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人間とは
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人は群れの中で真の孤独を感じる。 佐藤三千雄
我々は孤独を感じるのにも他者を必要とする。 岸見一郎『嫌われる勇気』
自信のない者はプライドが高い。 岡本茂樹『いい子に育てると犯罪者になります』
人はすぐに答をほしがる。しかし、自らの一生で答えていかなければならない。
「人間嫌い」とはじつは自分が嫌いな人ではなかろうか。そして、その底には「人間大好き」が潜んでいるのではなかろうか。
真に人間好きな人は、人間つまり自分にも他人にも多大な期待をしますから、自分からも他人からも裏切られつづける運命にある。自分という人間もホトホトあきれはてたヤツなのだが、自分からは離れることができないので、せめてあらゆる他人から離れてドンドン人間嫌いになる傾向を必死の思いでくい止めようとするのです。 中島義道『人生を〈半分〉降りる』
現代日本で、とくに若者のあいだで「明るくしなければならない」重荷は、とても大きいように感じます。それに適応力のない者は疎外されてゆく。自分は「おかしい」のではないか、と思いつめる。しかし、私に言わせれば、結局死で終わる悲惨で残酷な人生を生きる態度としては「暗い」ほうが自然です。「明るい」のは相当無理をしているか(つまり演技がうまいか)、救いようもなく鈍感だからでしょう。 中島義道『人生を〈半分〉降りる』
生命というものは自分を成長させ、自分を変化させる力である。そういう力が働く場所を用意することが教育である。 林竹二林竹二『教育の根底にあるもの』
人間をだます狐がいるのではない。狐にだまされる人間がいるだけだ。 曽我量深
人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。罰するのが好きなだけなんだ。 ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
わたしは、自分がだまされることもある、と自覚する程度には頭がいい。 リチャード・ファインマン
機械が人間のようになることより、人間が機械のようになることのほうが恐ろしい。 池谷裕二
人は口に出すことによってより、口に出さないことによっていっそうその人をあらわす。 アルベール・カミュ『シーシュポスの神話』
人間は、自分は絶対に正しいと思い込んだ時に最も残酷な事をする。 司馬遼太郎
こちらの望むとおりの返事が返ってくるのはなんと心地よいことか。 貫井徳郎『乱反射』
金がなくて困ったと言う者は、金があっても困る。 佐々木蓮麿
明日なにをすべきかを知らない人間は不幸である。 ゴーリキー
世界をもっと良くしたいと思っている人ほど、危険なものはない。 バンクシー
人は「なんで」ということがあった時、理解できる物語を作ろうとする。 角田光代
他人が自分を見下げていないかと思うのは、自分が人を見下げているからである。
人間は必要とされると生きていける。 夏苅郁子『心病む母が遺してくれたもの』
心弱い私は安心したいために すぐ結論を出したがる。 平野修
知らざりき 己がためにと 計りける 心すなわち 地獄なり 中江藤樹
機械が人間のようになることより、人間が機械のようになることのほうが恐ろしい。 池谷裕二
自分だけは死なないような感じがしている。 友松円諦『法句経講義』
無知とは知識の欠如ではなく、未知のものを受け容れることができなくなった状態である。 ロラン・バルト
人の欠点に気づくのは、同じものが自分にもあるからだ。 大阪教区教化センター
敵意を向けると、敵意が返ってくる。 中村ユキ
欲しいものの多い世界が人間。欲しいものがえられない世界が餓鬼。欲しくないものが与えられる世界が地獄。 佐々木蓮麿
本音はただほめてもらいたいだけ。昔のペルシャの王様は悪い知らせを運んできた使者を殺したそうだけれど、わたしたちも似たようなものかもいsれないわ。 ヘレン・マクロイ『暗い鏡の中に』
人間、死ぬからこそ、その生に味わいが出てくる。 渡辺京二『無名の人生』
人はみんなわかりあえるとか、人間なんだから同じはずとか、そういうのは嘘っぱちで、みんな違う。みんな違うってことに気づかないと、出会えない。 角田光代『対岸の彼女』
人間にとって最もつらい苦しみは、自分がなぜ苦しんでいるか、その理由がわからないことだ。 フランクル『夜と霧』
世の中は役に立つ人間だけでなくってもいい。 あるオモニ
あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。それがいちばん人間にとって大事なことなんだからね。 「ドラえもん」
人は自分が探そうとしているものが存在しなくても、見つけたつもりになってしまうものだ。 ダニエル・エヴェレット『ビタパン』
人間は、鼻だけを見てゾウの全体像を知ることができると早とちりする愚か者である。 ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン』
人間は、人から点数をつけられるためにこの世に生まれてきたんじゃない。 相田みつを
何を笑うかによってそのひとの人格がわかる。 パニョル
文句や愚痴ばかり言っている人は「おかげさま」とほとんど言わない。 名取芳彦
階級を支えているものは、なんだと思う?
