Marcus Miller
ベース・ファン、フュージョン・ファンの間で絶大なる人気を誇るスーパー・ベーシスト。彼は超一流のプレイヤーとしてだけではなく、数々のスターの代表作を生み出したコンポーザーであり、プロデューサーでもあります。マーカスほどのセンス、テクニック、ルックスと三拍子、あるいはそれ以上を持ち合わせた存在はそう簡単にみつけられるものではないでしょう。彼のプレイを一度聴けばその実力のほどがわかることと思います。ぜひマーカスの熱くアグレッシヴなサウンドに触れてみて下さい。
概略紹介
華やかな経歴を持つマーカス・ミラーは '59年6月14日、ニューヨークのブルックリンに生まれた。教会のオルガン奏者だった父の影響で幼い頃から音楽になれ親しんで育っている。10歳のときにクラリネットを手にしたが、ホーンセクションは途中の休みが多いという不満からサックス、ベースへと移行したらしい。また、そのころR&B聴いていた彼は、バンド活動も始めている。15歳のとき、ジャズと出会ったマーカスは、スタンリー・クラーク、ジャコ・パストリアスのジャズの枠に納まることなく、自由で前衛的なベース・プレイに驚愕し、その出会いは彼の人生を変えることとなる。ことにジャコへの思いは印象深いものであったらしく、ジャコのファースト・アルバムを何度も聴き、練習に練習を重ね、ひたすらジャコを追求することに没頭したという。そうしたことを重ね、成長を遂げていったマーカスがスタジオ・セッションで名を挙げるきっかけとなったのは、ドラマーのレニー・ホワイトのアルバムとツアーへの参加であった。'78年のレニーの作品
「ストリームライン」で彼は全曲ベースを演奏しているが、実のところマーカス17歳の'76年にレニーのアルバム中1曲に参加している。
'80年代に入ると渡辺 香津美やブレッカー・ブラザース等のツアー参加で、たて続けに来日し、その人気は日に日に上昇するといった具合に大変なものとなった。更にジャズ界の帝王・マイルス・ディヴィスのバンドメンバーとして日本の土を踏むということで、マーカスの名は広く知られるところとなった。しかし、彼の才能はベーシストだけではなく、この頃よりデヴッド・サンボーン、ルーサー・ヴァンドロスなどの作品でアレンジャーとして開花することとなり、'86年にはマイルスの'80年代の代表作
「TUTU」でもトミー・リピューマ、ジョージ・デューク等とともにプロデューサーとして名を連ねている。また、セッション作品やリーダー作などもリリースし、エディ・マーフィー主演の映画音楽も担当するなど、以後、現在に至るまで八面六臂の活躍ぶりである。
セッション、コラボレーション作品の数は相当数ある彼だが、マーカスのソロ名義作品となると少ない。そうした彼の
'93年にリリースされた 「ザ・サン・ドント・ライ」は恩師であるマイルスに捧げられた作品で、大きな影響を受けたジャコへの想いも込められた曲などもあり、マーカス独自の攻撃的かつ刺激的なスラップ・トーンがたっぷりと堪能できる作品。続く'95年
の 「テイルズ」は彼がインスパイアされたアーティストたちをモチーフにヴァラエティ豊かで
ヒップ&ファンキーなイケてる作品。その後、この延長線上でライヴ盤のリリースされている。日本では特に人気が高いことから、これまでにもソロとして来日公演を行っており、機会があればぜひともライヴを体験して欲しいアーティストである。
Favorite Album
「The Sun Don't Lie」 1993年作品 1. PANTHER 2. STEVELAND 3. RAMPAGE 4. THE SUN DON'T LIE 5. SCOOP 6. MR. PASTORIUS 7. FUNNY ( ALL SHE NEEDS IS LOVE) 8. MOONS 9. TEEN TOWN 10.JUJU 11.THE KING IS GONE (FOR MILES) 12.ROUND MIDNIGHT |
プロデューサー、コンポーザー、セッション、ソロとマルチプレイヤーとしてひっぱりだこのマーカスが前作から約9年振りに発表した'93年の作品。 恩師でもあったマイルス亡き後、彼に捧げられたことがタイトルに現れているが、1のPANTHERから既にスリリングなベースが全開状態。ゾクゾクするような2から、ワイルドなチョッパーを聴かせる3、打って変わって滑らかな指さばきをフューチャーした4、天才ベースプレイヤー、ジャコへの賛歌の6、マイルスへの想いを託した11など、ともかくマーカス・ミラーの魅力が満載。また、彼の人脈を現しているサンボーン、ショーター、サンプル、ハイラム、レニー、ハキムなどなど豪華なゲスト陣がさらに盛り上げていることも聴きどころ。この感覚を一度味わうとクセになる傑作。 |