Lee Ritenour

リー・リトナーは数多いフュージョン・ギタリストの中でも特にお気に入りのアーティストです。その素晴らしいテクニックはあらためて述べるまでもなく、ファンキーな曲調からジャズまでなんなくこなしてしまうのはやはり驚きです。また、彼のサウンドには「場面 」 を感じる部分があり、情景が浮かんでくるよう。その点が私にとって最大の魅力です。


概略紹介

Lee Ritenourリー・リトナーは 1952年 7月 18日 ロスに生まれている。6歳のときにギターを始め、南カリフォルニア大学在学中にジョー・パスなどプロのギタリストからレッスンを受けている。 「FUSION 」 という言葉がシーンを賑わせはじめた'70年代初頭、セッション・ギタリストとして活動を始め、ジョー・ヘンダーソン、ジョニー・ハモンドなとど競演し、'73年にはセルジオ・メンデス & ブラジル77に参加、初来日もしている。そのセルジオ・メンデスの紹介で後々リーにとって大きな影響を与えることとなるデイヴ・グルーシンと出会い、映画のサントラなどで競演、そのきのセッションで知り合ったハーヴィ・メイスン、アーニー・ワッツとバンドを作りロス周辺でライヴ活動を始める。

'76年 エピックと契約したリーは初めてのソロ作 「ファースト・コース」をリリース、快活なフィーリングとロック色を取り入れた彼のギターサウンドは多くのギター・ファンの間で話題になる。翌 '77年には 「キャプテン・フィンガーズ」 を発表、それまでにない新しい試みがなされたこの作品は若者たちから大きな指示を受け、メジャーシーンでも注目の存在となった。また、この年、渡辺 貞夫のアルバム 「マイ・ディア・ライフ」 にグルーシンとともに参加し、日本のJVCレーベルで彼のグループ "ジェントル・ソウツ"として グループ名と同タイトルのアルバムをリリースしている。また、アルバム発表と同時に日本でライヴを行い、この模様が大評判、本国アメリカよりも先に日本でその地位を確立したのである。その後、渡辺 香津美 、高中 正義 、など多くの日本人アーティストとも競演し、ソロ作品も続々とリリースするという大活躍を遂げた。(当時から彼のギターは街角やラジオなどからひんぱんに流れており、今あらためて聴くと多くの人が耳に覚えのあるメロディーをみつけることと思う。)

'80年代に入ると、彼はデヴッド・フォスターとハーヴィー・メイスンをプロデューサーに迎え、新たにヴォーカルを加えたアルバム 「RIT」 を発表。これがアメリカのチャートでも大躍進し、母国においてもスーパースターとなる。'85年 、 旧友のデイヴ・グルーシンとの競作 「ハーレクイン」 を発表。同作品はグラミー賞の3部門にノミネートされる傑作となった。彼はその頃からシンセサイザーを取り入れ、ブラジルをはじめとするワールド・ミュージックの要素を大胆にアレンジした '86年 「アース・ラン」 '87年 「ポートレイト」 '88年 「フェスティヴァル」  '89年 「カラー・リット」 といった作品を続々とリリースし、新境地を開拓する。ことにアコースティックギターをプレイした作品 「フェスティヴァル」  「カラー・リット」は大好評を得て、新しいファン層も生まれた。

そうしたリーの活躍は留まるところを知らず、'89年に 「ストールン・モーメンツ」 でジャズ・ギタリストとしても実力発揮する。更に '93年には敬愛するジャズ・ギタリスト、ウェス・モンゴメリーに捧げられたトリビュート・アルバム 「ウェス・バウンド」を発表。この作品での彼は、それまでのテクニックに加えて情感豊かな表現法を披露し、一層厚みを増したサウンドを聴かせてくれる。話しが前後するが、'91年には名アレンジャーでもあるピアニストのボブ・ジェイムスがリーダーとなり、リー、旧知のネイザン・イースト 、それからエリック・クラプトン、ジョー・サトリアーニなどのツアーで活躍しているロック界でもひっぱりだこのベーシスト、ネイザン・イーストの4人でスーパーセッション・グループ  「フォープレイ」 を結成。同グループ名と同じアルバム 「フォープレイ」 をリリース。その後フォープレイとして合計3枚に参加している。そして '95年春には まさに夢の競演とも言うべきラリー・カールトンとの競演作 「ラリー & リー」を発表し、ギターファンを歓喜させる。また、二人はこのアルバム発表後、来日し、日本において夢のコラボレーションを実現させてくれた。その後のソロ作やライヴ作などをリリースし、'00年には再びデイヴとジョイント作品 「トゥ・ワールド」を発表。今作はクラシックを取り入れ、二人らしい解釈のもとに新しい世界をつくりあげている。
 
常に新しい世界にアプローチしつつも、一聴して彼のサウンドであるとわかるのがリー・リトナー。L.A.の風をこれからも運び続けてくれることを楽しみにしたい。



Favorite Album

「COLOR RIT」
1989年作品


1. BAHIA FUNK
2. E'
3. ALL THE SAME TONIGHT
4. MISTER REGGAE
5. I CAN 'T LET GO
6. COLOR RIT
7. THE KISS
8. MALIBU
9. TROPICAL STORM
10. ETUDE
どの作品を取り上げようか迷うところだが、敢えてES-335ではなく、アコースティック作品を選んでみた。オープニングナンバーからまさしく南の風がつき抜けるような爽快感を味わえ、聴く者をリゾートへと導いてくれる。
忙しくてちょっとした休暇も取れない..という人は是非とも
リーの作品で旅行気分を味わって気分転換をしてもらいたい。ドライヴにもオススメの一枚。