その4 買入債務の悪戯
運転資本部分が営業キャッシュフローに大きな影響を与えることは
既に強調しているところなのだが、最近ちょっと気になっているのは、
買入債務のフラクチュエーションである。
(売上債権や棚卸資産部分が、「寝た資金」状態となっているという話は
もういいスよね(^^;?)
買入債務部分は、単純に考えると、
売上債権の逆のポジションの話ってことになるのだが、
実務的には案外そうも言いきれない。
何が言いたいかと言えば、たとえば、支払サイトがその会社の他の
取引先と比較して異常に長い取引先から掛けで買入を行った場合、
その取引一発で営業キャッシュフローが大きく歪むことがあると
いうことである。
仕入先のサイトを統一させることができるようなパワーのある会社
ではあまり関係ない話だが、中小零細企業の場合、案外これが少なくない。
てなことで、
「正味運転資金負担が少ないから営業キャッシュフローが多い」
って喜んでいると、ある月になってガクッと減っちゃうことがあるので
注意してほしい。
あと、逆に交渉力があるために起こる話だが、グループ企業からの
仕入れについては、資金融通を受けているので、サイトを調整して
こっちの資金繰り次第で支払っているなんてケースもある。
この場合、営業キャッシュフローを「儲け」と判断するとえらい
ことになる。
まぁ、連結という発想がないんでしょうがないんだけどね…。