それは人間の自尊心だよ。オレはあいつよりマシだとつぶやいて、かろうじて日々を耐えるのさ。 花村萬月『ブルース』
人間は息をひきとるまで生涯をかけて、私を認めてくれ、私を認めてくれと、声なき声で叫びつづける可憐な生き物だと思われる。 谷沢永一『人間通』
人間は、大きな問題に簡単な答えをみつけたがる。自分に起こる、よくないことを、全部ユダヤ人や黒人のせいにしようとする連中がいる。うまくいかないことが山ほどあってもなんの不思議もないということが、わからない連中がいるのだ。すべてをある人々のせいだと言って、そいつらを始末すれば解決すると考えるやつもいる。よその国と戦争をするべきだというやつもいる。それから……ああ、とても数え切れない。 ジム・トンプスン『ポップ1280』
人は信じたいように信じているわけで、「あなたの信じているものは本当はこうなんだよ」と言っても、それがうれしいわけではない。 橋本治
世の中には生まれつき一流になるような能を備えた者がたくさんいるよ。けれどもねえ、そういう生れつきの能を持っている人間でも、自分ひとりだけじゃあなんにもできやしない。能のある一人の人間が、その能を生かすためには、能のない幾十人という人間が、眼に見えない力をかしているんだよ。 山本周五郎『さぶ』
人が自分は無力な存在ではないと気づくことと、他人に親切になれることはおそらくつながっている。他人に優しくなれるのは、その人に力があるか、少なくとも力が湧いてきていると感じるからだろう。 田原牧『ジャスミンの残り香』
がんばること自体は、そんなに大変なことだとは思わないんですよ。ただ、はたして正しいがんばり方をしているのか、わからない。その心許なさ、不安のほうがつらいと思うんです。こうすればうまくいくという方向性がわかっていれば、人間、相当なことでもがんばれる。 春日武彦「中腰という生き方」
人はどんなときも、誰かを愛することなく生きることはできない。でも、その相手の心を、ためしたり傷つけてみたくなる。
人間というのは元々肩書のない存在だ。職業人として肩書にふさわしい働きをすることも大事だけど、その一方で、肩書のない自分が本当の自分であることを、いつも心の片隅に持っておいてほしい。 渡辺京二『無名の人生』
人間の価値は究極的なところ有用性にはありません。人の役に立っているか、社会貢献できているか、お金を稼いでいるか、などといったことは最終的にはどうでも良いことなのです。役立つことが人間の価値の全てであるならば、ほとんどの人間はいずれ存在価値を失います。したがって、役に立つと否とにかかわらず人間には価値があるとみなすような価値観の転換が必要となってきます。 井上智洋『人工知能と経済の未来』
大事なことってたいてい面倒くさいんだよ。 宮崎駿
昔はよかったと思う最大の原因は、記憶力がダメになったから。 F・P・アダムズ
酔わなきゃ本音を言えない人を信じちゃだめだよ。そういう人は本当の人生を生きていないからね。 横山秀夫『クライマーズ・ハイ』
その場にいない第三者への悪口というものは、人々をかたく結びつけるものである。 森見登美彦『四畳半神話体系』
にせものに限って、見えるところばかりを気にして飾る。 東井義雄
人間はまず人間を信じなくてはならない。それさえできれば、他のことは万事うまくいく。 カレル・チャペック
自分はどこかおかしいのではないかと考えている人間はまだ大丈夫。危ないのは、自分はおかしくないと思っている人間だ。 佐高信『日本は誰のものか』
自分を、違う人間にしうると考え、自分の考えている理想像に近づけることが生長であると考えた。(略)私というものは、けっきょく、私になりえたということに過ぎない。(略)私が私になりえたら、大したことではないか。私ははたして私になりえたか。 高見順『闘病日記』
