「To Dreamers」



◆ 終章 ◆


僕は、忙しさに紛れて忘れていたが、ふとある事を思い出した。

「そうだ!」

僕は、塩沢さんにもらったCDプレーヤーを机の上に置くと、長い間、壁の装飾品になっていた曾祖母の形見を 取り外してきた。
傷つきやすいディスクを護る為か、飾りやすくする為か、やたらと固い枠に厳重にはめ込んであった。 これを外すのはなかなか難しそうだ。 僕は、丁寧に丁寧に、分解を進め、遂に枠からディスクを取り出した。

「ふぅ、とれたー。汗かいちゃったぞ。」

いつも、壁でキラキラ虹色に輝いていたディスクを手に取ると、裏側にはイラストが印刷してある。

「なんで、裏返しに飾ってあったんだろ?」
僕だって、20世紀に行ってこなきゃ、裏表なんてわかりゃしなかったが・・・。

「 To Dreamers − Voice Trip − From KAMETO SHIOZAWA」

あ〜、これ。ファンとご本人が、一緒に選びに選んだ傑作セリフ集だ。ライブラリで聴ける。 これの話をしていた塩沢さんを思い出すと懐かしかった。
サインがしてある。

「ちめさんへ」

「あーっ! 曾祖母ちゃん、やるう。」
血は繋がっていない事はわかってたが、今まで、そう思ってきたのだから、それでいいんだ。

「しっかし、うちにこんなお宝があるなんて、知らなかったな〜。知ってたら・・・・知ってても聴けないか・・あれ?」

取り外した枠の方に、もう一枚小さいCDが挟まってる。
隠してあったみたいだ。

「これから聴いてみよ。」

僕はイヤフォンを耳に付けて、目を閉じた。


あまたの中から選んでいただいて、有り難う・・・・

でも、なぜ私なんでしょう。

・・・・なら60年代・・・・なら80年代の方でしょうか。

・・・ついでに占いをひとつ。

今日のあなたのラッキーカラーは紫です。

何のことはない、来る途中に見た紫陽花が綺麗・・

フッ・・・季節を入れてはまずかったかな・・・

では気がむいたら・・・。

・・・兼人。


こっ、これってライブラリで聴けなくなってるコメントだ・・なんでまた、こんな所に・・。
不思議な、ばあちゃんだな。
え・・・・。

「音響ちゃ〜ん、お・わ・り。 こんなんでいいっしょ。」

「いいんすか? ミュージアムオープンする頃には季節が違いますよ、マジで。」

「自分で言っちゃって誤魔化すんだもんな〜。まいっちゃうよ。」

「いいの。いいの。 今日もう、終わりでしょ。ね! どこ飲み行く?」

「ダメですよ〜。明日、朝一の仕事あるって聞いてますよ。」

「お〜ぉ、子カネトがうるさいな〜。」

「でっしょ〜!」

「お願いですから、飲み過ぎに気を付けて下さいよぅ。」

「ほらほら、子カネトが泣いとるぞ。」

「お酒が残ってた方が、いい仕事出来たりするんだよね〜っ、これが。」

「塩沢さん!!」

「はいはい。いつもの所で飲んでるから、お前も来いよな〜。マイク、オンになってない?」

「あ・・・」





涙が、静かに頬を伝っていた。
僕は、今更ながら、どんなにあの人を愛していたか、思い知らされている ――――。



END



◆8◆       あとがき


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あとがき

こんな駄文を、最後まで読んで頂いて、本当にありがとう。
なんだか、塩沢キャラの共演なんてのが、見てみたかったのと、
塩沢さんが好きって事が書きたかっただけなんですよ。
だから、辻褄の合わないところが、いっぱい(笑)なんですが、
ラブレターなんで、お許しくださいね。


最初に試しに、友人に読んでもらったんですが、
「あの、シングルCDはどうやって手にいれたの?」 って聞かれて、
「そりゃあ〜、怪盗ふくみみが・・・・」って答えたヤツですから。



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