真宗大谷派 円光寺 本文へジャンプ

  超常現象
 超常現象の謎解き

T・ハインズ 『「超科学」をきる』 化学同人


と学会 『トンデモ超常現象99の真相』 洋泉社


菊池聡編 『不思議現象 なぜ信じるか』 北大路書房

宗教団体に対して、だまされていたのだから布施を返してもらいたいという訴訟を多く見かけます。病気を治したい、会社を立て直したい、といったことがきっかけでお金をつぎ込み、中には何千万円も被害にあった人もいます。なぜインチキ宗教にだまされるのでしょうか

T・ハインズ『「超科学」をきる』は、心霊術、予言、超能力、占星術、バイオリズム、UFO、健康食品、信仰治療などの言っていることが、どのように間違っているか、それにもかかわらず信じてしまうのはなぜか、を楽しく説明しています。

これらの多くは金儲けのためのインチキです。そのだまし方はインチキ宗教と共通する点があります。

たとえば、霊媒の多くはいかさま師だそうです。手品のトリックを使う。客について前もって下調べをする。誰にでも当てはまることを言う。どうとでも解釈できることを言う。こうした手口でだますのだそうです。
あるいは「子供の頃、生き物を飼っていませんでしたか」と言います。生き物ですから、犬、猫、鳥、金魚などなんでもいいのです。たいていの家では生き物を飼っているでしょう。
奇術師はこうした手口を得意としていますから、超能力者や予言者たちのトリックを見破ってしまいます。ところが、科学者は簡単にだまされて、インチキのお先棒をかついでしまいます。

UFOの目撃者のように、嘘を言っていなくて、本当に信じている場合もあります。しかし、それは錯覚、思いこみ、無知などの場合がほとんどだそうです。

なぜインチキを信じ、だまされ続けるのでしょうか。それは夢を見ていたいからだと思います。病気が治るという夢、未来がわかるという夢、幸せになるという夢、人より優れているという夢、思う通りになる夢など。そうした夢を見ている方が、現実を見つめるよりも楽しいからではないでしょうか。だから、だまされ続けるのではないかと思います。

もちろん超科学を本当に信じて研究している人もいます。でも彼らに共通するのは、矛盾点には目をつむり、論理をすり替えてごまかし、他人の検証を否定する。そうしたことを無意識かもしれませんが行っています。
人間は一度信じ込んでしまうと、それが間違いだとわかっても、間違いとは認めずに信じ続けます。迷っていたことに気づくことの難しさ、大切さを思います。

と学会『トンデモ超常現象99の真相』や
松田道弘『超能力のトリック』といった本の方が読みやすいかもしれません。
『「超科学」をきる』が総論としたら、『トンデモ超常現象99の真相』は具体例の検証と言えます。UFO、ムー大陸などの超古代文明、ポルターガイストなどの怪奇現象、霊と死後の世界、予言、超能力、そして気功、チャネリング、百匹目のサルになどについての謎解きです。

『トンデモ超常現象99の真相』からノストラダムスについての文章を紹介しましょう。

 ノストラダムスは決して無能な人間ではなかった。彼は確かに天才であり、自分の予言がはずれないよう巧妙に計算し、工夫をこらしていた。
 彼の第一のテクニックは、「
とにかくたくさん予言すること」である。総計は1000篇近くもある。これだけいろいろなことが書いてあれば、歴史上どれかの事件が、どれかの詩と符合することは、ほとんど必然といえる。

 第二のテクニックは、「
当り前のことを予言すること」である。ノストラダムスの予言の多くは、「独裁者が現れる」「戦争が起きる」「疫病が発生する」「重要人物が死ぬ」といった、いつの時代、どこの国でも起こりそうな内容ばかりなのである。こんな予言なら「あなたはいつか死にます」といっているのと同じで、当たるに決まっている。

 第三のテクニックは、「
期限を明確にしないこと」である。彼の予言には、その事件が起きる年をちゃんと記載したものはほとんどないのだ。「○○年に起きる」とはっきり書いてしまうと、その年が過ぎてしまったら、はずれたことが誰の目にも明らかになってしまう。逆にいえば、期限を指定しない予言はいつまでたってもはずれないわけで、はずれないかぎりは予言者としての名声に傷がつくこともない。

 第四のテクニックは、「
どうにでも解釈できるように、あいまいに書くこと」である。ノストラダムスの詩はとにかく難解である。だから訳者の解釈によって、どんな風にも訳せてしまう。
 ノストラダムスの研究者たちは、事件が起きてから「ノストラダムスはこの事件を予言していた」とこじつけているだけである。