真宗大谷派 円光寺 本文へジャンプ

  統一教会

櫻井義秀、中西尋子『統一教会』北海道大学出版会

櫻井義秀『霊と金 スピリチュアル・ビジネスの構造』新潮社

山崎浩子『愛が偽りに終わるとき』文藝春秋

全国統一協会被害者家族の会編『自立への苦闘 統一協会を脱会して』教文館 

  1,『統一教会』の筆者である櫻井義秀、中西尋子の立場

「筆者は統一教会の諸活動が社会問題化していると認識しており、布教方法と資金調達方法は違法行為だと捉えている」

統一教会は国別に機能を特化させています。正体を隠しての勧誘、霊感商法などの違法な伝道、物品販売活動、献金強要、そして女性を大量に韓国の農村に送り込むといった活動をし、信者の時間とお金と労力を搾り取るのは、日本の統一教会だけです。

・韓国 コングロマリット的経済活動や社会事業も行う「花形スター」
・アメリカ 保守政治や信教の自由を擁護するロビィング活動を積極的に行う「問題児」
・日本 「金のなる木」として利用

「日本が統一教会にとって絞れば絞るだけの資金が出てくる財布だと韓国の統一教会幹部達に認識される」
「青年信者の多くは合同結婚式まで数年間ただ同然で使われ、壮婦と呼ばれる既婚婦人達は自己破産や家族崩壊の瀬戸際まで資産を献金するよう迫られている。信者であれ、一般市民であれ、統一教会に関わる人々は生活の基盤を失っていく」


 2,『統一教会』のカルトの定義

「筆者なりにカルト的信仰を定義するならば、組織に依存させられた信仰である。個人を既成観念から解放し、自由にするような信仰のあり方ではない。その人の自分なりの考えや親子・友人関係、社会人としての自立した生活基盤を、組織の言葉、教団内の人間関係、教団から与えられる仕事に全て置き換えさせ、信者を個別に管理して初めて成り立つ宗教といえる」


 3,統一教会の教説

統一協会はどういう教えを説いているのでしょうか。山崎浩子さんはこのように説明しています。
「人類始祖、アダムとエバは、それぞれが人間的に十分な成熟をし、個性を完成させたあと、神が定めた時に結婚して夫婦となり、子女を産み増やし、神の愛に包まれた家庭を築くべきであった。
それなのにエバは、サタンの誘いにのって、サタンと淫行を行った。そして、その後エバとアダムは、時ならぬ時に淫行を犯し、それが罪の根、原罪となった。それによってサタンの血が受け継がれ、その罪は、人類歴史上とぎれることなく綿々と流れてきているというのだ。
だから、この世はサタン世界となり、愛は乱れ、不倫がはやり、性犯罪が頻発するのだと」

エバがサタン(蛇)と性交したという「堕落論」(脅し)です。そして神の救済計画(復帰摂理)というアメです。
「神は人類に再臨主を遣わし、神の王国建設は現在も続くのだという。その再臨主が文鮮明であり、文夫妻の司式による「祝福」(合同結婚式)によって無原罪の子をなし、神を中心とする家庭を完成させるというのが統一教会の活動目標である」と『統一教会』にあります。

「このような堕落の真相やそれが原罪だといった説明は、聖書に全く書かれていない。では、何を根拠として? 実は文鮮明がイエスや神から直接聞き及んだ話だという」

エバが不倫したせいで、人間は生まれながらに罪を背負っているなんていうお話を信じるのは不思議だと思っていたら、統一教会の教説には霊信仰というもう一本の柱があります。霊に関する教義は、祟り信仰に慣れた日本人には現実味があります。

「統一教会の教えによれば、人間は死後「霊人体」となって霊界に行く。原罪を持ったまま霊人体となった先祖は地獄で永遠の苦しみを受けているのだが、地上にいる子孫の善行により功徳が先祖に転送され先祖は安らぐのだという。ところが、このことを知らずに功徳を送らなかった人は死後、霊界で先祖の霊達に責められる」

信者は霊界で救済を待つ先祖達も救う義務を有しています。地獄で苦しむ先祖を救う方法は祝福です。自分自身や先祖を救うためには、文鮮明が選んだ人と結婚(祝福)する以外に道はありません。

「統一教会の世界観では、霊界と現実世界があり、相互に交信可能だし、霊人が地上人に影響力を行使することも可能であれば、地上の人間が霊人となった先祖を供養により慰撫することもできるという。信者はこの世において統一教会に入信して祝福を受け、真の家庭を築かなければ救済に与れないし、統一教会の教えを受けずに亡くなった先祖達は、死後において統一教会の研修と祝福を受けて真の家庭を築かなければならない。どちらの場合も、信者が統一教会にしかるべき金額の献金を納入しなければことは進まないとされる」