自活するっていうのは、誰の手も借りないってことじゃないよ。人間、 一人じゃ生きられないと割り切ることだ。世の中、持ちつ持たれつ。誰かに助けられたら、いつか誰かを助けりゃいいんだよ。下手な遠慮は、誰の役にも立たないもんだよ。 平安寿子『素晴らしい一日』
生身の人間の行動は、ある行動をしないで、それを抑制するという状態をも含めて、それはいつも揺れ動いている過程にあります。人間はどういう状態においても、揺れ動くということから自由になるものではありません。そしてこの揺れ動くという状態において、人は自分自身を何かの根本的な価値基準によって支える必要があり、その根本的な価値基準は、宗教と呼ぶことができます。 鶴見俊輔『戦時期日本の精神史』
人は自分を受け入れる程度にしか他人を受け入れることができないのです。 加藤諦三『アメリカインディアンの教え』
自己無価値観に悩んでいる父親が、子供に自分の価値を認めてもらいたい、家族に自分の価値を認めてもらいたいと考え、家族を自分の悩みを解決するための手段にしてしまうのです。 加藤諦三『アメリカインディアンの教え』
人は自らの弱さを抱きしめるとき強くなる。 ローリー・リン・ドラモント『あなたに不利な証拠として』
人間は、タダで得た権利だと大切に思わなくなる。 塩野七生『ローマ人の物語』
人間とは、事実だから信ずるのではなく、事実であって欲しいと思う気持さえあれば信じてしまうものなのである。 塩野七生『ローマ人の物語』
成恭、人間は食べないと死ぬけどね、うんちがでなくても死ぬんだぞ。食べられるっていうのは有難いことだけど、おんなじように、うんちが出るっていうことも有難いことなんだ。
無着成恭『ヘソの詩』
誰でも他人の思うままに扱われるのは好みませんし、他人の思うままにされると自尊心を失い、無力感も感じます。そうなりたくないために、逆に相手を支配し、コントロールしようとするのです。相手をコントロールしている間は、自分の無力感に直面せずに済むからです。 加藤力『家族を依存症から救う本』
親は、他人の子どもの能力は素直に評価できるけれども、わが子に対してはそれがうまくできません。それどころか、能力の価値に高低をつけ、勉強ができるという能力を最上位に位置付けてしまっています。 小林公夫『高学歴な親はなぜ子育てに失敗するのか』
人間というのは、どれほど多くの涙とともに飲み下した教訓であっても、喉元を過ぎたとたんに忘れてしまう生き物である。 貴志祐介『新世界より』
人間には殺されていい人もいないし、殺していい人もいないから、人を殺してはいけないと思います。 ある高校一年生
人はその不幸が人目をひけばそれで半分は慰められる。 デュクロ
人間は常に自分に理解できない事柄はなんでも否定したがるものである。 パスカル
多くの人は、今朝方ほめそやしたものを夕方にはもう謗りはじめる。そして、つねに正しいことを言っているつもりだ。 アレグザンダー・ポープ
不幸をたえしのぶより、人間にとって実は、幸福をしっかり受けとめることの方がずっと困難なのだ。 ラスキン
歴史から学べるのは、人が決して歴史から学ぶことがない、ということだ。 ヘーゲル
人間は、自分の目で見たものでなく、頭で信じたことの方を信じる動物なのだ。
人間の愚かさは、あらゆるものについて答えをもっていることだ。作家の仕事というのは世界(人生)を問いかけとして、理解することを伝えることだ。決して答えを与えることにあるのではない。 ミラン・クンデラ
人は自分より少し不幸な人間が好きなのだ。 荻原浩『四度目の氷河期』
忘れないことと、ときどき思いだすこと。それが生きている人間が死んでしまった人間にできる数すくないことだ。 石田衣良『6TEEN』
世の中から、思い違いというものだけ除いたら、ずいぶん人間の苦労は少なくなるがなあ。 吉川英治『宮本武蔵』
