Bob James
その聡明な印象そのままにボブ・ジェイムスの紡ぎだす音楽は知性的な魅力に溢れています。彼は40年以上のキャリアを持ち、完成度の高い作品を多く発表、ジャンルを越えた数多くのアーティストとの競演作も多く、また、プロデューサーとしても優れた人材です。まさに現在のジャズ/フュージョンのシーンにおいて不可欠な存在。ストレスの多い現代社会の中で、美しいボブのピアノの調べはオアシスとなっているはずです。
概略紹介
ボブ・ジェイムスは1939年12月25日、ミズーリ州のマーシャルで誕生し、わすが4歳のときからピアノを弾いて育っている。彼の最初のピアノ教師は姉であり、最初にボブの才能を見ぬいたのも彼女であった。その後、正式なピアノ教師のもとで音楽理論、ハーモニーの基礎などを学び、ピアノコンクールにおいて優秀な成績を残すなど早くからその才能を開花させていた。
'62年、ミシガン大学で音楽を学んだ彼は、途中バークリー音楽学院に転入などしながら修士号を取得、卒業した。その後、ノートルダム・ジャズ・フェスティヴァルにトリオグループで出演し、全てのカテゴリーで優勝するという大活躍を遂げる。このことが審査員であったプロデューサー、クインシー・ジョーンズの目に留まり、「ボールド・コンセプションズ」を発表するに至るが、真に新人ピアニストの彼をシーンに引き出したのはサラ・ヴォーンだった。ボブはサラの伴奏者として
「ビバ・ヴォーン」 「ザ・ニュー・シーン」
「サッシー・スィングス・アゲイン」 と3枚の作品に参加している。その後、セッション・ピアニスト、アレンジャー、ディレクターと忙しく過ごしながら、彼自身の音楽を追及して行く。その結果、ロン・カーターをはじめ、ハンク・クロフォード、エリック・ゲイル、ジョニー・ハモンド等々の作品で競演し、彼の存在は注目されることとなる。'75年の作品
「トゥ」などはいろいろなテーマ曲として使われ、このあたりからファンも増えて行った。
'79年、ギタリストのアール・クルーとのコラボレーション作品
「ワン・オン・ワン」を発表し話題となる。同作品は
'80年にポップス・インストゥルメンタル部門でグラミー賞を獲得。以後、デヴッド・サンボーンとのコラボレーションをはじめ、数多くのアーティストと競演し、彼のクレジットが見当たらないアルバムを探す方が困難であるほど。また、誰もが知りうる曲として有名な人気TV番組
「タクシー」のテーマ曲なども手がけている。その後、グラミーのノミネート常連となるソロアルバム、競演作を順調に発表し、安定した人気と指示を獲得する一方、クラシック、ストレートなジャズなどの作品のリリースし、幅の広さを見せている。'91年、アルバム「グランド・ピアノ・キャニオン」で競演したメンバー、リー・リトナー、ネイザン・イースト、ハーヴィー・メイスンとともにスーパー・セッション・グループ
"フォープレイ" を結成。新たなキャリアをスタートさせる。ファースト・アルバム
「FOURPLAY」 はビルボードのジャズチャートで1位を獲得、34週間もの間チャートに留まるという記録的な大ヒットとなった。その後も同メンバーで
'93年 「ピトゥイーン・イン・ザ・シーツ」
、'95年 「エリクシール」 とリリース、どれもゴールト゛・ディスクを獲得するなど記録的な結果を生み出している。その傍ら、ボブの愛娘との共演作、ソロ作を発表するなど彼の精力的な作品作りは留まることを知らない。なお、フォープレイは'98年作品の
「4」 より、ギターがリトナーからラリー・カールトンにバトンタッチし、'99年
「スノーバウンド」 '00年 「イエス・プリーズ」
と快調に作品を発表。ラリーのブルージィなギターによって新展開を見せている。
余談だが、ボブはコンピュータ・グラフィックスの製作者としても才能を発揮しており、その活躍の場は多方面に及んでいる。
Favorite Album
「JOY RIDE」 1999年作品 1. Take Me There 2. Raise The Roof 3. Its' All Right 4. Swingset 5. Joy Ride 6. What's Up 7. Fly By 8. The First Time 9. Strollin' 10.Sweet Talk Me Now 11.Trade Winds 12.Bisso Baba |
今作は多くのゲストを迎えていると同時に彼がプロデュースされる側になって伸び伸びとプレイしている点が聴く者にも伝わる広がりを感じる作品。 1曲目からボブの軽やかな指さばきの魅力が溢れ出し、ボブとのドライブが始る。2ではボニー・ジェイムスのサックスとの絡みが小粋、タイトル作の5では久々にリトナーと共演しており、華麗なタッチと心憎いばかりのコラボレーションが聴ける。7はフォープレイのメンバー、ネイザンとハーヴィーが共演、カルテット作とはまた一味違った面を見せている。10はラシーダのVo.がフューチャーされており、セクシーな仕上げ。11はまさに風が吹きぬけるかのような雰囲気の曲。微妙なバランスを保ちながらあくまでも爽やかなタッチが心地良い。 |