櫻井義秀さんはこんな皮肉を書いています。
「地獄にうごめく悪霊や恨みを抱いた祖霊は極めてパワフルな影響力を地上の人間に行使するとされるのだが、こと天国への門を叩くことに関してはまことに無力であり、子孫のなけなしの献金を鶴首して待つ身の上なのである」
こうして、青年信者で数百万円、壮婦なら資産に応じて1000万円から数億円の献金を要請され、言われるままにお金を出し続けなければならない精神状態に追いつめられていくわけです。


 4,勧誘

統一教会には独特の勧誘・教化プログラムがあります。
[正体を隠した勧誘]→[手相・姓名判断]→[ビデオセンター]→[ツーデーズセミナー]→[ライフトレーニング]→[フォーデーズセミナー]→[新生トレーニング]→[実践トレーニング]→[伝道]→[マイクロによる訪問販売]

「各過程に明確にプログラム化された教化システムがあり、指導者や信者達が新規の加入者を教導するマニュアルがある」

正体を隠して勧誘する宗教団体は怪しいと考えて間違いありません。統一教会もその一つです。
「統一教会はこの30年近く、統一教会の名前や活動内容を予め学生や市民に説明した上で布教活動をしてこなかった。新規に入会する人達は全て文化系サークル、教養講座、鑑定所等への勧誘と誤解させられ、偽装団体内部で人間関係ができあがり、ある程度の教化活動が終了した段階でここは宗教組織であること、統一教会という世間では誤解されている団体と知らされている」

最初から正体を明らかにして勧誘したら、入信はもちろんのこと、話を聞いてもくれないでしょう。まして、「詐欺的募金、献金強要、物売りをしてもらいます」と正直に説明したら、誰も相手にしないことを統一協会はよく承知しています。ですから、正体を隠し、嘘をついて勧誘するのです。

街頭での勧誘トークから一部引用
「人生って一度きりだから一つの生き方しか選べませんよね。いろんな哲学者の思想を全て実践するってわけにはいかない。だとしたら、最高のものを学んで最高の人生を送りたいと思いませんか。人類の歴史で多くの思想家や宗教家が登場してきて、いろんなことを教えてくれたはずなんですが、世界から戦争や貧困はなくならないし、私達だって人生のいろんな悩みから解放されたわけじゃない。対症療法だけやってもダメなんです。根本的な問題解決をしないと。実は明確な解答があるんです。このビデオセンターではそうして内容が明確に説かれているんです」

マインド・コントロールによって信者は催眠術にでもかかったように教団に引き寄せられる思われがちですが、『統一教会』によるとそうではないそうです。

信者を支配するための策略とは?
アメ(統一教会の信者達との心情的交わり)とムチ(家系の衰退、先祖解怨、地獄の恐怖、霊界の働き)を交互に使い分ける。

 ①教えの秘教化戦略
「統一原理を知らされたのは神に選ばれたあなただけなのだとおだてた後に信者との取引を始める。真理を知って実行しなければ大変なことになりますよと」
義務感と使命感です。

 ②巧みな環境の置き換え
「勧誘されたばかりの人には信者が自分達が持てるだけの誠意、時間、持ち物を与えて、信者になることを決意させる」
心地よさと居場所を与える。

 ③徹底して信者を搾取する、踏み絵を踏ませる
「試練を与えれば与えるほど、信者はそこに意味を自ら見いだしていく」
信者の認知的錯誤を利用する。


 5,献身

入信したなら、自分のお金を献金するだけでなく、サラ金から借金し、夫名義の預金を無断で解約などして献金するようになります。そして、献身(家や仕事を捨てて統一教会に生活を捧げること)をすることになります。具体的には、正体を隠しての勧誘、霊感商法、着物や宝石や珍味などの物品販売です。『自立への苦闘』によると、ビデオ・センターでの受講をした人のうち、献身者になるのは5%です。

「学習期間の後、伝道と物品販売の実習を行うが、ここで統一教会の実践的信仰(階梯に基づいた指導と服務、実績不足を不信仰の結果として反省、神・霊界の働きを伝道件数・物品販売額として実感させるなど)を体験するよう訓練される」
こうして、お金を失うだけでなく、人間関係が破壊され、信者の心身はぼろぼろになります。

