悩みからの入信
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新興宗教に熱心な人はどういうタイプが多いか |
・何でもないことにも取り越し苦労する人
・こうでなければならないという思い込みが強い人
・何か問題が生じると悪い方に考える人
・真面目すぎる人
こういう人は悩みごとを何とか解決しようとして、さらに悩むわけです。
汝が息子を愛するからと、子のために悩みと苦痛と失望を免除してやりたいと願っても、
そうしてやれるか? ヘルマン・ヘッセ『シッダルータ』
とか
あなたのうち、だれが思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことのできようか。 『マタイ伝』
ということはよくわかっているんですが、
人はいわれない苦悩を考えることはできない。苦悩はその原因が発見されない限り、人々を不安にする。 M・エリアーデ『永遠回帰の神話』
というわけです。そこで我々は悩みごとの原因、なぜこうなったのかを知りたいのです。
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新興宗教が教えてくれる問題の原因は
馬鹿らしいほど単純
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・先祖の霊が迷っているから
・方角が悪い
・悪竜のたたり
・この土地で殺された人がいる
・前世で犯した罪のためにこんな目に遭っている
これらは正しいと証明はできませんが、間違っていると証明することもできません。
だから信じ込んでいる人に、それはおかしいと納得させることが難しいのです。やっかいです。
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そして、あまりにも安易でお手軽な解決法 |
新聞や雑誌の広告にこういうのがよくあります。
・この健康食品を常用すれば病気にならない
・お守りを一日中つけていれば災いを避けることができる
・吉相のハンコを買えば運命が好転する
・カセットテープを聞くだけでダイエットができる
・週に一回、遊びながら英会話を学べば、英語をしゃべれるようになる
などなど。きりがありません。
こんなことで悩みが解決するのなら、誰も悩まないんですけど。
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こんなことを言う人がいました |
・膝が痛いのは骨壺に水がたまっているためだから、その水を捨てればいい
・旧暦の4月8日(お釈迦様の誕生日)にアヒルの卵を食べれば小児喘息が治る
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問題が解決しない時の常套句(言い訳)
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①もっとひどくなっていたはずだが、この程度ですんでいるんだ。
②信心や行が足りない(つまりお金をもっとよこせということ)。
③(霊などが)手ごわいのでどうしても時間がかかる。ここでやめたら今までしてきたことがみんな無駄になるし、もっとひどくなる。
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どっちに転んでもいいような論理
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ある新興宗教(手かざしで病気が治ると言っている宗教です)では、
・妊婦が手かざしを受けて安産なら「お浄めのおかげ」
・流産なら「災いをもたらすような子なので、神様の愛で流産させた」
・手かざしを受けずに流産したら「その家の家系を絶やそうとする霊の仕業」
と言うそうです。
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夢・幻想・妄想 |
こうした話がいかに魅力的であろうと、あるいはどれほど慰めになろうとも、それが真実であるかどうかということとは全く別の問題です。こんなことで長年わずらった病気が簡単に治れば誰も苦労はしません。あくまでも夢を与えているだけなのです。
しかし現実の厳しさよりも、とりあえずは夢の方がいいので、そんな話を信じます。
もちろん真の解決ではありませんから、問題は解決されずに残ったままです。
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そして、抜けられなくなる |
こんな具合にまるめこまれると、最初はちょっと試してみるだけと思っていても、いつの間にかずるずると底なし沼にはまりこんでしまい、抜け出ることが難しくなります。楽しい夢がいつの間にか悪夢になってしまうのです。
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深い悩みをもつことが人生を深く生きたことです。 安田理深
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