムスをプロデューサーに迎え 「ラヴ・リメンバーズ」をリリース。ボブのピアノとの競演作は新たな彼の一面を見せてくれた。また、同作品はボブ・ジェイムスがプロデュースしていることから、ネイザン・イースト、ハーヴィ・メイスン、オマー・ハキムなどをはじめ、フュージョン・シーンにその名を飾るプレイヤーたちとのセッション作品としても非常に話題になった。'96年 は長年在籍したワーナーからGRPレーベルに移籍し、「ザッツ・ライト」 を 、'98年 「スタンディング・トゥゲザー」をリリースし、'00年には ジョー・サンプル、クリスチャン・マクブライド、ステイーヴ・ガット等のゲストを迎えて 「アブソルート・ベンソン」 を発表と、続々と新たな作品を制作し、個性的で繊細なギター・サウンドと秀でた歌声を聴かせてくれている。


「ソフト & メロウ」 という言葉はベンソンのためにあるかのように彼の作り出す音は実に優しく、甘く、お洒落だが、それは彼が真に優れたギタリストであることが土台となってのこと。彼のようにギターとヴォーカル、共に恵まれた才能を持ったアーティストはそうそう出現するものではない。今後もジャズ、フュージョンと、マルチな活動をしてくれることを期待する。



Favorite Album

「WHILE THE CITY SLEEPS... 」
1986年作品


1.While The City Sleeps...
2. Kisses in The Moonlight
3.Shiver
4. Love Is Here Tonight
5. Teaser
6. Secrets In The Night
7. Too Many Times
8. Did You Hear Thunder
数多いベンソンの作品はジャズ系、フュージョン系、ブラックコンテンポラリー系に類別されるような気がする。本作はアーティストでもあるナラダ・マイケル・ウォルデンとトミー・リピューマが主にプロデュースし、マーカス・ミラー、ランディ・ジャクソン、ポール・ジャクソンJr.など豪華なゲストを迎えたブラコン系作品で、曲数は少ないが都会の洗練された雰囲気漂う私の愛聴盤。
ギタリストとしてよりヴォーカリストとしてのベンソンをフューチャーしており、アーバンで艶やかな歌声が非常に魅力的。彼の作品はプロデューサーによってそれぞれ楽しみ方をみつけられると思うので、聴き比べてみるのも面白いかと思う。