マイクロバスで寝泊まりしながら、スーパーで買える珍味などをバカ高い値段で売ろうとするためには強い信仰が必要です。
統一教会信者の信仰の特徴、及び彼らが信仰を見つめる方法

 (1)マゾヒスティックな信仰である。
客観的にはさして商品価値のない雑貨を飛び込みで朝から晩まで売り歩かせられ、家の人から「否定」的言辞を受け、売上実績に満たないということで上司から「否定」の叱責を受ける。叩かれれば叩かれるほど、その信仰は正しいもの、価値あるものと信者が思い込むように教え導く教説とシステムがある。

 (2)体験主義的な信仰である。
数値で信仰の度合いが示されるために、信者の心情は安定することがない。不安を解消し、自分を慰め、この状況に意味を与えてくれる教説を希求するような状況を常に作り出しているのが、伝道でありマイクロ(訪問販売)である。導かれる人や売上があれば神の恵み、霊界の援助であり、なくても神が与えてくれた試練となる。

 (3)途中で離脱するものに計り知れない後ろめたさを残す信仰である。
神、真の父母と称される教祖夫妻、教団幹部、隊長等の上司に、常に心情や行動を見通されているという心理状態になって逃げ場がない。逃げるものが受けねばならない報いは、現世の一族郎党はおろか霊界の先祖達全てに及ぶと言われているので、いったんこの信仰に囚われると責任感の強いものは投げ出すことができない。

そうはいっても、意欲の低下は避けられません。そこで統一教会は二つの内的動機づけを与えます。

 ①霊界を意識する生活
信者が姓名判断や家系図診断に従事することで、統一教会の霊界・霊能儀礼が知らず知らずのうちに内面化され、霊界や霊を恐れるようになります。

 ②祝福
統一教会における信仰の目的は、祝福(合同結婚式)によって無原罪の子どもを産むことです。


 6,霊感商法

統一教会の信者は霊能師に騙されて入信し、そうして今度は自分が霊能師になって人を騙す仕組みになっています。霊感商法について山崎浩子さんはこのように説明します。
「神のもとへと帰るためには、万物復帰が必要なのである。それが救いの第一歩なのであると統一原理では教えられている。だから、印鑑やツボを買うことは、買う側の救いになるのだ。たとえ、この世ではだまされたと言っている人でも、霊界に行けば、「よくぞ、あの時ツボを売ってくださった」と喜ぶに違いないと思っていた。それは霊界に行けばわかることなのだ」

『統一教会』によると、統一教会の霊能師に霊能はありません。いかにも霊能師役がはまりそうな信者として各部門から選抜され、訓練された人たちです。
姓名判断や家系図診断によって印鑑を販売するマニュアルより一部引用

 ・アプローチ
断り文句「恐いから興味がない」
応酬話法「知らずに大きな石につまずくよりも、知っておけば大難が小難に、小難を無事に過ごすことができます」

 ・ニード・ストーリー
断り文句「何回も見てもらった。印鑑は作った」
応酬話法「易は何回見てもらっても、見てもらえば見てもらうほど運勢が良くなっていくものなんです」

 ・姓名判断
当たれば「今日初めての出会いですが、……が分かります。不思議でしょう」
外れれば「そうですか。しかし、将来、……していかなければならない宿命にあります」

 ・商品「三宝印」の紹介
「魂体(実印)、財体(銀行印)、霊体(認印)が必要です。用途別に使うことによって○○さんの運勢が彫り込まれており、三本揃って百パーセントの開運があるのです」

 ・値踏み
「○○さん、高島易断をご存じですか。実印一本が30万円もしますよ。あそこは鑑定料がかなり高いですからね」

 ・クロージング
「相談する」「もう少し先で」→「私が先ほど言いました運勢どおりになってから気が付く訳です。事が起こってから間に合わないものもあります」
「お金がない」→「この運勢を見るとあるとはいえませんね。しかし、卵が先か鶏が先かの議論ではないですが、まず、この運勢を変えないと」

霊能師たちは悪いことをしているとの自責の念はないのでしょうか。
(1)霊能師はラインの流れ作業に従事しているにすぎない。
(2)霊能師は感情移入しない。いちいちゲストに心が入ればやっていけない。
(3)霊能師はメシアの代理にすぎない。責任はメシアに委ねている。
「自分で判断も意志決定も行わず、組織的にあてがわれた役割を忠実に遂行する。ふだん人間的な感情は豊かなのだが、自分の思いと組織的指令が齟齬を来したときに、組織を優先する」