ふたりの人に会う。ひとりは老人、ひとりは若者。そしてふたり並んで歩きながら、たがいになんの話題も見つけられずにいる場合、わたしには、それが父と子であることがわかるのだ。 M・デュ・ガール『チボー家の人々』
人間はいつも狐を嫌ってきたが、それはおそらく狐が人間に少し似すぎているからだろうな。狐は食うために狩りをするが、自分だけの楽しみのために殺すこともできるんだ。 フィリップ・クローデル『ブロデックの報告書』
人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。 東野圭吾『容疑者Xの献身』
人のことばっかり気にしてるのは、自分のことがいちばん気になるからやん。 柴崎友香『きょうのできごと』
肉親のいかがわしいことはかくしていたいのが人情だ。かくせるものなら永遠にかくしておきたい。しかし、かくしとおしたところで、それはお父さん以外は知らないことであっても、お父さんひとりは知っていることだ。できるなら、お父さんも知らないことにしていたいのだ。しかし、そんなことができるわけがない。 丹羽文雄『有情』
自分で自分を裁くのは高慢だ。本当に謙虚な人間なら、他人をも裁きはしないし、自分を裁くこともしないだろう。 山本周五郎『虚空遍歴』
人間はみんな自己主張をし、自己弁護するものらしい。自分では公平であると信じながらね。それでもどうにか折り合ってゆけるんだから、世間はうまくできているものさ。 山本周五郎『虚空遍歴』
朝になればペテロには悩みと恥がます。人目はないが身を恥じる、犯した罪を思いつつ。我が恥じらいは人目にかぎらず、天地のほか人の見ない誤ちだが、ひとり恥じるので。 セルバンテス『ドン・キホーテ』
誰でも人に認められたいって、いったでしょ。一番大切なことは、まず自分で自分を認めることだと思うのね。まっすぐに見なきゃダメなのよ。代わりを求めてもいけないと思うの。背は低いけど、勉強ができるとか、顔がいいとか、マイナスを埋めるようなことを求めはじめると、結局、自分に嘘をついて、ごまかそうとしちゃうのよ。だからあるがままの自分を見つめることが、自分を認めるってことだと思うの。 鳴海章『風花』
自分のことを話すのって、気持ちがいいの。自分がいかに苦労してきたのかを他人に話すのはね、自分が注目され、認められている気分になるでしょ。だからね、気をつけなきゃいけないのよ。 鳴海章『風花』
自分のことばかり話すなんて、少しは恥ずかしいと思わなきゃね。本当は、自分のことなんか話しちゃいけない。相手の話が聞けなくなちゃうでしょ。 鳴海章『風花』
人間は、何か目当てがないと生きて行けないのだ。 井上靖『化石』
人間の幸せというものは、しみじみと、心の底から、ああ、いま、自分は生きているということを感じることだな。そうすれば、自分のまわりのものが、草でも、木でも、風でも、陽の光でも、みんな違ったものに見えて来る。 井上靖『化石』
誰かに向かって手を広げ、俺がついているよ、一緒なら大丈夫だよと声をかけた瞬間に、人間は、頼られるに足る存在になるのだ。最初から頼りがいのある人間なんていない。最初から力のある人間なんていない。誰だって、相手を受け止めようと決心したそのときに、そういう人間になるのだ。 宮部みゆき『模倣犯』
人間が事実と真正面からから向き合うことなんて、そもそもあり得ないんだ。絶対に無いんだよ。もちろん事実はひとつだけだ。存在としてはな。だが、事実に対する解釈は、関わる人間の数だけある。だから、事実には正面も無いし裏側も無い。みんな自分が見ている側が正面だと思っているだけだ。所詮、人間は見たいものしか見ないし、信じたいものしか信じないんだよ。 宮部みゆき『模倣犯』
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