Larry Carlton

「ミスター 335」の愛称でフュージョン界だけではなく、ロック界にもファンの多いスーパー・ギタリスト。ラリーの持ち味はブルース、ロックのダイナミズムとジャズの緻密さを大胆に融合させた点にあると思います。アーバンなバラードからブルースアレンジの曲まで実に幅広く弾きこなし、彼自身のものにしてしまうのはさすが。リー・リトナーとともにギブソンES-335がもっとも似合う大好きなアーティストです。


概略紹介Larry Carlton

1948年 3月 2日、ラリー・カールトンはロス郊外のトーレンスで誕生した。6歳のときからギターをはじめ、14歳までスリム・エドワードに師事、'66〜LAハーバー大学で、'68年〜ロングビーチ州立大学で本格的に音楽を学び、その頃初のリーダー作を発表している。'70年代に入るとセッション・プレイヤーとして活動をはじめ、さまざまな作品に参加するが、彼を有名にしたのはクルセイダーズとの競演作で、ブルージィーな彼のフィーリングとクルセイダーズのファンク・サウンドがマッチした「クルセイダーズ 1」 「スクラッチ」 などで大きく注目された。その後 '74年の「 サザン・コンフォート」からクルセイダーズの正式メンバーに迎えられ、'75年から'77年まで 「チェイン・リアクション」 「南から来た十字軍」 「旋風に舞う」などの作品を発表、どれも高い評価を受けた。こうしてクルセイダーズに不可欠な存在となったラリーだが、セッション・ギタリストとしても引く手あまたの状態で、マイケル・フランクス、スティーリー・ダン、ジョニ・ミッチェルなどの作品をはじめ数々のセッションに参加しており、彼の生み出す絶妙なギター・トーンはその後のAORサウンドのひとつを作ったとも言われている。

'78年クルセイダーズから一人立ちしてソロとなったラリーは、ワーナーと契約し、日本でも大ヒットしたアルバム 「夜の彷徨」を発表、その中の彼のトレードマークでもあるES-335をタイトルに冠した 「ROOM  335」のビバップ的なプレイは多くのギターフリークを驚嘆させ絶大な支持を得てキッズからプロまでコピーするほどの大人気だった。その後の '80年 「ストライクス・トワイス」  '82年 「夢飛行」 を発表し、日本でのライヴ盤2枚をリリースし、ラリーはますますギター・ヒーローとしての人気を絶大なものとした。'83年 「フレンズ」 を最後に古巣のワーナーを離れた彼は '86年MCAより全編アコースティックで作られた 「アローン・バット・ネヴァー・アローン」をリリース、続く'87年発表の 「ディスカヴァリー」ではドゥービー・ブラザースの曲をカヴァーし大ヒット。彼はこの作品でグラミー賞の栄誉を獲得している。

ところが、'88年4月4日、世間を震撼させる事件が起こった。ラリーは、自宅前で暴漢に襲撃され銃で頚部を撃たれるという重症を負ってしまう。当時この負傷により一時は死亡説や再起不能説が飛び交うこととなった。しかし、生命の危機にあった彼は懸命なリハビリに取り組み、奇跡的に回復、翌年の'89年には 「オン・ソリッド・グラウンド」を発表して多くの人々に感動を与えている。その後もベスト盤やブルース・アルバムを含む4枚の作品をリリースし、完全復帰をアピール。'95年にはリー・リトナーとの競演作 「ラリー & リー」を発表、'96年 「ザ・ギフト」を制作した後、リー・リトナーの後任ギタリストとして '98年フォープレイに加入、 「4 」  '99年 「スノーバウンド」 '00年 「 イエス・プリーズ」を発表。また、同'00年ソロ作 「フインガープリンツ」 をリリースし、6月にはハリウッドのロックウォークにハンドプリントとを飾るという栄誉を得てその活躍ぶりはめざましい。

「ミスター335」として長年親しまれてきたラリーのプレイは、フュージョンの枠だけに決して収まらない魅力に溢れている。彼の知的で緻密である反面、非常に情感豊なトーンを持つギターサウンドは、これからのギター・キッズにとっても大いに指示されることだろう。



Favorite Album


「FINGERPRINTS」
2000年作品


1. FINGERPRINTS
2. SILKY SMOOTH
3. THE STORYTELLER
4. 'TIL I HURT YOU
5. SLAVE SONG
6. ALL THRU THE NIGHT
7. LAZY SUSAN
8. CHICKS WITH KICSTANDS
9. GRACIAS
10. CRYING HANDS
彼もまたその長いキャリアの中では数多くの作品を発表しているため、1枚だけを選出するのが難しいアーテイストだが、2001年現在の最新作を選んでみた。
全体的にアーバンなスムース・ジャズといった趣の作風で、5をはじめ流れるようなギターメロが満載。また、4ではかつて彼がカヴァーして大ヒットとなった縁からの友・元ドゥービー・ブラザースのVo.であり、シンガー・ソングライターとしても大御所のマイケル・マクドナルドがゲスト参加して往年のAORを聴かせてくれている。また、9ではヴィンス・ギルとデュエットしており、ポップな一面をのぞかせているといった意欲的な作品。