こうした自己正当化は霊感商法にかぎりません。悪徳セールス、戦場での虐殺・掠奪などにも通じる心理状態だと思います。


 7,祝福

1960年から今まで37回にわたり国際合同結婚式が挙行されています。祝福に与ったカップルは30億組を優に超えるとされます。これは生きている人だけではなく、すでに霊界に住んでいる人たちも先祖解怨によって救われ、祝福を受けているとされるからです。
祝福には140万円の献金が必要です。

自分が祝福によって結婚するだけではだめで、先祖を解怨する必要があります。原罪を持ったまま死後、霊人体になって霊界に行った先祖は地獄で永遠の苦しみを受けているからです。

統一教会が教育用に用いた「家系の不思議」というビデオでは、次の内容が語られています。
①善因善果悪因悪果の応報的宿命観
不幸には先祖の因縁があるとされ、因縁転換の方法へと話は進む。
先祖の色情因縁が強調される。
②縦横の法則
先祖の因縁(縦の原因)は兄弟姉妹(横の因縁)にまで及ぶ。
③悪因縁の形成原因
五つあるとされ、1・離婚、再婚、2・庶子、3・同棲、4・初婚男性と連れ子のまま再婚、5・別居。

文鮮明も離婚・再婚をしているのですが。それはともかく、子孫の善行により、功徳が先祖に転送され、祖先は安らぐということだそうです。

文鮮明は「天国に入籍するためには必ず自分から七代前までの先祖からはじめ、最終的には百二十代まで解怨しなければならない」と語っています。
父方、母方のそれぞれの父方、母方、計四家系の先祖解怨が必要とされます。一家系につき70万円の献金が要求されます。百二十代前までの解怨を行うには、280万円と204万円の費用がかかることになります。


 8,ホーレンソー(報告・連絡・相談)

統一教会の教えや霊感商法などに疑問を抱かせないために、自分で考えることはサタンの誘いに乗ることであると教え、信者同士の横のつながりを禁じます。そのために「ホーレンソー」が行われています。密告の奨励です。

「この世では、神側とサタン側の熾烈な闘いが行われている。サタンは実に巧妙で、いつもいつも神側から引きずり落とそうとしている。神側の考えで、神側の言動をしていくことが、唯一守られる手段なのである。
しかし、今私自身が思っていることが神側の考えなのかどうかは、私自身ではわからない。自分の行動、やろうとしていること、考えをアベル(上司的役割)に報告、連絡、相談することが必要なのだと教わった」(山崎浩子『愛が偽りに終わるとき』)

講義中に隣同士の男性がヒソヒソ話をしたので、講師が「横的(おうてき)になるんじゃない」と怒ったと山崎浩子さんは書いています。
「「横的になってはいけない」というのは、人間関係で横のつながりを縦のつながりより重視してはいけないということだ。横的に走ると、サタンが入りやすくなるという」

このような生活を長年してきた信者は、自分の判断で統一教会の是非を考え直すこと自体ができなくなるので、脱会は容易ではありません。ですから、強引な手段で脱会させると無理が生じます。


 9,脱会

ディプログラミング(信者に有無を言わせずに閉所に隔離して脱会を説得する行為)等、外部からの介入行為によって強制的に脱会させられ、後遺症(不眠・焦燥感・不安定・頭痛など、自責の念)に苦しむ元信者がいるそうです。

『統一教会』には「隔離された体験において精神的に傷つき、その後ひっそりと生活をされている方々も多い」とありますが、『自立への苦闘』によると、脱会が原因ではなくて統一教会のマインド・コントロールの後遺症だそうです。

『自立への苦闘』にこういうたとえが書いてあります。
結婚詐欺師にだまされている女性に、その男の正体を教えたことから、その女性が詐欺師から離れたが、女性は深く傷つき、精神的にもなかなか立ち直れない。この場合、結婚詐欺師の正体を教えた人が責められることはない。心の傷を与えたのは結婚詐欺師のほうである。

なぜ脱会したら後遺症が出てくるかというと、信者にとって脱会することは非常な恐怖だからです。
入信するにあたって、それまでの人生を全面否定し、家族や仕事や友人・恋人、趣味などを捨てています。ところが、脱会すれば信者として活動してきたことを全面的に否定しないといけないません。二重の自己否定であり、今まで何をしてきたのかということになります。

また、統一教会は文鮮明夫妻を親とし、実の両親は偽りの父母だと教え込んで親子関係を断とうとしますから、脱会しても親に嫌悪感を持ちつづけ、関係の修復が難しいそうです。

統一協会からすり込まれた教義は簡単には消えません。たとえば、信者は脱会する罪の重さ(霊界で罰せられる、妊娠すると身体障害者が生まれるなど)を繰り返し教え込まれます。脱会しても原理的思考(自己卑下、従順(断れない、言い返せないなど)、完璧を求める、能力以上に頑張る、自分で判断できない、感情を押し殺す、自分を責める、誰かに依存するなど)から脱することが難しいのです。

そして、強制脱会の恐怖も教え込まれています。
「信者は、特に独身の若者は、統一協会内で繰り返し「家族による拉致監禁の脱会強要」がなされているという虚偽の事実を教え込まれ、そのことの恐怖をあおられています。信者らは、統一協会に反対する親が、同じく統一協会に敵対する牧師らにそそのかされ、彼らを精神病院に閉じ込めたり、信仰を変えるために注射を打ったり、長期間拘束して、中には強姦されるなどの被害もあると再三教え込まれているのです。そのための冊子やビデオ、講義マニュアルが統一協会内で作成され、使われています」(『自立への苦闘』)


 10,韓国に住む女性信者

『統一教会』によると、韓国の農村男性の結婚難は深刻で、結婚できないことを悲観して自殺した農村男性は1980年代に入って300余名もいます。外国人女性との国際結婚が増加し、2005年には13.6%に増えています。特に慶尚北道の農漁村男性の5割が国際結婚です。こういう事情から、統一教会は韓国の農村部の独身男性やその親には結婚相談所として受け入れられているそうです。

韓日祝福を受けて渡韓した女性信者は7000人になるとされますが、韓国で暮らす日本人男性信者は300人ほどです。日本人信者の生活が楽でないことは自他共に認めるところだそうです。
言葉が通じない、習慣が違う、農業をしたことがないといったことにもかかわらず、日本人女性が韓国の農村まで行って、見知らぬ男性と結婚するのはなぜでしょうか。

祝福で韓国に渡り、収入が不安定な中で、舅姑に仕え、問題ある夫には逆らわず、夫が失業したときには自分が働いて支えています。「信仰があるから夫や生活に我慢してやっていける」と明言しています。その信仰とは何でしょうか。

「理想世界「地上天国」の実現」と「罪の清算」(統一教会の言葉で「蕩減」)です。日本人女性がぎりぎりの生活を甘受しているのは、女性は人類を堕落させたエバだという教説と、日本は朝鮮半島を植民地支配したという歴史なのです。

罪とは何でしょうか。
 ①原罪 アダム、エバの堕落によって人類全てが受け継いだ罪
 ②遺伝罪 先祖が犯した罪
 ③連帯罪 国家や民俗などが犯した罪
 ④自犯罪 自分が犯した罪

原罪は祝福を受けることによって清算されます。遺伝罪、連帯罪、自犯罪は善行の積み重ねによって清算しなければなりません。

「人間の堕落におけるアダムとエバが、韓国と日本の立場であるとされる。堕落エバはアダムに「負債」があるため、日本が韓国に「侍り」、人材と資金の供給を担うのは当然とされる。とりわけ、「エバ国家」のエバたる日本人女性が合同結婚式において、韓国男性と祝福を受け、韓国で生活することが好ましいとされ、韓日の国際結婚によって、両国の「恩讐が清算される」といわれている」

夫が酒を飲む、殴る、教会に行かない、学歴が低いなどの問題点について、日本の植民地支配に原因があるというわけです。
「日本人は、かつて韓国を侵略し、植民地にした。従軍慰安婦や強制連行で、韓国の人々特に女性達にたくさんの苦しみを与えた。その従軍慰安婦や強制連行された女性の霊が日本人女性に乗り移っている。だから、日本にいる悪霊は、他の国の悪霊よりも恐ろしい」

統一教会で言う罪とはカルマ(業)です。自分が作ったカルマだけが問題なのではありません。日本人が作った罪(=カルマ)の報いが、韓国人の夫が仕事をせず、酒を飲んでは妻を殴ることです、報いに甘んじることは罪の清算(カルマ落とし)になるわけです。
離婚、脱会して韓国の生活をやめると蕩減が重くなるので、地獄で永遠に苦しむことになります。現在の生活と地獄の苦しみのどちらを選びますか、ということです。それで女性信者は苦しくても、苦労を地上天国のため、霊界で幸せに暮らすためには必要な宗教実践と受けとめて、無原罪の子どもを産むほうを選ぶのです。